306、友達と信頼
王の間を後にし王都の食事処。
ミカエルとユリィも同席し明日からのことを話す。
「だからなぁ!!俺は元素魔法の上を目指してんだよ!!!」
目の前でタコのような顔で話すのはミカエル・カエサル。
この声の高さからわかる通り酒が入るとめんどくさい。
だからこいつと飲みに行ったことは手で数える程、今回で2本目の手に突入。
「あったらいいけど、リスクもあるよねぇ」
隣で平時と同じテンションで話すユリィ。
ちなみにミカエルは2杯目、ユリィは6杯目。
俺は3杯目、ヒスイは飲んでいない。
「裏切りの剣聖か……考えたくないな」
「アレス、勝てそう?」
心配そうな目を向けるヒスイ。
今回俺達がエルナイツ王国に行く理由はユウラを守るためのー地の封緘ーを奪取するため。
それに加えこの事件も加わるとなると、少し手間が増える。
だがどちらもやり遂げなければならない。
「大丈夫さ、ミカエルもユリィも頼れる奴だ。絶対に成功する」
「あったひまぇ!!俺は最強の魔道士になるんだからな!!!お前も最強の剣聖になれ!!」
酒樽を天にかかげて揺らめくようにテーブルへ倒れるミカエル。
こいつは酔ったら潰れるまで飲むくせがある、何度忠告しても治らない。
「ミカエルはねぇ、口は悪いけどアレスの事をすっごく大事に思ってるんだよ。それこそ俺は魔法であいつは剣で世界一になるって言っちゃうくらい」
「……分かってるよそんくらい」
明日も早いので早々に解散。
泥酔状態のミカエルを送りユリィと別れ家路に着く。
「羨ましいな」
「どうした突然」
「昔から1人だったから、ああやって言わなくても分かるみたいな信頼関係がなかったの」
ヒスイが被るとんがりボウシを優しくなぞる。
「何言ってんだよ、繋がりは時間じゃないだろ」
「私の方がお姉さんなんだけど」
撫でる手をそっと跳ね除けられる。
別に子供扱いをした訳では無いのだが。
でも昔からの誼となると言わずとも何を考えているか分かることもある。
それこそミカエルの口の悪さは積み重ねた自信と自分への戒めと解釈できる。
あいつは他者にも厳しいが自分がミスをすると素直に謝罪し再発しないように手を尽くす。
当時合同演習で下位魔獣と対した時ミカエルの作戦行動のミスで死にかけた事がある、それに対しミカエルは目に付くところに原因を書いた紙を貼り戒めていた。
「まぁ死線を潜った数は誰にも負けないからな、頼むぞ相棒」
「柄にもないことを……でもありがとう、こちらこそよろしく」
軽くハイタッチをして次の朝を迎える。




