第216話 何それ?
各町対抗の魔法大会が終わった翌日の日曜日。
その参加メンバーである俺達は放課後に校長室に呼ばれ、並んで校長先生の前に立っている。
「皆さん、改めまして、優勝おめでとうございます。皆さんの日頃の努力と研鑽のおかげでしょう」
「せんせー、何かちょうだーい」
アホが手を上げる。
悲しいことに身内だ。
「私は生徒会長のシャルリーヌさんに1年のみでのチームを組むように言いました。それはあなた方が優秀であると同時にまだまだ伸びしろが充分にあると判断したからです」
「あれ? 無視?」
「いつも無視されてるな、お前」
うるさいからだな。
「静かにしましょうね」
後ろに控えていた引率のミシェル先生が俺とトウコの肩に手を置く。
「「はーい」」
俺達が素直に返事をすると、ミシェル先生が校長先生を促す。
「君達は見事に優勝し、力を見せてくれました。私を始め、多くの者が刺激になったでしょう。ただ、これに驕らずにこれからも学んでいってください。最後に本当におめでとうございます」
「「「ありがとうございます」」」
「「…………まーす!」」
8人が同時に頭を下げたので俺とトウコも慌てて頭を下げる。
「これからも頑張ってください」
俺達はもう一度頭を下げると、校長室から出る。
「バカ双子、笑わせないでよ」
「いや、ホント。なんで同じリアクションで頭を下げる?」
イルメラとユイカが笑いながら責めてくる。
「今のは危なかったね」
「焦った顔がそっくりだったな」
ユキとロナルドも半笑いだ。
「いや、お前らの方がぴったりだったわ」
「うん。教科書にでも書いてあるの?」
軍隊かってくらいに一斉に頭を下げたからびっくりしたわ。
「普通、下げるだろ」
「知らん」
野球部じゃないんだ。
「まあまあ。とにかく、皆、お疲れ様。明日からは普通の授業に戻るから頑張ってちょうだい」
ミシェルさんが場を締める。
「ミシェルさーん、ご褒美はないの?」
「単位くれ」
基礎学でいいから。
「私に言われてもね……」
「焼き肉奢ってよー。打ち上げしよ」
それだ。
「えー……お婆様にねだったら?」
「無理。昨日から鬼電がかかってきてるけど、ガン無視してる。2、3週間は出ないし、会わない」
トウコは勝ったけど、かなりお粗末だったし、品性がまるでなかったからな。
「あ、私も怒られるやつだ……ハァ……まあ、焼き肉くらいなら」
やったぜ。
「え? 焼肉?」
「奢り?」
ユイカとユキが食いついた。
「まあ、頑張ったことは確かだし、それくらいなら出しても良いでしょう」
さすがはミシェルさんだ。
「ロナルド、お前も来い」
「イルメラも来なよ」
ユキがロナルドを、ユイカがイルメラをそれぞれ誘う。
「行くか。がっつくお前を止めないといけない」
「焼き肉ねー……まあ、それぐらいのご褒美があってもいいか」
2人も乗り気らしい。
「会長も来る?」
トウコがシャルを誘う。
「行かない」
「え? 来ないの? やっぱりベジタリアン?」
「海で普通に食べてたでしょ」
シャルはハンバーグが好きなんだぞー。
「お兄ちゃん、うざい」
何故聞こえる?
「会長、行かないの? 彼氏も来るんだよ?」
ユイカもシャルを誘う。
「彼氏じゃないから。というか、本当に用事があって無理なのよ。悪いけど、ちょっと約束があるの。アーサー、ヘンリー、行くわよ」
「そっすね」
シャルとアーサーが帰っていく。
「色々あったけど、優勝したし、皆で打ち上げをするのもありかなと思うが、本当に人と会う約束があるんだ。悪いね」
ヘンリーもそう言って帰っていった。
「イヴェール派は何かあるのかな?」
ユイカが首を傾げる。
「どちらにせよ、来ないだろうなーと思ったけど、本当に用があるみたいね。ミシェル先生、知ってますか?」
イルメラがミシェルさんに聞く。
「まあ、明日にはわかることだから言うけど、明日から新しい先生が赴任してくるのよ。それがイヴェール派なわけ。ツカサ君とユキさんとユイカは知ってると思うけど、メラニーよ」
メラニー?
「誰だ?」
「知らない。誰?」
ユイカと顔を合わせ、首を傾げた。
「駅で会っただろう。鉄道警備隊のメラニー・ラプラスだ。ほら、ドジっぽい人」
ユキが教えてくれる。
「あー、あの人か!」
「そういえば、イヴェール派って言ってた」
ミシェルさんの同級生で友達だったな。
そして、クロエに勝てなかった人2号。
「それそれ。優秀だけど、肝心なところでドジることで有名なメラニー」
有名なんだ。
「そのメラニーさんがなんで教師に? 鉄道警備隊でしょ」
「表向きは例の事件を止められなかったことによる罰。本当の目的は私への対抗ね。ほら、私ってラ・フォルジュ派だから」
ラ・フォルジュ派に対抗してイヴェール派の人間を送り込んだってことか。
「ミシェルさん、イヴェール派じゃないですか」
一緒にラ・フォルジュのお嬢様を倒した。
「笑えない冗談はやめて」
いつもシャルの家でお茶を飲んで、お昼をご馳走になって、チェスで遊んでいるくせに。
「まあ、いいや。7人になったけど、これで行くか」
「あ、すまない。言い出しにくかったが、俺も今回のことを報告するために実家に帰らないといけないんだ」
オスカーも行かないらしい。
「そっか。いっそ日を改めるか?」
「いや、またテスト期間中になるし、やめた方がいいだろう。君達だけで楽しんでくれ」
はい?
「「テスト?」」
またもやユイカと顔を見合わせ、首を傾げた。
なんか俺達が双子みたいだ。
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