tame13 一匹狼の狩 後編
この章はルー視点になります。
肉を裂く感触、吹き出す血飛沫。 双剣を心臓に突き刺して心臓がゆっくりとその動きを止める様を楽しむ余裕なんてない。
それにしてもモンスターの挙動がおかしい、このIDは何周もしたがサキュバスなんて今まで存在すら確認できなかった。
この目の前にいるリザードマンもそうだ、いつもは単独で行動している且つアクティブな奴が多いのに今回に限ってはそれと真逆の行動を取っている。
(何かを守るような……?)
守る? そんな奴らが何を守っているのか……私には分からない。
戦い……とも言えない、狩りの合間にニア君の姿を探す。
離れたところでロボ君の背中に乗りながら調べものをしているみたい。しかし一見離れているように見えるけどすぐにフォローに入れる距離を保たせているのは彼らしいというか……それに。
「あまり無茶はなされぬように」
私の傍にはコボルトの姉御さん?もいる。
この子の援護は今まで組んできたプレイヤーよりも助けられている。
「今の私には貴女っていう後衛がいるから」
「それは光栄の至りっ……でっ!」
と言いながら瞬時に弓を放つ、その弓は私に攻撃を仕掛けていたリザードマンの眉間に突き刺さる。
「ナイスショット」
「この位!」
私ももっと前に出ないと……と思ったら自然と足が駆け出す。
『あの技』もうトリガーは引いた。この先に間違いなくクエストの対象となる大ボスが現れるはず。
――きっとお前のことを良しとしない奴らに間違ってるとか、嫌な言葉を沢山言われるかも知れない、それでも進むと決めたなら……
「ひとーつ!」
勇ましい雄叫びを上げて突貫してきた数体のリザードマン達を切り裂く。そしてバフ欄に付く『輝』の文字。
――戦いの勝敗を分けるのは理屈を超えた気持ちだよ。より多くの仲間と戦うなら、いかなる戦局を乗り越えようとする気持ちが強い人間が多い方が勝つんだ。『この道』を進むならどんなに痛くても、怖くても仲間から背中を守り続けるんだだから神盾の名に誓って欲しい。
「ふたーつ!」
きっとこの先にいるのはとんでもない強敵に違いない、MAPのアイコンに抑止力NPCの存在を示すアイコンがあるからそうだと確信できる。続いて付くのは『空』の一文字
「――――――ッッ!!!」
地鳴りを起こすほどの咆哮に続いて放たれたのは矢の雨。だがそれを
「させないっ!!」
小さな射手が強い風を纏った一本の矢で弾き返してしまう。
……もしかしてニア君のファミリアって下手なプレイヤーより強い?
――――同じ目標を持つ仲間と一緒に戦うって言うのは時に面倒臭くもあるかもシレナイけどね、それってとっても素敵なことなんだヨ……
「みーっつ!!」
諦めないと言わんばかりに第二射が飛んでくる。今度は私が防ぐ番
「レーヴァテイン!!」
ブレードマスターのパッシブスキルの一つ『クイックチェンジ』を使って強制的に双剣から大剣に持ち変える。そして
「はぁっ!!」
大剣スキルの一つ、単発で高威力の『グランドクラッシュ』を使う。加えてここにレーヴァテインの特殊効果が乗って地面から業火が噴き出す。
「これはすごい……」
後ろの姉御さんが零した声が聞こえる。正面を包み込む炎の壁と化す。矢は一本残らず燃えて無くなったはず。そして付く『愛』の文字
――他の人を見捨てちゃだめだよ、チャンスを作ればそこから仲間に勢いが生まれると思うから。常に私が切り開く! って気持ちでいよう?
「よーっつ!」
実はやらかした、この炎数十秒はこのままなんだよなぁ……どうしよう
「ロボ! 構わず突っ込め!」
「火の輪くぐりならぬ炎壁強行突破ですかい! おもしれえ!」
不意に現れたのは狼のロボ君とその背中に乗るこの子達の主であるニア君。
ロボ君はそのまま炎に突っ込んでいってしまった。
……二人そろってバカなのかしら
「「あっっっっつい!!」」
言わんこっちゃない……だけどこれで道が開けた
「ありがとう!」
「後で追いつきますんで!! ……えぇいサキュバスいっそ水系の魔法ぶっかけろ!!」
あれは暫く追いつけなさそうね……
――――
しばらく走ると大きな空洞に出た。
そこにいたのは……
「ここにくる人間がいるとはなぁ!!」
「―――――――!!」
龍の頭を押さえている人間、抑止力NPCの"カトル"がいた




