tame1 ideal online チュートリアル
白フードを被った人間のアイコンをタップする。これが最近の流行りのゲームideal onlineのアイコンだ。
リアルが監視されてるような今、人はゲームに自由を求めた。そして急速に発展したのがこのVRMMOだ。
瞳を閉じて待つこと五秒、開くとそこは白い大理石で作られた様な縦長の地面とどこまで広がる真っ暗な空間だった。
"ideal onlinerへのユーザー登録、誠にありがとうございます。そのまままっすぐお進みください"
どこからともなく声がする、システムアナウンスって奴だろう。言われた通り真っ直ぐ進む、しばらく歩いたところで直線の通路が終わり螺旋階段が姿を現す。
"これからこのゲームのシステムの説明を始めます。面倒な方はこの螺旋階段の中心を飛び降りてください。"
……正直言ってこれはすさまじく高い、かなり下に白い点がギリギリ見える高さだ。
大人しく階段を降りていくことにする、歩く度に鳴るコツッコツッと言う音が不思議と心地いい。
"この世界ではどの様に生きようと貴方の自由です、既存のゲーム通り1冒険者として世界を駆けまわるのも有りですし、NPCと一緒に街で商売することだってあなたの思いのままです。"
つまりはNPCの代わりになって他のプレイヤーと商売して『いってらっしゃい』と言うプレイもできるのか、そういうことをやりたかっゲーマーも多かったしこれはハマれそうだ。
"冒険者として生きていく場合、最初の初歩的なスキル以外は全て自分で作っていくことになります、そういう事が苦手な人の為にも、他人から伝授してもらう事も可能です。"
……無機質な機械音声だが話を聞いてるだけでワクワクが止まらない、つまりスキル開発もし放題だし伝授もし放題ってことだし、作ったものを誰にも教えず唯一無二のユニークスキルにしていい訳だ。
"また、スキルのセットをジョブとして登録することも可能です。ゲーム開発からは基礎的なジョブを用意させていただいております。"
一応の参考資料だろうか、それはやったほうがいいかなと個人的には思った。
"剣と盾を扱う攻守のバランスに優れたソルジャー、斧やハンマーを使い、ソルジャーよりも攻撃的なウォリアー、弓と短剣を扱い仲間の援護や押しの一手を得意とするハンター、火、水、風、闇、光を操り戦うマジシャン、回復魔法を得意とする僧侶、そして魔物と心を通わせて一緒に戦うテイマーやサモナーを用意させていただきました。"
――――運営が用意してくれたジョブだけでも十分遊べそうなレベルだなおい。
"最後に、本来なら階段を降り切った後に決める事なのですが、ユーザー名の登録を口答でお願いします"
「……ニア、ドラゴニアで!」
ドラゴニアは俺がネトゲでずっと使ってきた名前だ、多分通る。
"ドラゴニアですね、登録が完了致しました。それではお受け取り下さい"
そして何もない空間がぱっと光ったかと思うと小さな白い龍が現れた。
角や翼もちょっと丸っこくて可愛らしいマスコットみたいな龍だ、開いた瞼から見えたクリっとした愛らしい青い瞳もよりこの子をマスコットらしく見せる。
"貴方は77万7777人目の登録者です、記念としてこの子『ブルーティアラ』とユニークスキル『オールテイム』を送ります。"
まじか、なんていうラッキー!? こんな可愛い子をスタート早々もらえるのはこの上ない幸福だ。
「貴方がボクのご主人?」
上目遣いでこちらを見てくるブルーティアラ、正直頬が緩む、今他人には見せられない表情をしていると思う。
「そう!ニアって呼んでくれれば!」
「分かりましたご主人!」
可愛い、めちゃくちゃ良い!
"お気に召されましたか?"
「サンキューシッス!!」
我慢できずに階段を飛び降りる。早くこいつと世界を渡り歩きたい気持ちが先行してシステムアナウンスのことシッス呼んで階段を飛び出す。
すぐに体が自由落下を始めて白い光の中に突っ込んでいく。最後に聞こえたのは
"シッス、とはこのシステムアナウンスのことだったのでしょうか……"
とちょっと不思議そうな声だった。変な呼び方してサーセン……。