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72 魔虫の大群

「皆、解散するのは少し待って。

違う所で魔虫の大群が出たらしいわ」


「何処ですか?」


うーん、光景を見るけど、森ばかりで目印がない。今のところ人的被害はないっぽい。


「ヒュスト何処か分かる?」

『分からぬ。だがそう遠くはない。移動時間は15~20分ぐらいだ』


「何処か分からないけど、移動時間は15~20分ぐらいだって」

「あのスピードでですか?」

ヒュストに尋ねると、肯定した。


「そうみたいよ」

商会の戦闘員たちは、うへぇという顔をした。


「お嬢様、あのスピードはヤバいですよ。天国が見えました」

「最初はそうかもね。まあ、慣れよ、慣れ。その内なんとも無くなるわ」

「そうですかねー?」


そんな会話をしながらも、再度討伐のために外に出る。魔獣たちも集まってきた。

『主、変装はよいのか』


あ、そっか。

私は急いで少年騎士になった。

これはお手軽変装なのだ。これに仮面を着ければ、仮面の騎士が出来上がる。

今は着けないけど。


ヒュストに乗ったら、後はお任せだ。

楽チン楽チン。やっぱり移動時間が短いといいわねー。


魔虫の大群が見えてきた。

私はチェーンの先に卵鉄球(鉄球の中に卵)の付いたものを構えた。

この卵は何処にでも付いてくるので、討伐の時は武器として使用することにしたのだ。

ドリスデンで魔Gと遭遇した時は、討伐予定がなかったので鞄に入れていたけど、討伐の時に鞄は邪魔だから、チェーンの先に空洞の鉄球をつけてその中に卵を入れたものを腰に下げてる。

一応鉄球の中には緩衝材が入ってる。

この卵鉄球は普通の鉄球より軽いけど、普通の鉄球より丈夫だ。信じがたいことに、卵と鉄球をぶつけ合ったら、鉄球の方がひしゃげる。


因みに、私の普段の武器は、金属の棒である。刃は付いてない。

色々試した結果、これに落ち着いた。

討伐の時は、折り畳み式の棒と、初めから長い棒の大体二本持っている。

今回は長い棒の代わりに卵鉄球を持ち、折り畳んだ棒を背負っているスタイルだ。


「お嬢様、既に戦っている集団が見えます」

言われて、指差された方を向くと、騎士団っぽい集団が遠くに見えた。


「交渉が必要ね」


討伐の権利は、最初に戦い始めた方にあるので、途中で参入する場合は、参入の許可と、素材や分け前をどうするか決めてからでないと、後々トラブルになるのだ。

さて、ここの騎士団はどういう対応をするかしら?

今のところは、魔虫と一般人は接触はしていないけど、このまま大群が進めば、討伐し切れずに居住地に達するのは確実ね。

ここがどの領かまだ把握してないので、それも聞き出すように頼んで送り出した。


「お嬢様、交渉成立です。

好きなだけ討伐して良いそうです。たとえ高級素材であっても文句ないそうです。素材だけで良いと言ったら、むしろ感謝されました。

商会の名前は出さざるを得なかったのですが、どうしましょう、仮面の騎士と商会の繋がりはバレたくないんですよね?

あ、ここはキューラス領です」


「ありがとう、お疲れ様。

ここはキューラス侯爵の所なのね。

仮面の騎士はどうしよう。大物が出て来て目立つ時以外は、商会の少年ということにしようかな。

近くで共闘するわけじゃないから大丈夫よね?」


騎士団のいる場所は遠い。私は念のため、スカーフで顔の下半分を覆った。


それから暫く、ヒュストから降りて、卵鉄球を振り回して、魔虫を討伐していった。

数が多過ぎるから、素材として必要なもの以外は、卵鉄球で粉々にした。

面白いくらいにヒットする。

私を中心に円状の空白が出来ていく。

必要な素材は、棒で仕留める。すると、素材回収役がささっと持ち運んで行く。

5万体はいた群れが、騎士団と私たちの商会の頑張りで、1000体ぐらいに減っていた。


その時、大きな魔虫が2体、ピョンピョンと跳躍してきた。

何だか急に湧いてきたって感じ。今まで何処に居たんだろう?


跳躍してきたから、カマドウマかノミだと思ったけど蜘蛛だった。巨大な魔蜘蛛‥‥嬉しくない。


2体は糸を繰り出して攻撃しながら、ピョンピョン跳躍している。

蝿取り蜘蛛のようなやつだ。

大きいから、高く跳躍して着地するだけでも被害が大きい。騎士団がいる所を2体で代わる代わる攻撃していて、糸に絡め取られて動けなくなった騎士が一気に量産された。


「お嬢様、あれはSランク寄りのAランクです。あの跳躍力、私たちには手に余ります」



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