表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

見えないものが見えた

龍二は不思議な能力があることをまだ知らない。


物語は大阪から始まる!

                   ― 大阪 ー


「セーフセーーフ。ふー、まにあったーっ。また遅刻するとこやったヮー」

龍二は両手を広げ、セーフのポーズをとった。       


『キンコーン、カンコーン』

始業の鐘がなりだした。


「わっ、やばいやばい、キンコンなりだしたで。よーっし、教室まで猛ダッシュやー」

龍二はまた走りだした。


すると


『ざわざわー』


校門の横にある大きな木が急に揺れだした。


(りゅうじくん・・・、りゅうじくん・・・。)


(えっ?誰やねんこんな時に・・・)

龍二はつぶやくと立ち止まった。


(りゅうじくん・・・)


(ほんまに誰やねん。もうっ、遅刻するっちゅうねん)


(りゅうじくん・・・)



「もうほんまにっ、誰なんよ」

龍二は声を張り上げ振り返った。


(りゅうじくん、久しぶりやん)


すると、木の陰から小さな男の子が現れた。


「・・・。う、上地くん?上地くんやん。な、なんで?上地くん東京ちがうん?こないだお別れ会やったばっかりやんか?」

龍二は首を横に傾げながら不思議に思った。


ほんのすこし、上地くんの体が中に浮いてる。しかし龍二は気づいていない。


(・・・・・)

上地は黙ったままだ。


「上地くんどないしたん?」


(・・・・・)


「上地くんどないしたんよ? だまっとってもわかれへんよ」


(・・・りゅうじくん。・・・りゅうじくんは死ぬのってこわい? ぼくな、死ぬかもしれないねん)

上地は消え入りそうな声でいった。


「えっ?突然なんやねん!死ぬって?だって上地くん元気そうやんか」

龍二は笑顔でこたえる。


(僕なぁ、病院の先生にもうあかんっていわれてるねんて。ほんでなー、お父ちゃんお母ちゃん、めっちゃ泣いとってんやんか)

元気なく上地はいった。


「キャハハハハー、なにいうてんねん上地くんおもろいこというなぁ! めっちゃ元気やんか、キャハハハー」

龍二は腹かかえて笑った。


(笑いすぎやってりゅうじくん。僕が死ぬん、そんなにおもろいかー)

上地は消え入りそうな声で言う。


「だからー、死なへんっていうてるやんか! こんなに元気やねんから! だいじょうぶだいじょうぶ―。だいじょうぶやってー」

なんの根拠もないが、ただ龍二はそう思った。


(そうかなぁ、僕大丈夫かなぁ、僕死にたくないなぁ!)


「それそれ、それがあかんねんって上地くん。そやっ、これからどっか遊びにいけへんかー。ぱーっと、ぱーっといこうぱーっと」


(えっ、遊びにいくって?・・・。でもりゅうじくん学校は?もう授業始まるんちゃうん?)


「学校はええねん、学校は・・・。ん?えっ?えーっ学校?あーっ、学校や学校、僕また遅刻やんかー」

龍二は大声で叫んだ。


(あいかわらずやなぁ、りゅうじくん。なんか僕、めっちゃ元気でてきたわ)


「わーっ、上地くんそんなこというてる場合やないって、僕また遅刻やん。また先生にお

こられわー。こ、今度遊びにいこうや、ほんまやで上地くん」

龍二はそういうと教室まで全力で走っていった。


龍二は息をきらしながら教室の戸を一気に開けると、クラス全員が一斉に龍二を見た。


「こらーっ、おおしろくんまた遅刻ですかー。とっくにホームルーム始まってますよー。はよう席つきなさい」


「高岡先生ごめんなさい。ちゃーうねん。僕なー、ちょっと校門のとこでなー、こないだ転校した上地くんおったやんか、そう、上地くんにおうててん。ほんでしゃべっとったらなー」


「嘘いうなーおおしろー。高岡先生、こいつまた嘘ついてんでー。おれ見とってんぞー。おまえひとりやったやんけーっ!」

よりによってクラスで一番うるさい木村に見られていたのだ。


「嘘やないよ。だってなー、さっきまで上地くんとおうてしゃべってたんやもん」

龍二は泣きそうな声でいった。


「ほーらみろ、やっぱり嘘やんけー。おおしろー、おまえひとりでしゃべってたやろう。なーやまだーわたなべー。おまえらもいっしょに見とってんなー」


「そーやそーやー、僕らも見とってんぞー。おまえひとりやったやんけー」

山田と渡辺も口をそろえるようにいった。


すると教室全体が騒がしくなった。


「みんなー静かにー、静かにしなさーい。木村くん静かに、みんなも静かにー」

高岡は大きな声で言うが、まわりはまだざわついている。


「わかりましたー。ほんなら先生からおおしろくんに聞いてみますねー」


「そやそやー、高岡先生びしっと聞いたってやー」


「木村くん、静かにしなさいいうてるでしょう」



「ふん!なんやねん」

木村は納得がいかないようだ。


「おおしろくん、だいたい上地くんは東京にいてるんですよ。わかってますか?みんなも知らないと思いますが、この際やから言うときます。えー、上地くんはですね、今、病気で入院しています。先日ご両親から連絡ありました・・・。」

ざわついていた教室内は急に静まりかえった。


「大変重い病気だそうです。・・・、今いっしょうけんめい病気と闘っています。だから今、上地くんがこっちにいてるわけないんです。おおしろくん、なんか勘違いしてるんやないですか?」

高岡は言うと教室内がまたざわつき始めた。


「先生こそ嘘やで、だって上地くん元気やったもん。さっきまで僕としゃべっとってんから」

龍二は泣きそうな声で訴えた。そして、ちらっと窓の外に目をやった。


「あっ!上地くんや。ほら先生、上地くんいてるやん」

龍二は窓の外を指さした。


「やっぱり嘘つきやー。誰もおれへんやんけー。そんなことありえへんわー。しかもここは二階やで!ほんなら、上地くん空中に浮いてるいうんか?空飛ぶいうんか?そんなんありえんわ~。おおしろー、おまえほんまに嘘つきやなー。ほんま大嘘つきやー、なー、なー、みんなー」

木村はいうと教室はまたざわつき始めた。


龍二が指さした場所をみんな見ている。しかし誰も上地の姿が見えていないようだ。


(なんかようわからんなってきたわ)

高岡は首を傾げた。


「みんなー、静かにー。静かにしてくださーい。わかりましたー。今日の1時間目は自習にしまーす。わかりましたかー。おおしろくん、放課後職員室まできてください。いいですね!」

高岡はいうと教室を出て行った。


(僕、嘘つきでも大嘘つきでもないで。・・・なんでやろう、先生もみんなも嘘つくとはおもわへんし、僕にもようわからへんわ)

龍二はつぶやくと、窓の外をもう一度見た。しかし、上地の姿はもうなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ