tame11 実力差
サキュバスト会った場所から進むこと数分、俺は新しいクエストのテキストとにらめっこをしていた。
【サキュバスからの依頼
洞窟内に蔓延る真の悪を暴け!
】
結局、クエストリストにはこんなクエストが追加されただけだった。これが表示されてたから
これを大きな進歩と取るか、これだけだったと取るか……
「今まで何回かここを攻略したけどこんなクエストは……」
ルーさんは大分前向きに捉えているようだ、これは俺も前向きに考えよう……
「ニア君、私もちょっとスタイル変えるね」
「は? はい?」
と思った矢先にルーさんがウィンドウを弄ってジョブチェンジをする。このゲームは戦闘中でない限りいつでもジョブチェンジができるみたいだ。
彼女が持ったのは……双剣だ
「本気出すんすか?」
と聞くと
「ただ周回するだけならさっきまでの刀のジョブでも良かったけど、初めてみることが起こるなら最初から全力で行こうかな~って」
苦笑いしながらそう言うルーさん、まぁ確かに慣れてない(?)ジョブより普段使っているジョブのが全力をだせるよな。
……前々から思ってたけどなんで刀使ってるんだろうか、今度聞いてみよう。
「マスター、12時の方向に敵の気配が三つ程」
そんなことを考えてたら少し前を歩いていたロボから敵がいるという報告を受ける、数的に考えればロボとルーさんの二人で……
「天の運命に逆らって見せよう」
剣が相手にヒットした音が聞こえたかと思ったら言葉が聞えた、既に俺の隣にいたはずのルーさんはいなかった。
「「「「えっ……」」」」
俺、ティア、ロボ、姉御は揃ってこの状況に頭が付いていけてなかった。
待て待て待て! これは速すぎる!
「ボ、ボサっとしてるとあの娘に置いて行かれちゃうわよ!」
サキュバスも表情は平然としているが、今まで聞いたことのない声量でそんなことを言う時点でこいつも頭が状況についていけてないと思う。
「ロボは先行! 姉御はロボの背中に乗って先行! 必要なら二人の援護! サキュバスとティアは俺と背後警戒しつつ進む!」
状況についていけないがここからどう動くか分からない、なんとか頭を回転させて指示を出すと
「ハイ!」
「承知!」
「のった!」
「了解よ~」
各々承知してくれたようだ、ロボは姉御が背中に飛び乗ったことを確認すると全速力でルーさんを追いかけ始めてくれる。
こっちは……
「サキュバスって魔法主体だよな……」
咄嗟に指示して後悔、前衛いないや……。
「アタシ前衛する?」
妖艶な笑みを浮かべたサキュバスが自身の着ているドレスのスカート部分を太腿辺りからビリビリと破いて見せたのは鞭だった、これなら
「最悪前衛を頼むわ」
「りょ~かいっ」
と今度はニッコリ笑顔で承知してくれる、彼女の表情一つ一つに心臓がドキドキするのは思春期だからだろう、恋した訳ではない……メイビー……
※※※
できるだけ急いで走ったが、ルーさんどころかロボたちにすら追いつかない。どうなってんだこれは
「サキュバス、ここに幻覚見せる魔法とかはかかってないよな?」
「そのはずよ~」
もうすぐ追いついてもおかしくないのに姿すら見えない。どれだけ離されたんだ……
「ご主人! もう少し先で多数の魔物の気配が!」
……そこにいるかもしれない
「ロボ達の気配は!?」
「わかりません! いたとしたら敵の気配で覆い隠されています!」
寄るしかない、ここより先に行っていたとしても挟撃の恐れが出てくる。
「殲滅するぞ!」
「ハイ!」
「了解~」
サキュバスは鞭を持ち、ティアも飛んでいる高度を上げる。
だが目の前に広がった光景は……
「ぜぇ……ぜぇ」
「はぁ……はぁ……」
へばっているロボと姉御
「……」
それを守るように立つルーさんと、大量の二足歩行のトカゲの様な魔物、リザードマンの姿だった。




