37 どうしよう
「どうしよう、男性陣に教えちゃった‥‥」
愕然とした私を見て、イザベラも愕然とした。
「えっ、あれ、意図して教えた訳じゃなかったのか。皆、凄く興奮してたが」
「私、前世を思い出してから男が信用出来なくなってて、万一束縛とかされた時に逃げられるように鍛えてたんだよね。だから男に教えるつもりはなかったのよー。どうしよう」
パニックになってる私を見て、皆も慌て出した。
「口止めしないとあっという間に広まるわよ!」
「あの訓練してると、周囲の人に魔力が減ったか無くなったかと勘違いされるでしょ。疑問に思った周囲から聞かれて、魔力制御の訓練のことを話したら広まるわよ。皆、訓練する気満々だったし、他の生徒達にとっては憧れの存在なんだから真似されると思うわ」
「訊かれたら困るから、私たちは人前では魔力を引っ込め過ぎないようにしてたのよ。まさかメリが忘れてるとは」
「メリが開発したものだから、メリがどう扱おうが自由だが‥‥どうする?」
「うっ、でも、何て言えばいいの~~前世の記憶がありますとか、男に万一捕まることがあったら逃げるためです、なんて説明出来ないよ~!!」
乙女ゲームだから、とはもっと言えない。きっと今の私はムンクの叫び。
ああ、それにしても一番警戒しないといけない攻略対象に教えてしまうとは‥‥何たる失態。
プリシラが予想外の前世持ちで、性悪な転生者じゃなくて、仲良く出来そうで、安心し過ぎて気が緩んでしまった。油断し過ぎだ。失敗はほんのちょっとの切欠からも始まるものなのに‥‥。
私が苦悩していると、マリーローズが、
「取り敢えず、口止めに行かないと広まってからでは遅いわよ」
と促した。
それもそうだと何の釈明も思い付かないまま動き出す。行きたくないけど行かねばならぬ‥‥。
ああ、どう言おう、歩いてる間に何か思い付かないかな。神様助けてー。




