第76話 1536年 6歳 直江津に帰って来たぞ
前回は、佐渡島の事後処理でした。
没収、再配分、論功行賞――
やること山盛りです。
佐渡ヶ島から戻ると、
土産の金――一万貫と、
大叔母(祖父の妹)
からの手紙を祖父に渡した。
手紙を読み終えた瞬間――
珍しく、祖父・長尾為景が泣いた。
……感極まったらしい。
祖父・長尾為景は妹からの
手紙を何度も何度も読み返している。
この一連の顛末を、
祖父に話す時間は楽しい。
だが――
やる事は山ほどある。
俺
「佐渡ヶ島で働く労働者が、
七千人ほど足りません」
俺
「越後の国人衆に圧をかけて集めてください。
集まり次第、佐渡ヶ島へ送って欲しい」
さらに。
須賀修理亮にも、
捕らえた一揆衆を
佐渡ヶ島へ送るよう依頼した。
次に安田(守役安田の息子)、帰還
十三湊港で南部氏に使いとして出した
安田長秀が帰ってきた。
早速、話を聞く。
……父の守役である安田は、
再会した途端に泣いている。
最近、すぐ泣く。
安田長秀
「若様、ご無沙汰しております。
会談内容をお伝えします」
安田長秀
「南部氏にとって、
蝦夷地は非常に重要とのこと」
安田長秀
「その蝦夷地を渡す条件として――
安東氏や敵対豪族を滅ぼす手伝いを求められました」
安田長秀
「今年の春から、
敵対豪族退治を手伝え、と」
安田長秀
「如何いたしましょうか?」
俺
「……条件を飲むしかない」
俺
「南部氏が不安定になれば、
蝦夷地に手を出す連中が出てくる」
俺
「そういう連中を抑えるには、
南部氏との同盟が絶対に必要だ」
俺
「来年の春、
酒田港を制圧してから南部氏の元へ向かう」
俺
「遠征計画を立ててくれ」
次に九島(商人)帰還
九島弥太郎も戻ってきた。
五隻は明との貿易後、
博多で仕入れ。
一隻は、
蝦夷地で仕入れた商品を
堺で販売。
さらに――
堺で六隻分を仕入れ、
各地で仕入と販売を繰り返した結果。
一回の航海で――
八万貫。
俺
「…………よくやった、九島!!」
九島弥太郎は、
新たに商人十二人と、
鍛冶屋八人を連れてきてくれた。
……助かる。
とにかく忙しい
舟職人の八坂正宗。
武器職人。
鍛冶屋。
酒屋。
春日商店の主人。
次々と呼び、
今後の計画を詰める。
そして――
発明家・新田次郎を呼び出した。
俺
「新田。
蹄鉄は、上手くいったそうだな」
俺
「約束通り、
武器の開発を任せたいと思う」
俺
「それとも、
化粧品開発をやるか?」
新田
「武器の開発をさせてください!」
新田
「そのために、
馬に蹴られ、
おしっこをかけられ、
散々な目に遭ったのです!」
俺
「……そりゃ大変だったな」
俺
「今回は、
渡河作戦を有利にする発明だ」
俺
「新田。
軍において、
渡河がどれほど重要か分かるな?」
新田
「もちろんです」
新田
「渡河中は、
味方が射撃の的になり、
流される危険もあります」
新田
「それを少しでも減らすのは、
非常に重要です」
俺は――
軍の渡河を有利にする図面を見せた。
新田
「……これは凄い。
歴史が変わりますね」
俺
「来年春、
南部氏との共同作戦で使う」
俺
「それまでに実用化してくれ」
俺
「鍛冶屋と相談して試作品を作る。
雷蔵たちと実験する」
俺
「柿崎と宇佐美に完成品を見せ、
了承を取る」
俺
「それから量産だ」
俺
「最低、
二百個は必要になる」
俺
「……蹄鉄で経験したから、
分かるな?」
新田
「はい」
新田
「若様が、
なぜ私に蹄鉄をやらせたのか……
ようやく分かりました」
安田
「……図面が見えなかったのですが、
私も見たいです」
俺
「お楽しみは後だ」
俺
「渡河作戦の時に、
ちゃんと説明してやるよ」
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