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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第205話 1539年 9歳 ドジ忍者蛍の細腕繁盛記その2

1539年 9歳 ドジ忍者蛍の細腕繁盛記その2


ドジ忍者蛍が、長尾家の高利貸し業――亀山社中堺支店の部長として赴任して四日目。


部長であるはずの蛍が、なぜかお茶くみをしていた。


「蛍ちゃん、お茶」

「こっちも」


私は部長なのに、と思いながら、

「はい熱いから気をつけてね」とか言っている。


赴任初日に、貸付を踏み倒そうとした悪徳野島商店から店の金を全て回収でき、

店を処分することができた。


それが出来たのも、野島商店に雇われていた蛍の元同僚の赤という忍者のスカウトに成功できたからである。


それで亀山社中堺支店代表の灰島に頭を下げて、

赤を蛍の秘書という形で雇用することができた。


野島商店からの資金回収の結果、

蛍は初日にして亀山社中堺支店の貸付回収の売上トップに立った。


壁にグラフも張り出され、

並み居る先輩を押しのけ、ぶっちぎりの一位である。


グラフを前に、蛍も鼻高々だった。


「まっ、私が本気を出したらこんなものよね」(一人言)


蛍はいつものように調子に乗っていた。


しかし後ろから――


「蛍、お茶」


赤は蛍が忍者時代に先輩だった女だ。

秘書のくせに、部長の蛍に命令してきている。


周りの課長や係長が、赤に注意しようとした。


「はーーい、今持って来ます」


蛍はつい、今までのクセで赤にお茶を入れてしまった。


「ご苦労」


「はい、」


周りは「えーー」であるが、

赤が何回も蛍にお茶や用事を言いつけるものだから、

次第に周りも遠慮なく蛍にお茶や雑用を頼むようになった次第である。


<緊迫の序列>


「蛍、お使い行ってきて、私の夜のおかずを寮に置いておいて」


「了解しました」


亀山社中は越後からの移住組が多いため、社員寮を置いている。

抜け忍である赤も社員寮に住むことになった。


蛍はこのままでは、甲賀の里と同じ序列になってしまうと若干の危機感がある。


だが、いつもの無駄なポジティブシンキングを発揮してしまい、

「赤も亀山社中に慣れるまで私に甘えているだけよ」と考えてしまう。


亀山社中の通用門から表門の方に回ると、声が聞こえてきた。


少年

「ここは金貸しのクセになんで、貸さないんだよ、馬鹿野郎」


少年と目が合う蛍。

少年の年齢は十四歳くらいである。野性味があり、ヤンチャそうな少年だ。


少年

「うん、あんた亀山社中の人だろう。中の人と同じ腕章をしている」


「そうだけど」


(何なの、この子?)


少年は、しどろもどろする蛍を見て――(こいつイケル!)

少年の目がキラリ。


少年

「俺のことはカズと呼んでくれ。あんた名前は?」


「蛍」


カズ

「蛍ちゃん、まず俺に飯おごって」


「へっ(驚く)」


カズ

「いいから、いいから」


カズは蛍の手を引っ張り、飯屋に連れ込む。


カズは大量の食事を頼み、むさぼり食った。


カズ

「蛍ちゃんも食えよ。あんたの金なんだから食わないと損だぞ」


(まぁ、これも私の人徳よね。困っている少年を助けないと)


「美味しい」


カズ

「だろ。ここは美味しいけど高いから俺だとなかなか来れないんだ。今日は蛍ちゃんがいるから安心だ」


ご飯も食べ終わり――


カズ

「蛍ちゃん支払っておいて、次行くぞ」


蛍が支払うと、カズは蛍の手を引っ張り服屋に連れて行った。


カズ

「これ、俺に似合うだろ。蛍ちゃんそうだろ」


「似合うよ」


確かに、カズは筋肉質で運動神経も良さそうだ。


カズ

「だろう。そしたら支払っておいて」


流石に、しぶしぶ支払う蛍。


「カズ、そろそろいい加減にしてよ。私、もー帰る」


カズ

「蛍ちゃん、今までのお金を倍にして返すよ。ついて来て」


<危機!カズの罠>


蛍が手を引っ張られ連れて来られたのは、博打場だった。


カズ

「蛍ちゃん、200文だして」


蛍が200文出す。


カズ

「倍にすれば、今日の分は全て返したことになるだろ?」


「そうだけど」


蛍の無駄なポジティブシンキングが発動した。


「上手くいくよ」


現実は甘くなく、カズは200文を取られて終わった。


流石の蛍も我慢の限界を迎え――


「もー帰る。私も用事あるし」


カズ

「蛍ちゃん、ごめん。最後ここだけ付き合って。お願い、お願い」


お願いされると弱い蛍。

カズに連れて行かれたのは神社だった。


神社の前で、カズは真剣にお祈りをする。


カズ

「俺が日本一の武将になれますように! 蛍ちゃんも俺のために祈って!」


蛍も祈る。


カズ

「俺さ、両親が早くに死んで俺一人なんだよ。

それで周りの奴らを見返すために日本一の武将になりたいんだ。


そのためには金がいる。刀とか装備を買うために亀山社中に行ったんだよ。

ごめんな蛍ちゃん。

ありがとうな」


カズに真剣な顔で言われ、グッと来た蛍。(人が良いのである)


「お姉さんがその願いを叶えてあげる。ついて来なさい」


今度は蛍が、カズの手をグイグイ引っ張る。

来たのは小西商店の前だった。


小西商店はいつも若様が人材登用に使っているお店で、

長尾家で活躍している主要なメンバーは小西からの紹介だ。


蛍は小西商店の丁稚に挨拶する。

蛍が亀山社中堺支店の部長だということは知られているので、かなり丁重な挨拶をされ――驚くカズ。


蛍は何回か来ているので、

小西商店の手代や番頭とも話をして、小西本人までたどり着く。


「小西様、このカズという少年は見所があるので若様にご推薦お願いします」


小西は自分なりの人物鑑定方法で、人相やいくつか問答をして、

カズを認めたようだ。


小西

「蛍さん、カズさんを若様に推薦致しましょう。

直江津行きの船が明日出港するので、私の紹介状を付けておきます。

後は若様がお決めになられます」


カズは、小西という超大物と蛍が面識があったことにも驚いた。

だがそれ以上に、今をときめく長尾家で士官できるという話にも大興奮する。


カズは蛍の手を握り、ブンブンふる。


カズ

「蛍ちゃん、本当にありがとう。俺、日本一の侍になって蛍ちゃんに必ず恩返しするからね。絶対約束は守るよ」


「頑張りなさいよ」


そういって蛍とカズは別れた。


寮に帰ると、おかずを買ってなかったので、

みっちり赤に怒られる蛍であった。


二週間ほど蛍がお茶くみをしていると、

灰島代表が慌てて蛍の所に来た。


灰島

「蛍部長大変です。九島会長が亀山社中堺支店を訪れるそうです」


「えーと、誰?」


灰島

「だから、亀山社中の社長が長岡様で、その上の会長が九島弥太郎様ですよ。

九島会長は長岡家の経済活動の頂点中の頂点ですよ」


「偉いってこと?」


灰島

「はい、ものすごーーーく」


そうこうしているうちに、護衛を連れて九島弥太郎が亀山社中堺支店を訪れた。

最敬礼する社員。


九島弥太郎が二階へ上がり、戸を開けると――

そこには平社員にお茶を渡す蛍。


九島弥太郎はそれを見て驚くが、すぐ平常心を取り戻す。


九島

「蛍部長、こちらに来て下さい。

私は若様に代わり、部長を表彰するためにここに来ました」


「おーーーー」


九島

「蛍部長は、期待の若手『滝川一益たきかわかずます』を若様に紹介した功績を称え、

ここに褒美として20貫を渡します」


蛍が驚く。


「滝川一益って誰ですか?」


史実では柴田勝家、丹羽長秀、明智光秀と並ぶ織田四天王の一人になる人物だ。


九島

「蛍さんが、カズと呼んでいた少年ですよ。

滝川一益も若様に蛍部長の事をすごく褒めていたので、若様も嬉しかったそうですよ」


「あのカズが偉くなるんだーー」


九島

「皆、蛍部長はいつも優しいけど、人を見ているんだぞ。

甘く見てたらわかっているよね」


暗に、蛍にお茶くみをさせていることを皆に注意した。


お蝶課長が初めて、蛍にお茶を入れてくれた。


お蝶

「部長の実力にびっくりしました。」


「蛍・・部長 肩でも揉もうか?」


社員

「部長、今まですいませんでした。これお菓子です。食べて下さい」


蛍はとても良い気分になった。


「皆、この20貫で飲みに行くぞーー

カズから美味しいお店を教えてもらったんだぞーーー」


「部長素敵です。部長最高」


「蛍•••部長、飲みに行きましょう(笑)」

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あ〜若い頃に博打で実家に帰れなかった滝川一益かぁ
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