第255話 1540年 10歳 武田信玄登場だぞ (⑦武田家に災厄再来、山本勘助が仕掛けた罠)
<不穏>
山本勘助は、上杉龍義の命令を受け、駿河に船で来ていた。
山本勘助は二百名の兵士を使い、銭を運ぶ。
まずは面識のある太原雪斎と話をする。
そして山本勘助は、太原雪斎とともに今川義元に会いに行く。
今川義元「おー山本勘助殿、珍しき御仁が駿河に来られた。今回は何用か?」
山本勘助「駿河に利がある話を持って来ました。
今川義元殿の岳父、武田信虎殿を甲斐国に戻して頂けたら、越後から駿河へ一万貫を進呈致します。そして武田信虎殿にも、駿河国からという名目で一万貫進呈致します」
今川義元「なんと、豪気な事じゃ。確かに駿河に一万貫入れば利となるが、越後に何の利があるのか?」
山本勘助「武田信虎殿が甲斐国に戻れば、甲斐国は二つに割れましょう。
甲斐が割れれば、駿河は北の脅威を完全に断てます。
今川家は三河・遠江へ専念できましょう。
それは甲斐国と国境を接する信濃にも利があります」
太原雪斎「お館様、確かに甲斐国はお館様の奥方の出身国であります。
しかしながら、長年駿河の敵対国でもあります。
甲斐国の混乱は駿河の安寧でございます。
これで駿河は後顧の憂いがなく西へ向かう事ができます。
それを資金を越後が出してくれるというのですから、この策は用いて駿河に損はございませぬ」
今川義元「それでは儂と嫁との関係はどうするのか? 不仲になったら困るのは儂だぞ」
山本勘助「武田信虎殿から、その娘である奥方様を説得してもらえば良いのであります。
武田信虎殿からすれば、今川義元殿は最大の親孝行者でございます。
武田信虎殿は良き婿殿ということで、奥方様に良いようにしか言われません」
今川義元「この一万貫は、越後ではなく、駿河からという事で良いのか?」
山本勘助「越後からと武田信虎殿は受け取らないかもしれません。
駿河への一万貫は、武田信虎殿へ作戦がうまくいくよう、駿河とわからぬよう人員を手配して頂くための手数料であることもお忘れなく」
太原雪斎「手筈は私が整えます。この作戦で得をするのは越後と駿河で、損をするのは武田信玄ただ一人です」
今川義元「……よかろう。それが駿河の利ならば、やらぬ理由はない」
<緊迫>
話を聞き、武田信虎は狂喜した。
雪辱の機会が訪れたのだ。
武田信虎は、老いが迫る焦燥を押し隠すように義元の手を取り、涙を浮かべる。
武田信虎「婿殿には世話になった。我が死んだときは婿殿に甲斐を託す。
証文書こう。用意して下され」
こうして――
史実では武田信虎は駿河で一生を終えた。
だが、この世界で武田信虎は、甲斐国に元の地位を取り戻すため舞い戻った。
武田信虎「信玄はもはや息子ではない。討つ。ただそれだけよ」
災厄が今、甲斐に舞い戻る。
一方、帰りの道中。
山本勘助「田中は親衛隊で新人に負けて席を失ったんだろう」
田中直「勝ちましたよ。新人なんかに負けません」
山本勘助「負けたらうちに来い。俺のような権謀術数を駆使する者は、お前のような素直な奴を身近に置きたいものだ」
田中直は高く評価されて嬉しかったが、親衛隊にまだまだ居たかった。
ここで山本勘助に教えられた技を使うのだ。
田中直「ワッハッハッハッハッ(笑)」
笑ってごまかす技だ。
山本勘助は田中直にツッコミながら苦笑する。
山本勘助「余計な事を教えてしまったな(笑)」
<嫌な手>
一方、直江津にて。
安田「若様、信虎殿を甲斐に戻すなんて性格悪ーーーいですよ。
人が嫌がることは、やっちゃダメですよ」
俺「そんなこと言ってたら、天下統一なんて絶対に無理だよ。
武田信玄は天才だからな。
あんな天才に自由に暴れられたら、こっちが迷惑だ。
――だから、手錠をかける。
“信虎”という名前のな」
安田「……若様、信玄殿の評価が高いんですね、私ぐらいに(笑)」
俺「安田にかける手錠なんざ蜂蜜団子無しにするだけで十分だぞ」
安田「えーーーー!(涙)」
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