第281話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国で革命出来るかな(10 王家の倉庫炎上、那覇に新王の名が走る)
< 攻撃目標:王家の倉庫 >
那覇港そば久米村に、王家の倉庫はあった。
事前に赤目三人娘に倉庫の中身や警備状況を調べさせたが、概ね城間の情報と一致していた。
山田が作戦を組み立てる。
王子の護衛は黒子に任せることにする。
合計九十五人で襲撃する事にする。
(比嘉仁喜子分選抜三十人。城間兵士選抜三十人。長尾家と李超軍三十五人)
長尾家の大半には、半弓を念の為持たせておく。
荷駄として運ぶため、馬も五十頭を用意した。
翌日の二十三時、決行する。
久米村の倉庫は二メートルほどの堀に囲まれ、大きさは小学校の体育館程度の広さだ。
那覇港から王家に運ぶ食料や財産を、一旦ここに集積する。
警備は夜番は八人、二交代で計十六人。
騒げば那覇の詰所から二十〜三十がすぐ来る。
倉庫門には鳴子と鐘が用意されている。
不測の事態に備え、警備は殺害ではなく拘束で対応する予定だ。
大勢でいると何事かと悟られてしまうので、比嘉仁喜子分選抜三十人、城間兵士選抜三十人と馬十頭は、一旦離れた場所で待機してもらう。
長尾家と李超軍三十五人で、倉庫を制圧する。
二十三時となった。
倉庫の特性上、あるのは表門だけだ。
小島が手で合図する。
大助や李超が、緊張感のまるでない警備員を拘束していく。
襲われる事があるとは、まるで考えていない。
早く帰って寝たい。
ただそれだけを考えて、ブラブラ周りを見ているだけだ。
小島達は、あっという間に制圧を完了した。
李超「戦えなくてつまらんぞ」
小島「そういうな、俺も同じだ」
李超「お前もだろ、同じだ(笑)」
山田「兄者、早く仕事しましょ」
小島「そうだな」
そう言って小島は倉庫を開くと、中は手前に山積みにされた食料があり、奥の部屋には財宝(約三千貫)が山積みされている事を確認した。
<緊迫>
そこで大きく鐘が鳴らされ、正門側が騒がしくなる。
大量の松明の光が、倉庫の壁に揺れた。
正門側にいた大助が飛び込んでくる。
大助「兄者、大変です。百名ほどの兵に囲まれています。我々は三十五名です。どうしましょう。今、うちの兵で正門を突破しようとしてくる兵士を食い止めてます」
小島「決まっている。道がないなら作るだけだ」
李超「おーーし、暴れるぞーー!!!」
山田「兄者、待って下さい。作戦を立てましょう。まずはうちの半弓を持たせた兵士を全て屋根の上に上げます。そこから交渉しましょう。兄者達はそこから暴れて下さい」
小島「わかった。頼む」
山田が、屋根の上に上がる兵士達に指示をする。
山田が正門に向かう。
山田が正門の影に隠れ、襲って来ている敵の兵士達に大声で話す。
山田「聞け!! ここの倉庫に火をつけるぞ。ここの倉庫の財産がなくなったら、お前達は全員縛り首だぞ。いいのか?
とりあえず、お前達の指揮者は誰だ? 出てこーい」
敵がざわざわして、敵の指揮者が前に出てきた。
敵の指揮者「俺がここの指揮を任されている。・・・・・・・・」
その瞬間、山田が手を上げる。
屋根の上から半弓で、敵の指揮者を狙撃する。
敵の指揮者の急所に弓が突き刺さり、ドサッと倒れる。
その後、屋根上の兵士が半弓を撃ちまくる。
山田が手で合図して、奥から小島達を呼びだす。
山田「蹴散らして下さい。これを蹴散らしたら、しばらく追手はこないでしょう」
小島「任せろ。行くぞ、李超、大助、喜屋武」
山田は彼らには、「行け」とか命令を出している敵の小隊長を素早く見つけ出して対処してくれ、と言ってある。
そのため彼らの後ろに二名の兵士を付け、側面や後方から襲われないように防御を付け、彼らの攻撃力を最大限に活かせるようにした。
その効果は抜群だ。
小島は、強そうな奴を見つけては、向かってくる小隊長の急所を目掛け、片手十字槍を突き刺す。
李超「斬り込むぞ!」
李超は、次々と襲ってくる敵に青龍偃月刀を振り回し、攻撃していく。
大助「兄者、先走らないで下さいよ」
と大声で注意しながら、小島に向かおうとする敵の足をねらい、動きを止めてから懐に入り、片手十字槍の石突きの部分で敵の顔面を攻撃していく。
喜屋武は槍をぶん回して、自分の半径に入る敵を叩き伏せる。
大隊長が弓で狙撃され、小隊長も小島達に打ち倒され、命令系統がなくなった兵士が取る手段はただ一つ。
敵「逃げろー、こいつらバケモンだー」
敵「こんなに強いなんて聞いてねーぞ、ふざけんな」
李超「おらおら、もっと立ち向かってこーい」
敵が逃げ惑う。
敵にすれば、弓が屋根から降ってきてパニック状態である。
逃げて行く敵を追う小島達。
山田「おーい、兄者達、そのくらいで勘弁してやって下さい」
やがて周辺の敵が一掃された。
<不穏>
山田「時間がないようなので、倉庫の荷物を運びましょう。合図を出しますよ」
そう言って山田は、合図の松明を手順どおりに振り回し、比嘉仁喜子分と城間兵士を呼び込む。
その間、動かなくなった敵を片付けさせる。
財宝を中心に荷駄に積み、食料は全て奪い去る。
倉庫を空にしたら、倉庫に火をつける。
大助「賢弟、王子が政権を取ったら倉庫は使えるだろうに、なぜ燃やすんだい?」
山田「次兄、良い質問です。この倉庫は現王家の象徴のようなものです。それが燃えたと世間に伝わって、燃やした者が新王だとしたら、世間はどう思いますか?」
大助「そりゃ、現王家が弱くて新王が強いって思うさ」
山田「それが狙いです。城間殿の倉庫に入り切らない食料は貧民街に配って下さい。その際、『新王・尚世真からのお恵みだ。名前を覚えろ、新王・尚世真だ』と連呼しながら渡して下さい」
大助「わかった。おいみんな行くぞ」
大助は兵隊をまとめた。
山田は一人、考え込む。
(どこから情報が漏れたか? 長尾家ではない。
すると城間か比嘉仁喜のどちらかに裏切り者がいる。
裏切り者は誰だ?)
革命は、まだ始まったばかりだ。
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