空の冒険 1
「龍二、おきなさい,何時や思ってんの?」
母親のかん高い声が聞こえてきた。
「うるさいなぁもう、聞こえてるワ」
眠たそうなしぐさで、龍二はいった。
「うるさいとは何やねんうるさいとは、朝から何回起こしてると思ってんねん」
母親は、金切り声でいった。
「えっ、朝からって?お母ちゃん、今何時やねん」
龍二は、まだだるそうに目をこすっている。
「アホかお前は、もう昼前やでほんまに。朝飯と昼飯いっしょやもう、早う食べなさい」
母親はそういうと、仕事に出かけていった。
龍二はボーッとしながらも、昨夜の事を思い出していた。しかし、さすがに始めての体験に、
よほど疲れたのだろう。横になるとまた深い眠りに入ってしまった。
目が覚めると夕方になっていた。その頃になると、龍二は元気を取り戻していた。
龍二は、あきらの家に行くことにした。昨夜の出来事を早くあきらに報告したかったのだ。
あきらの家につくと、ぶんじも一緒にいた。
「おいおい、龍ちゃんじゃねーか。お昼食べた後、龍ちゃんちいったんだよ。いなかったさーね。ぬーえるばーがー(なんだお前は)。わじわじ(腹立つ)するさーね」
あいかわらずあきらは怒り口調だ。
「ごめんごめん、昼寝しとってん」
「なにいってるねー龍ちゃん、子供が昼寝するかー、何のための夏休みねー、夏休みは遊ぶもんさー。昼寝してる場合いじゃないよ」
「いいすぎさーあきらくん。でもさ龍ちゃん、あきらくんになんか用事でもあったんじゃないねー」
ぶんじはいうと
「うん、でもたいしたことないねん」
龍二はとぼけた。
「宿題でもおしえてもらいに来たんじゃないのか?うり、とぅるばい(こいつバカ)だからさ」
あきらは、本当は龍二が来たのが嬉しいのだが、どうも素直になれない。
「そうねー、龍ちゃん」
ぶんじはやさしく聞いた。
「う、うん」
「ゆくしー(ウソ)いってるさーこいつ。ほら、なんも持ってきてないさ」
「だからさーあきらくん、そんないいかたしたらダメだっていってるさーね」
ぶんじは龍二が手ぶらで来てるのを知りながらもかばった。
「わかったよっ」
相変わらずあきらはぶんじに弱い。
「あきらくん、僕先帰るね」
ぶんじは、龍二のしぐさを見て何か察したのだろう。ぶんじは帰っていった。
「あきらくん、ぼくな昨日空飛んでんで。さっきはぶんじーがおったからさー、とりあえずあきらくんにだけに話そう思ってん。あきらくん、あきらくんほんでな僕小学校の上まで飛んでいってんで」
あきらは、(夢でも見たんじゃないのか)とあきれ顔で見ている。
さらに龍二は
「今度、あきらくんもぶんじ達も、一緒に行こうや。ほんで僕たちみんなで空の冒険しようや、冒険冒険」
龍二はひとりではしゃいでる。
あきらは信じていない。適当にわかった、わかったとうなずいてるだけだった。
「暗くなったから帰るわ。あきら君、冒険やで冒険」
龍二はそういうと帰っていった。




