tame15 ウィル・クレアシオン ”ゼウス”
抑止力NPC「カトル」
本名:加藤薫
ゲーム上の表示名:カトル・ダン・スカー
300年前に学校での虐めを苦に自殺を図ったが、この世界を造り上げた神、アッラーフによってこちら側に召喚された。今では伝説の冒険者にして穢れ殺しの抑止の一人である。
彼に与えられたのは「終リヲ告ゲル第七ノ力」と呼ばれている、要約すると「世界のルールを無視して殺す力」を与えられている。がカトル一人ではコントロールできないので普段はアッラーフが『殴って命中したら』という限定条件を付けられている。
彼の行動原理はとても単純である。
1、【気に入った】 2、【どうでもいい】 3、【気に食わない】の三つである。
基本的にどうでもいいと関わらない、ソレイユ達に丸投げなことが多いが自分でやることもある、その際"対象含め証拠や関係者諸共無かったことにしてしまう"為他の面々からは「動いても動かなくてもヤバイ」とか「上司(先輩)ってより仲間になったシリーズ初代のラスボス」と言われたい放題である。
ーーーー少しばかリ前ーーーー
熱さも収まってきた、ただもう絶対に炎に突っ込むなんてしないって決めた……ゲームでも焼死は嫌だな。
「わりぃロボ、無茶させた」
「いえ、俺っちも悪乗りが過ぎやした」
「大丈夫? 水ぶっかける?」
「「お願いします」」
心配そうにしてくれるサキュバスに弱めの水魔法をぶつけてもらう,
おかげでスッキリした。
「さて、ルーさんに追いつかないと……ってティア?」
彼女の後を追おうとした時にティアが全く別の方向を向いていることに気づく、何見てんだ?
――――コンッコンッ
誰かの足音がする……ダンジョンに乱入できる奴なんて絶対にプレイヤーじゃない、だとすると
「ゼウスか?」
「うん、正解♪」
……歩いてきたのはやはり、あのぱっと見は性別のわからない男だった。
「良く分かったねえ、君実は天才なんじゃない?」
正直苦手なんだよなぁこの人な、なに言っても見透かされてる感じが好きじゃない。
――――だが目的はなんだ? 俺に関心を持っているようだがここまで来る理由はなんだ?
「目的はただ一つ、君に本気を出してもらおうと思って」
にこやかに言いながらパチンッと指を鳴らす彼、次の瞬間には場所が洞窟ではなくなった。
洞窟以上に暗い空間だ、そこに淡い光の球体が何個も浮かんでいる……いや何個どこじゃないぞこれ、何百何千それでも収まらない。
「ここにお客さんを招くは初めてだよ、いらっしゃい記憶の回廊に」
別にやって来てないんだよなぁ
「さて、ここで君に見てほしいのは一人の男と神の関係だ。 昔話みたいに言えば"泣いた黒鬼"と言ったとこかな?」
黒? 赤ではなく黒? なんて思っていたら視界が白一色に染まりだす
(いきなり始めるなって……!)
ほんと一方的だなあの人!!
――――始めに見たのは城壁の上に立つ一人の少年?と とてつもなくでかい茶色の龍、その龍の頭の上には白い礼装の女性が一人。
一人と一匹は睨みあっている、というよりは何かを話し合っているようにも見える。とても穏やかな光景だ。時々龍の体が震えるのは……笑っているのか
"出会いは突然、冒険者になって間もない少年は一匹の龍とその巫女と知り合いになりました。その龍はこの世界の神様で、別の世界から飛ばされてきた少年を見極めるために来ましたが、彼のことを大変気に入ったそうです。この少年こそ今こそ名高い冒険者にして僕らと同じ抑止の一人、大黒天カトルと呼ばれる少年になります"
ゼウスの声で場面の説明が入る、この少年が……カトル? たしか設定上で最初にこの世界に来た地球側の人間って説明があった抑止力NPCの一人だったような
――――場面が変わる、どこかの平原のようだった。そこで今度は少年と龍が戦っていた。とてもじゃないが少年が有利とは言えない展開だ。龍は魔法か何かで、周辺の小石を浮かべて飛ばしているだけなのに少年にはそういった行動が見られない……
"ある時少年は一国の女王に恋をしました。その人とは既に両思いだったのに中々気持ちを伝えあわない二人、それもそうです。彼女は『イデア』と呼ばれる僕ら抑止力の原型であるとても強い存在で、少年は自分じゃ釣り合わないと思っていました。また彼女も『イデアと結婚するには別のイデアと対等に渡り合える実力が必要』という条件に彼を巻き込みたくないと思っていました。それを見てしびれを切らした神様が『俺の分身体を倒して見せろ、分身体とは言え神さえ殺す実力があったら俺が認めてやる。誰にも文句は言わせねえ』と言って少年に分身体を差し向けたのでした"
おいおいまじかよ。なんてギャルゲー?
――――熱い戦い、とは違う。少年からはどこか振り切らない表情、踏ん切りがついていないような表情をしている。 そんな彼を殺さんばかりの勢いで自身の爪牙も使い始めた分身。
防戦一方だった彼は遂にその牙に捕らわれた
……ように見えた瞬間誰かが割って入った。
背中しか見えないが金髪のドレス姿、この人が女王か?
"カトルが死にかけた瞬間、そこに女王様が現れカトルの代わりに攻撃を防ぎましたが、肩に龍の牙が食い込んでいました。それを見たカトルは……"
"「もう人間でなくていい」"
というゼウスの声ではない少年の声がする……これがカトルの声……?
――――少年の見た目に大きな変化が現れる、肌の色は徐々に黒くなり額には……
三つ目の眼が出てきた。それだけじゃない彼の背後には四つの魔法陣が現れ、そこから腕だけのモノが四本、空間から出てきた。
"コロス、コロスと初めて言葉を覚えた赤ちゃんの様にそれだけを繰り返しながらカトルは分身に突撃します。もう彼の目には躊躇いなどありません、そして彼はあっさりと分身体を倒してしまいました。"
言葉自体はとても単純だった、だが場面を見ているとそんなものじゃなかった。
「なぁゼウス?」
「ん?」
「あの龍、山みたいにデカイ岩落とさなかったか? それともあれ実はただの馬鹿でかい段ボールとかなんか? カトルとかいう奴蹴り飛ばして空の彼方まで吹っ飛ばしてたけど……」
「んー、僕もこの現場にいたわけじゃないからね実際にダンボールだったかもしれないし、もしかしたら急造されて中はまだドロドロの溶岩だったりして、だた今のあの人から言えばこれもあり得るからなぁ……巨大隕石にぶつけられも隕石のが四散した位だし……本人無傷だし……」
戦いの終盤、龍の遠距離攻撃が小石ではなく、山に転がってるような岩を銃弾みたいな速度でぶっ放したり普通の人間だったら即死攻撃のオンパレード、ゲーム的に考えても盾役が頑張らないとパーティ崩壊レベルのクソ技に自分から突っ込んでノーダメージっぽいのが最早おかしい。
"かくして少年は女王と結ばれました……で終わればよかったんだけどそうはいかなかった。元々貴族の種馬として目を付けられがちだったけど、もっとヤバイのが目を付けた"
「それはヴァルガだろ」
「そうだね、ここからは場面を見せなくてもいいかな」
ゼウスが指を再びぱちんと鳴らすと元の洞窟に戻っていた。
……ん? ロボ、ティア、サキュバスが驚いた様な表情でこっちを見ている。
「ヴァルガはカトルの体を乗っ取り世界を壊そうとした、けれどあの龍 ウリエルと彼の親友が命を懸けて止めたよ。」
ファミリアの様子は後だ、今はゼウスの話を聞こう。
「後はファミリア達からも少しばかり聞いたんじゃないかな?」
「大戦……だっけか?」
「そうそう、その大戦後にウリエルの墓参りに来た彼が見たのは今のウリエルがいたんだよね。その後カトルはウリエルの親代わりを時々してたってわけ」
「なるほど、ごめんやっぱ長いから三行で」
ただ正直なところ説明が長すぎだ、お涙頂戴なとこだろうけど長いから三行で頼みたい。
「ウリエルとカトルは家族みたいな関係
今回ウリエルがヴァルガに乗っ取られたっぽい
君にはウリエルに憑いたヴァルガ教の奴を倒してほしい」
「ほいほいっ」
最初からそう言えってー!! なんかゼウスしょんぼりしてて申し訳ないけど
「マスター、行きましょう これが事実なら事態は非常に不味いです。」
確かに止めないとまずいわな、仮に神が敵になったらバトルバランスどころか世界のバランスそのものがまずいことになる気がする。




