表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/282

32 神殿担当の二人

キースは、前世を思い出す切欠になった人物なので、つい避けがちになってしまっていた。彼自身は全く悪くないだけに申し訳ない。


ワイマール伯爵家嫡男キース。

攻略対象。

鮮やかな金髪に、ラピスラズリの瞳。

均整がとれた、鍛えていると分かる華麗な身のこなし。

魔力は結構あると思うんだけど、その魔力がフェロモンで覆われていて分かりにくい。


ワイマール伯爵家は、由緒ある名家で資産も潤沢。

伯爵でありながら、不思議と王家も無視出来ない発言力を持っている。

今のところ、中央とはほど良い距離を保っていてあらゆる面で中立。そのため、御意見番として信用がある家だ。

そんな家が王族の側近候補に嫡男を出すのは珍しいが、第二王子は王太子の跡継ぎが育ったら、大公として臣籍に降ることが決まっているので、その時まで付き合うつもりなんだろう。

乙女ゲームの強制力が働いた可能性はあるけど、王子と相性が良いみたいで、二人で楽しそうに談笑してるのもよく見かける。


非常に甘やかで華やかな色気のある御仁で、約1ヶ月で付き合う女性が変わる。その約1ヶ月は余所見をしないことも有名。その約1ヶ月で女性は垢抜けて一段魅力がアップするのもあって、彼と付き合いたい女性は多い。ただ、一度付き合うと、以降は二度と付き合わないとのこと。そういう契約をするみたい。

その後も普通に友達?ファンクラブ?としての交流はするけど、恋人同士のような距離感の付き合いを望むのはダメらしい。

何でそんなお付き合いをしているのか不思議だけど、双方が納得しているなら、外野が口を出すことじゃない。



「メリアージュ嬢、こういう形で組むのは初めてだね。よろしく」


「はい、キース様、よろしくお願いします」


「回る順番に希望はある?」


「領地に行く御用があるとのことでしたので、それに合わせて決めていただいて構いませんわ。ただ、私も商会の用をついでに済ませたいので、場所によっては少し滞在を延ばしていただけると助かります」


「ん、そう、商会の用があるんだね。では、そのように予定を組もう。

まずは神殿の一覧と地図の確認が必要だね。資料室に行こうか」


商会の用があると知って、私が神殿担当になったのに納得した模様。

いいけどね!


先程の扱いを思い出して、ちょっとムッとしていると、キースは気付いたらしい。ちょっと申し訳なさ気に、


「ごめんね。メリアージュ嬢があまりにも淑やかなものだから、危険が多い担当になると思わなかったんだ」


と謝罪した。


心の機微に敏感で、気遣ってくれるのに内心驚いた。こうやって相対したことがなかったから、ここまで敏い人だと思ってなかった。


私は子供っぽく機嫌を損ねたのが恥ずかしくなってきた。おまけに、謝罪しながらも相手を持ち上げるこの洗練された様!ちょっと頬が赤くなった気がする。


「いえ、お気遣いありがとうございます」



資料室に入ると、手慣れた様子で神殿一覧と地図、魔獣の棲息状況を机に広げてくれた。


お、これは最新の棲息状況!

ここにこんな資料置いてあるんだ、知らなかった。

ふむふむ、この魔獣ここで発見されたんだ。行く時まで移動してないといいな。この素材残り少ないから補充したいんだよね。

蘭々として魔獣の棲息状況を見すぎたらしい。

ふと気づくとキースは、なるべく魔獣にかち合わないルートをとろうとしていた。

私が恐怖で目を見開いたと思っている?違う、違いますから!


「あ、ちょっとお待ちください、ここで商会の用がありまして」


「えっ、このルートは魔獣の棲息地にすごく近いよ」


「大丈夫です。現地に商会の手練れを揃えていますから」


「そう?手練れと言えば、仮面の騎士のこと聞いてる?

まだ少年らしいけど、もの凄く強いそうだよ」


「‥‥少年‥‥」


「仮面を着けてるから確実じゃないけど、目撃者は12~14才ぐらいの少年に見えたって」


うん、私は少年用の服を着て魔獣を狩ってる。身バレしたくないから、少年だと思われているなら作戦成功なんだけど。でも、本当に少年だと思われてると分かると複雑な乙女心が騒ぎ出すのよねーとほほー。


滞在したい所を申請して、サクサクと予定を組んでいくキースを感心して見ていると、王子とプリシラがやって来た。


「進捗具合はどう?」


「うん、ほぼ予定は組んだよ、こんな感じ」


王子に予定表を渡す。


「えっこれ、思いっきり魔獣の棲息地が近いルートばかりだよ」


「メリアージュ嬢が商会の用があるからこれでいいんだって」


そうなの?って感じで王子はこちらを見た。


「そうなんです。現地に商会の者がいますから、大丈夫です」


「それならいいけど‥‥そう言えば、メリアージュ嬢は仮面の騎士のこと聞いた?

凄い手練れだけど、正体不明なんだよ。オクジ山の魔獣をサクッと倒したと報告があがっていてね。課題になると思っていたけど、当てが外れたね」


うっ、また仮面の騎士。今日はよく話題にのぼる。課題のことを言われるとちょっと申し訳ないけど、人的被害が出ない方が大切だもんね!


「ええ、先程キース様からも伺いました。サロンでも話題になりましたよ」


私はふふっと微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ