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idealonline~白き龍と魔王~  作者: 十月
誕生、魔獣大都市
6/21

tame4 ウェアウルフ/ミノタウロス 前半

 学校から帰宅後、すぐにideal onlineのアイコンをタップする。


「お疲れ様ですご主人!」


 昨日ログアウトした喫茶店の前で目を覚まし、すぐさまティアが声をかけてくる。


「俺が何やってるかこっちからでも分かるのか?」


「はい、転移者の皆様が姿を消した場合は違う世界で"ガッコウ"とかとこちらにある仕事とは違う仕事していると伺ってます」


 そういう知識はあるのか、まぁ今日は


「昨日行けなかった狩りに行きますかい!」


「はい!」


 さすがに今回は誰も待っていなかった、これなら大丈夫そうだ。






※※※


「はぁああああああああああああああ」



「いい運動でしたねぇ……」


一人と一匹、仲良く草原に大の字で倒れ込む、今まで相手していたのは昨日狩る予定だったウェウルフだ。


 全身灰色の毛並み、瞳孔まで赤い目、人の体なら容易くかみ砕けそうな牙の持ち主で動きはそれなりに俊敏。だが決して目で追いきれない相手ではなかった、とにかくそいつとティアとあぁでもないこうでもないと話し合いながら狩り続けた。


 その結果……


「……」


 この打ちひしがれているウェアウルフが仲間になった、しかしさっきから何も喋ってくれない。


「そろそろ何か喋ってくれない?」


 と俺が言うと


「その……お二方の力になれるんでしょうか……むしろ足手まといな気がして……」


 恐る恐る話し出すウェアウルフ、思っていたのと逆でした。あまり喋らない性格かと思ってたらビビって喋れないだけというオチは流石に……


「まぁ力抜けって」


 俺はウェアウルフの背中を撫でる、それだけでウェアウルフは全身をブルブルと震わせている。


 なんでこいつがここまでおびえているのかと言うと……


 とりあえずフィールドを駆けまわってウェアウルフを集められるだけ集めてからティアを覚醒させてカーネージブレスをぶっぱなしました。



 そのお陰か俺自身のレベルも一気に上がったし、ティアのレベルもかなり上がった。そして一番の成果はこのウェアウルフだったんだが……


「……」


 どうやらティアにぶっ飛ばされた記憶が残っているらしく、ティアとその主である俺に相当な恐怖心を持ってしまったらしい。


「なぁ悪かったって」


 なんとか、彼の機嫌を取ろうと試みるが上手くいかない。どうしたものか……


 そこに


「失礼そこのお方」


 中々渋い声の方に背後から声をかけられる。振り返ると……


「貴殿が噂のテイマーとお見受けします」


「ほわああああああああああああああああ!?」


 二足歩行の牛の見た目、駆け出し冒険者位は簡単に切り裂けそうな鉄製の斧を持った魔物、ミノタウロスが背後にいた。思わず飛びのいてしまうがどうやらこちらと戦う気はないみたいだ。


「わ、悪い……さすがに振り返ったら魔物は予想外で」


「いえ、背後から声をかけた(わたくし)に問題があったのでしょう、驚かせてしまって申し訳ない」


 ……何この礼儀正しいミノタウロス逆に怖い。


「昨日から転移者の間で話題になっているドラゴニア殿で間違いないか?」


「あぁ、間違いないけど」


 と言うと彼? の頭が少し下がる。頭を下げているみたいだ。


「私の群れを……家族を助けていただきたい」


「分かった、何があった」


 どうやらバカやってる状況では無いらしい、訳を聞いてみると。


「このところ、村のメスや子供が次々と倒れては体が動かない、という症状が出ておりましてな。私自身や村の若いオスたちは特にそういう事を感じなかったのですが……」


 そういうことか、考えられるのは。

 

「死者出ているのか?」


 だが焦りは失敗の元だ、もう少し情報が欲しい


「いえ、今のところは……しかし倒れた者の表情はホントに苦しそうで……」


「恐らく、ここら辺の毒草を混ぜて作った痺れ薬を何かしらの形で撒いているのでしょう」


 急に口を開いたと思えば視線を集めてしまったからか再び黙り込むウェアウルフ、どうやら彼の方が詳しそうだ。


「続けてくれ」


 俺がそう促すと彼は再び口を開く。


「マスター達が使うポーションという飲み物は基本、この草原やミノタウロス殿が出てきた森に群生する複数の薬草を混ぜ合わせ、それを水とハチミツで苦味を薄めた物をそう呼んでおります。しかしその調合の際に一種類でも物が足りないと、それはたちまち麻痺薬になってしまうのです……」


「そういう事か……」


 複数の仮説が浮かび上がる、だがどれもイマイチ決定打に欠けている。後少し……もう少しだけ情報が欲しい


「そういえば……このところ、森中が霧に覆われたような」


「いえ、煙ですこれは」


 ミノタウロスが霧と言った瞬間に煙と否定するウェアウルフ、狼の嗅覚を犬並と考えれば……


「クソッタレ……!」


 NPC、プレイヤーかまでは分からない。だが間違いなく人間がこの森で意図的に麻痺薬を調合して盛大に焚いている可能性が高い。 だが何のために?


「ミノタウロス、ここらで少し隠れて待っていてくれないか? 解毒薬を買ってくる」


「分かりました」


 一旦ミノタウロスと別れて町に戻る、それとルーさんに一つ質問しておこう……

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