第328話 1541年 11歳 堺の周瑜登場
<小西商店、地図が変わる>
俺は将軍家布告を小西邸で聞いた。
小西は大喜びだ。
小西は大内家では、お抱え商人の一人という立場であった。
しかし長尾家では、ほぼ当主の上杉龍義に頼りにされ、上杉龍義が堺に来る度に、自宅を常宿として提供している間柄である。
小西商店は、益々利益が上がるであろう。
小西「若様が琉球を手に入れた事に始まり、地図が変わりましたな」
俺「蝦夷地は商品や金山で大きいけど、琉球は海外取引の中継で大きいぞ。小西、俺達はシャムと貿易をするから、準備しておけ」
小西「シャムですか?」
俺「長田谷政というシャム語が喋れる奴を見つけて、先にシャムに行ってもらっている。シャムの商品が手に入るし、こちらの商品も売れるだろう。儲かるぞ」
小西「良いですね。普通の大名は税を取るために土地を取ります。しかし若様は――商売をするために土地を取るのですな」
確かに、近代戦争の基本がそうだから、俺も自然とそうなるのだろう。
俺「そうだな。それはそうと、誰かまた良い人はいないか?」
小西は、上杉龍義が自分を頼りにしている理由を知っている。
人集めだ。
これがないと、上杉龍義は小西の元から去って行くだろう。
小西は人集めの情報収集に余念がない。
小西「実は、山田と河合は親友なのですが、この二人の天敵が最近、主君から暇を出されましてな」
俺「ほう、その天敵は出来る男なのか?」
小西「戦略、戦術は山田、河合に劣る点もありますが、この男は剣も槍も弓も一流ですので、一軍を率いると山田、河合に勝つ可能性があります。名将ですね」
俺「そんな人が、なぜまた主君から暇を出された?」
小西「男前で女が寄ってくるのです。この主君の細君もこの男に惚れまして、色々あり、暇を出されましてな」
俺「面白い。呼んで下さい」
小西が番頭に言う。
一刻ほどして、やってきた。
<危険すぎる男前>
まさに男性アイドルのような、そりゃ女はみんなこの男を見るだろうという顔だ。
背は高く、歩く度にバラの花でも撒き散らすようなオーラを出すような男だ。
三姉妹の前には出せないなーーーー。
困った。
その男は優雅に俺に名乗る。
吉良義国「吉良義国、きらよしくに、と申します」
ちょうどそこに、
「失礼します」
と言ってお茶を替えにきた小西商店の若い女の手伝いが、吉良の顔を見て、視線を外せないでいる。
じーーーーと見ている。
小西がコホンと咳払いをすると、我に返り、赤い顔をして女の手伝いが去って行った。
吉良はいつもの風景なのか、素知らぬ顔だ。
当たり前なのだろう。
俺「剣や弓や戦術はどうやって覚えたのか?」
吉良「親が金持ちでして、良い師匠をつけてくれました」
俺「山田、河合の天敵だとか」
吉良「あの二人が勝手に私の事を嫌っているだけです。あの問題児二人を雇われるなんて、上杉龍義様はなんて寛大なお方なのかと感心致します。まあ、そのうち戦場で白黒つくでしょう」
いや、あの二人はかなり出来るぞ。
吉良に戦略戦術テストをする。
どちらも平均六十点とすると、九十一点ほどで解答していく。
十分過ぎるくらいの合格点だ。
女癖が心配だ。
俺「吉良は女の子にモテそうだけど、うちで働いている女の子に手を出したら首だからな」
うちは基本恋愛自由だけど、吉良にそれを認めると組織が崩壊する。
金城兄弟と同じ扱いが妥当だ。
吉良「僕はいつもそうなのですよ。一方的に女の子に好かれて、それでいつもひどい目にあっているのです」
髪をかき上げ、憂いを醸し出す吉良。
俺「原則は一つだけ。長尾家に関係する女の子から惚れられたら、素早く断ってくれ。長尾家以外でなら、何人彼女を作っても構わない。長尾家に務める気があるか?」
吉良「是非お願い致します」
<問題児、また増える>
俺は柿崎を呼び出す。
柿崎「お呼びですか?」
俺「山田や河合と張り合っていたという吉良だ。柿崎で面倒を見てやってくれ」
柿崎が吉良を上から下まで観察する。
俺「山田や河合と違い、剣も槍も出来るらしい。俺の戦略、戦術試験でも好成績だ」
柿崎が感心する。
柿崎「俺が第一軍団長の柿崎だ。よろしく頼む。吉良に期待する」
そう言って、柿崎は部屋を出た。
安田「そしたら、柿崎さんで吉良、馬場さんで河合、小島さんで山田という争いになりますね」
俺「そうだな。そしたら俺達は三日後出発だ。堺にある長尾家の邸宅に来い」
吉良「分かりました」
吉良が席を立った。
小西がいつものように感心する。
小西「若様は本当に人の扱いがお上手ですね」
小西、お前がいつも問題児ばかりを俺に押し付けるからだろ!!
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
ブックマークや、評価ポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★にして
応援していただけると、とても励みになります。
皆様のブックマークと評価が、
今後の更新の大きなモチベーションになっています。
どうぞ、よろしくお願いいたします!




