オチなしかよ
「吸血鬼って信じるか?」
僕は唐突に質問を投げかけたものだから、質問の意味を理解するのに刹那な時差が生じた。
「…吸血鬼、お前をは信じてるのかよ」
「いや…信じるというか」
僕が濁すものだから、じれったくなった乙津響太は溜息をもらす
「それで、信じてるって言ったらどうなの」
「…ああ、そうか」
「オチなしかよ」
誤魔化すように僕はパックのジュースを啜った。
友達と楽しそうに話す艶を見ては昨日のことが頭の中をぐるぐると回る。渦を巻いてできたのは好奇心の塊。
彼女に問いたい
―――あなたは吸血鬼を信じますか?
とか考えながら彼女を見ていたら目が合った。胸が跳ねた。しかし、それも一瞬ですぐに彼女との視線は交わらなくなった。溜息を漏らすことで落ち着かせた。
「なあ」
響太が身を乗り出して僕に聞いてきた。
「今日の緩鹿って、お前の事よく見てねえ?」
「…は?」
よく見ているのはどっちかと言えば僕のほうだ。そんなはずはなかった。僕がこれだけ見ているのだからあっちも見ているならば目が合うはずなのに、ほとんどなかった。
気になって、もう一度彼女をちらりと見た。
目が合う
胸が跳ねる
あれ、今日は確かにいつもより視線が交わっている気がする。
一気に恥ずかしくなって僕は思わず視線を反らした。
彼女は笑っていた。これは、故意的に見られている。意図的に見られている。
冷汗が流れると同時にチャイムが鳴った。響太が席を立ち自分の席に戻る。教室が騒めいていている中、彼女が席に戻ってくる。
ドキン、ドキンと心臓がなっている。
席に座るついでのように僕の耳元で囁いた。
―――放課後、図書室
決定事項だけを述べられた。僕の意見は受け付けないらしい。
僕は一体、何をしてしまったのだろうかと考えていたせいで、その日の数学は頭に入ってこなかった。




