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idealonline~白き龍と魔王~  作者: 十月
誕生、魔獣大都市
20/21

tame17 アイディアルスキル

 ゲームやアニメの中で主人公が謎空間でたくさんの映像、というより思い出とかを見るシーンを自分の目で見るとなるとたまったものじゃない、視界は狭くなるし、それがスピード感の違うものばっかりだから正直画面酔いしそうでやばい。


「おい坊主、動けるか?」


 そんなことを言いながら近寄ってくるのはカトル……さん? さん付けでいいのかな年齢差が分からない。


「ちょっとキツイっす」


 実際スタンとかのデバフが付いているわけじゃない、ただ目に見える情報が多すぎて真っすぐ歩ける気がしない。


「んじゃあちょい失礼」


 そういうとカトルさんは俺を担ぎ上げるとステージの端に運ばれる。


「次実戦で使うまでには慣れておけよ、今回は味方が多いが、お前とファミリアだけで戦う時に完全に戦略の致命的な弱点になるぞ」


 まさにそうだ、せめて動けるくらいにはならないけどこれはマズすぎる。ちなみにスキルの効果は全ステータスを召喚中のファミリアと合算、ぱっと見はHP2000万越えで各種パラメータがぶっ壊れたプレイヤー、ファミリアが爆誕するわけだ。ただ結局のところ、これは全員で覚醒ティアのステータスを共有しているだけという。文面にするとちょっと固有スキルとしては微妙な気がする。


「まぁお前自身が動けないのは、最悪召喚するファミリア増やせば何とかなると思うぞ」


 それは確かに手段の一つだが今のプレイヤースキルだと三体が限界にも感じる、もっとテイマーとして動けるように、動かせるようにならないと……


「そっすね、後俺はなんで端っこに動かされたんすか?」


「まぁ見とけって、お前が使えるようになった奴のさらに上の奴を見れっから」


 親指でルーさんを指す、彼女の方を見ると


「ティアちゃん、後十秒耐えて」


 そう言ったルーさんを横目で見ながら頷くティア


『あの日、あの光景を見たから思う。』


 ちょっと待て、その詠唱はソレイユの!?


「ルーさんダメです!! それを使えばルーさんの体がどうなるか分かったモノじゃない!!」


――――夢でソレイユが使っていた詠唱とほぼ同じ言葉を紡ぎだす、そんな彼女を見て無意識に叫んでいた。


「黙って、見てろ。」


 カトルさんに口を抑え込まれてしまう。だが、だが……


『いや、間に合わなかったからこそ思う。私は、もう何かを成せなかった理由に"間に合わなかった"なんて使いたくないと!!』


 彼女が詠唱を終えただろうその瞬間、世界が薄れ始める。そしてルーさんの後ろにゼウスに見せられた若いころのカトルさんそっくりな少年が歩み寄る。


———―いってらっしゃい、姉ちゃん!!———―


 そうカトルさんっぽい少年が彼女の背中を強く押した瞬間。


世界の状態が加速した、凄まじい暴風と共にルーさんの姿が消え、巨大な白光と共にウリエルの牙がが吹き飛び、腹が裂け、翼膜が舞い、鱗が飛び散った。


「———―———―———―———―———―———―ッッッ!!!!」


 更に彼女の雄たけびと思える音が聞こえるとウリエルの腹が爆発し、中から内臓と思しき大きい肉片が次々に飛び出す。ウリエルのHPはもう30%を切っている。


「アアアアア———―———―———―———―———―———―———―!!」


 連続して起こる爆発は止まることを知らずにステージの至る所で起こり続ける。


"オノレ……オノレオノレオノレェエエエエエエエエエエ!!"


 そして聞いたことのない男の声で何かが絶叫する、それでも尚斬撃らしき白光と謎の爆発が止まらない。


「……これがお前が覚えたクレアシオンスキルの上位互換、ソレイユ達の時代は使うことを禁忌とされた命と引き換えの絶技、今は命までは取らないが、お前らのリアルで身体にどんな影響があるかわからないスキル、アイディアルスキルだ。」


 どう見たって人間ができる行動の限界を大幅に超えている。こんなものをやり続けてたらリアルの体もどうなるか分かったモノじゃない。


「これを覚えるまでに、クレアシオンスキルを使える状態で抑止力を含むイデア5人以上と戦い、認められた上で五回の警告メッセージに"はい"を押さないと覚えられないんだぜ」

 

「そんな危険なものを何で残してるんですか!!」


 これはゲームだ、それを楽しいものにするために悪を罰し、よりよい発展を促すのが抑止力NPCじゃないのか? この人達が考えていることが段々と分からなくなってきた。


「詳しい話はアイツを倒したら教えてやる。」


 会話に夢中になっていたが今思えばまだ戦闘の真っ最中、それにさっきまでしていた斬撃の音や爆発音がしなくなっている。周りを観察するとティアの足に寄りかかってなんとか立っているルーさんの姿が見えた。……あんなボロボロになった姿は初めて見たぞおい。


「さぁて、ちょいと終末をぶっ飛ばしますか爺さん!!」


『応!!』


 そう叫んだカトルさんと応じる声が重なると、彼の肌は一瞬で黒くなり背中に大きな魔法陣が現れる、そしてそこから四つの手が生えてくると今度はカトルさんの額ではなんと目が開いていた。


"カトルカトルカトルゥウウウウウ———―———―———―———―!!!!!"

 

 親の敵と言わんばかりに叫ぶモノの正体は……


 浮いた脳だった。

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