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人狼夫婦と妖精 ツインズの旅  作者: 冬忍 金銀花
第一章 駆け出しのハンザ商人 オレグ
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ep.1 夢の架け橋


 西暦 1241年4月1日 バルト海・ゴットランド島 


*)自己紹介


 若いハンザ商人の男とこれまた若い人狼の巫女、そして小さな二人の妖精らが、合計の四人がどこからともなく現れて自己紹介とともに奇妙な旅が始まる。


 この四人は旧知の仲のはず、だが顔を見合わせて沈黙とは如何に。


「だれ!」

「俺、オレグ。」

「私はソフィアよ、よろしくね。」

「で、」

「私たちはノアとリリー。私がリリーでこいつがノアね。」


 名前を聞いて思いだしたかのように燥ぎだす。


「わ~みんな久しぶりよね。リリーは生きていたんだ。」

「私たち二人は死なないよ~、まだまだ旅は終わらないもの。」


「ああ~……これは妖精のお二人さん、小さいね。」

「俺は大きいぜ!」


 ノアは身長が百四十五cmの男の子に変身してみせる。


「小さい言うな。」

「ははごめんね間違えた。ちっパイ! だった。」

「ちっパイ! 言うな!」


 リリーはオレグの頭を殴り続ける。痛くはないが痛いふりをする。


「オレグ! からかうのはお止めなさい。もうダメじゃないの。」


 ソフィアはいつも呆れた顔をしてたしなめる。ま~前世からだが忘れてはいないらしい。


「リリーは子供の大きさに成れるかな、私たちの子供になっていいぜ。」

「ごはん! 沢山食べないと人の形態は維持できないよ。燃費は最悪だけどいいかな。」

「ダメだ!」x2


 妖精の旅道中は危険がいっぱいだ、各地にあるハンザ同盟の商館の通信兵にされてしまう。妖精を一人売れば一生暮らせるだけの褒章が貰える。

 

 ハンザ同盟の商館では、通信の手段に妖精の持つテレパシーを利用したネットワーク世界が構築されているからだ。


 一人、二人と数が多ければ多いほど通信速度、距離、データ量が増やせるからで、ハンザ同盟の商人はこのネットによる売買の決済の全てを行う。妖精の寿命は長いが代えが無いので何処の商館でも欲している。


 ハンザ同盟の商人は各地の本拠地か支店に名義とネット口座を設ける必要があり、それは身分証も同じだ。身分証は自分の口座からの現金引き出しに絶対に必要で、無くてはならないものの一つだ。通行手形になり街への出入りの税金が無料になる。


**********************************************************


 上記は物語の架空の世界です。ハンザ商人はいつもニコニコの現金商売を近世まで行っていました。泥棒さんとかに襲われていないか? と思ったのですが、別段強盗に遭ったとのHPには書き込みは見られませんでした。

*********************************************************


 工業製品や宝石類、穀物等の輸出はハンザ同盟の商館や支店に事前に申請しておけば、商人が買い付けに来てくれるように手配される。また、いつもの商人は事前に買い付けに来るから手間がかかる事はない。


 毛皮や小麦の季節商品は金額が高くて産出も多寡が生じるから、必ず入札方式が執られる。


 船舶は、大きな都市へ順に、ノブコロド リガ ビスピー グダニスク マルメ リューベック ハンブルグ ロンドン ブルッペ へと航海に出る。


 穀物の輸出は主に船が利用されるので船主とも仲の良い関係を結んでいる。港湾と産地を往復する馬借も重要だが、船舶輸送には危険がつきもので荷主は荷物に保険を掛ける。保険の引き受けは地元の有力な貴族か領主が引受ける。

 

 荷馬車による輸送には保険が無い。だから、大きな穀物輸送時期は生産者が自警団を結成して、盗賊から荷を守るシステムが構築されている。


 ちなみに、海上輸送では海賊が頻繁に出没する。イングランドは私掠船を認めハンザ同盟の船舶を襲わせ、デンマークにいたってはハンザ同盟と敵対した為、エーレ海峡通過時に襲わせている。




*)ハンザ同盟とデンマークは同業なので敵対している。


 個人の商人たちは馬車が狙われ易いのでおおむね二人組以上で運んでいる。


 主に商人が五組以上で移動するのが経済的であり、一人の商人は必ずこの団体に紛れ込んで移動している。どうしても一人で移動しなければならない時は空荷で移動だ。護衛も雇えるが費用が高くなるので分散で委託輸送されているようだ。



  ヴィスビューは薔薇の都と呼ばれ、城壁内にはバラ園を備えた植物園がある。


「わぁ~綺麗なお花! ねえ、何というお花なの?」

「リリーは本当に妖精か? 長生きしてるくせにな~んも知らねーな。」

「リリ~これはバラの花よ。アーチになっているのはつるバラね。」

「ソフィアは優しいね、オレグはちーーーっとも優しくない。ヒネクレ者!」

「褒めるなよ、照れるぜ!」

「バーカ!」x3


 このお話はスウェーデン王国の南方、バルト海に浮かぶ島・ゴットランド島の薔薇の都・ヴィスビューから始まる。前世の記憶があやふやでもう暫くは寝ぼけ多用に混濁している。


「この時代も俺は? 商人か。ソフィア! お前はこんなに綺麗だったか?」

「そうよ可愛い! も、つけて言いなさい。はい、もう一度、ね?」


 ソフィアは光り輝くような銀髪でロングの髪をしている。普段は活発なお嬢さまだから長い髪は頭に巻きつけたようにして、丸い髪型にしている。髪留めは青のクリップと赤のヘアピンを愛用している。身長は百六十五cmでやや高いほうだ。胸は? 大きいか!


 色白で頬の紅が可愛い! 上着はダブダブの蒼い服を着ている。下は青のミニでひだのあるスカートだ。靴は赤。丸めた髪には青い色の羽根飾りをつけている。


「ほめ過ぎよ照れるじゃない。歳は秘密ね!」


 オレグは内心で褒めているのは服装だが? と思っている。


 俺は身長が百七十五cmの細身でやや色黒。自慢の髪は黒だ。上着は茶色のブレザーと言っていいかな、それにカッターシャツに棒ネクタイ。丸い飾りには俺の属するハンザ同盟の紋章があり身分証になっていて、紋章は船のレリーフで俺の命そのものだ。下は茶色のズボンと茶色の靴。


 少しばかり上品な服を着ていないと商談に差し障りがある。


 百年位の記憶があるが年齢は不詳ながらも外見で二十五歳くらいに見える。なので……二十三歳にしておこう。ソフィアは十七歳に仮定しようか。


「二枚目スターだ!」


「字が自賛ね。新米の次の二米目スターよね? リリー!」

「そうね!」

「そんなに言わないでくれよー。」

「いいよ、いいよ。どんどんけなしてやれー。」


 ノアも話に輪を掛ける。


 リリーは三十cm位の妖精さんで緑のワンピースにブルーのスカーフ。銀色の髪はロングで小さなトレードマークの黒いシルクハットが載っている。背中の羽は薄い水色かな、トンボの羽ような形をしている。


 手には身長よりも少し短い杖を持っていて、上部の飾りは蝶の形をしている。蝶の中心にブルーの宝石一個が埋められて光っている。


 足は細く膝より下は緑色のブーツを愛用している。年齢は不詳と言うも、二百五十年位の記憶があるらしい。


 特別な能力があり鏡の中に入れて鏡間の移動が出来る。鏡の世界に入り外の風景を見て、任意でどこの鏡からでも出る事ができる。まだ他にも隠された魔法がある。


「ノアも紹介してよ。カッコよくな。」


 ノアはいがぐり頭の妖精で筋肉で出来たような体格でパンツ一枚が服装だ。何とも可愛そうな格好だろうか。だから彼には変身魔法が出来る。


 いつもはお気に入りのスタイルとは、髪は紫色の長くてパーマがかかっている。鴬色のアンダーに茶色の袖の無い上着。膝よりも少し下までの短めのズボン。色は鴬色、靴は茶色で長めの形をしている。身体に羽は無い。髪飾りは二つの白い羽根を着けている。緑色の宝石のペンダントをつけていて、何故かとても大切にしている。


「俺の秘密をばらさないでよ、絶対にパンツ一枚にはならないからね。」

「あら! 筋肉バカ。」

「イヤだよ。バカにされるから。」

「もう手お遅れだと思うぞ、な~ソフィア?」

「え?……そんなわけないわよ。ね~リリー?」

「あらら~筋肉バカ、素敵でいいじゃない。」


 ハンザ同盟が設立されて八十三年が過ぎている。


 ソフィアは黒の台座に宝石をちりばめたペンダントをしていて、中心にダイヤを嵌め周りには、ルビー、サファイヤ、琥珀、エメラルド、水晶、紫水晶、ヘリオドール、ブルートパーズ、ヒスイ。他に三個が欠落していて穴だけがある。欠落の三個が何か分からないが旅を続けて探すのだという、ま~暢気な性格か、気長な性格か。


 全部が揃うと自分の念願が叶い人狼から人間になれるという。人間になって穏やかに暮らして年を重ねて静かにかの地で眠りたいそうだ。


 因果の交差路・ポル=バジンで出会った、人狼の巫女らに頂いた宝石をペンダントに仕上げたものだ。


 あぁ……宝石は勝手に飛んで来たんだからね!


 ポル=バジンで人狼の巫女らが儀式を行い、その儀式の煽りで二つの次元が衝突し私たち四人が出会ったのだ。


 儀式を行った巫女らは帰国する手段が無いというので、リリーの鏡の空間魔法を駆使して故郷や異郷、遠い異国、要請を受けて国へと転生していく。残念だが元の世界には誰もが帰還していない。


 この宝石と台座を頂いて、「全部を揃えると自分の願いが叶う」と言うので集める事にした。


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