#18
宿の朝は早い。早朝に出発する人もいるし、朝食の準備もしないといけないはずなのに、昨日私が寝た後に飲み会が開かれたらしい。睡眠不足気味の兄とその仲間たち。兄の悪友は、二日酔いの薬を貰いに来てたいたので、何とか仕事ができているらしい。
「あー。飲みすぎた」と朝食を目の前に唸っている人が二人。お分かりの通りライズと兄である。そんなに飲まなくてもいいのに。と呆れながら宿では久しぶりの白米を食べ進める。取りでは呆れながら手を焼いている奥さんがいる。「薬くれ」手を力なく手を出して来るので「おいしいお菓子くれるなら」と言うと「わかった・・」と了承している。「じゃ。蓮さんの焼き菓子でお願いね」と言いつつ二日酔いの薬を出す。薬を口の含み苦い顔をしている。一気に飲み込み「にげえ~」と一言。口直しのお茶を飲みながらのろのろとご飯を食べ始める。「二日酔いの薬なんだから苦くて当たり前。これに懲りて馬鹿みたいに飲まないでね」いい笑顔で言ってやった。気を付けると言っているが、どうなんだか。
「で、君らのせいで出発が遅れました。まあ。付いたころは雨が晴れていい感じになっていると思うからいいけどね。ここの領地を4日で抜けたいと思っている。ゆっくり歩いても余裕でつくから。後、ここでしか買えないものもあるから、忘れ物が無いように気を付けてください」そう言い部屋に戻り荷物をとって支払いをして町へ出る。なんで、急いでいたかというと単に面倒だったから。兄がいると面倒なことに巻き込まれることがある。特に人族の領地だと。兄も一応、騎士だからなのか移動しながらこんなことになっているよ~と言った報告を王にしている。これも、仕事の一つなのだろう。本当は騎士とかではなく専門の人がやることなんだろうけど・・・。人手不足だろうな単に。と報告を送っている兄の背中を見ながら報酬の焼き菓子を食べている。食べ歩きは本当はしてはいけないだろうが、移動中でしかも、足を止めたら野獣というか魔獣というかそんな通り名の獣に襲われてしまう。ここは、普通の街道なのだ。と言っても竜族は人族の何十倍強いからそれに慣れている獣たちにとって私たちは、エサが歩いている感じなのだろう。普通は歩いていても襲われるのだが、そこは強い兄が・・嘘です。歩き始めに襲ってきた熊を3人で倒したので、動物たちも警戒しているのだろう。
「なんか物騒ですね」と歩き初めに渡した獣除けを持っているライズ妻が乾いた笑らいをしながら聞いてくる。飛び込んできた猿を瞬時にナイフで一閃しながら「そうだね。でも、私たちが弱いから仕方がないけどね。ゆっくり読書もできない」ため息をつきながら仕留めた猿の血抜きをする。一応、討伐対象の獣だから換金部位と食べれる場所をとってバックにしまう。バックを見ながら「結構たまったな。そっちはどう?」と違う獣を仕留めている兄たちに聞くと「こっちも結構たまったな。街道なのに出没率高いな。やっぱり竜族には襲わないみたいだな」と苦笑している。「これなら人族は交流できないな」と納得している。そういえば、腹黒さんの担当者もここだと竜族だったな。地元に売り込むなら地元の人がいいんだな~と思っていたけど、違う理由もあったんだね。「野営とか無理だから次の集落で、お泊りだね」声をかけ歩き始める。
そろそろ夕暮れかな?と思い始めるころに集落を見つける。それほど大きくない所だろうが、一応宿があるだろう。と思っていたが、期待を裏切られた。町に入ってすぐに見つけた人に尋ねたところ「そんなものねえよ」と言われてしまった。主要の産業がなく街道沿いにかかわらず時々商人が来る程度らしい。「えっと。ご飯と寝れるところがあれば、どこでもいいのですけど」と兄が聞いていると「ならギルドならあるかな」とのこと。宿がないのにギルドがあるのが不思議。話を聞くところ稀に薬草をとりに来たり、町の人が討伐対象を仕留めた時があるので、ギルドは一応有るらしい。へ~と聞きながら連れてきてもらったギルドの前で別れて入る。
「すみません」と言いながら中を見ると、半分以上が食べ飲み屋をしているらしく客がある程度入っている。町の飲み屋ってこんな感じだよね。兄と頷きあいながら隅っこに申し訳ない程度にあるギルドのカウンターに足を進める。「買い取りお願いします」と袋を置くと驚いた顔をしている店員。兼任かよ!!急いでカウンターに駆けつけ「買い取りですか。久しぶりだな」とつぶやきつつ袋の中身を確認している。「えーと。猿の爪・牙。熊の爪・牙が各3セットですね。肉とかありますか?」聞かれうなずく兄。「売って貰えませんか?店の在庫が足りなくて」申し訳なさそうに言っているけど、私は食べないし。加工する時間もないから引き取ってもらえるとこちらもうれしいけどね「いいですよ」と伝えて肉も一緒に買い取ってもらう。「お尋ねしますが、宿泊できますか?」「ええっと。ギルド登録していますよね?」「しているが?」「なら大丈夫ですよ。ただ・・・二部屋しかなくて」どうします?と聞いてくる。「構いません。うちら兄弟だし。こいつら夫婦だし」男女で別れることもできるし。二部屋有れば大丈夫。「よかった。では、案内しますね。食事もこちらで食べますよね」と言いながら鍵を渡してくれる。二階にあります」案内する必要性もないらしく階段を指さしている。ありがとうと言いながら荷物を置きに行く。ベットが一つしかない部屋。兄弟でもさ。一つのベットで寝ないから。「兄。私、床に寝るから」と床にモコモコの毛皮を引いて荷物を置く。「いいのか?」困っている兄に「いいよ」と答えて下に降りる。実は、毛皮に細工をしててベットで寝ているような感じになっているんですよ。食後、ゆったりした恰好でくつろぎつつ読書をする。「何を読んでいるんだ?」「農家の色は。家でも一応していたけど、本業ではないからなね」「そうか」と興味がなくなったのかゴロンと寝転がっている。疲れたんだろうな。といいところまで読み進め睡眠をとる。
夜半過ぎ、殺気を感じて目を開ける。すでに兄は起きている。さすが、騎士様と言ったところだろう。「何?動物。人?」「どっちもかな?」「こっちに向かってくる?討伐する必要性は?」「わからん。単に誰かが戦っているのか」「よくわからないからね。これじゃ」ただ、殺気をふりまいて、いる感じなので誰に向けているのかわからない。獣を退治しているときに獣が出している物か・・・誰か、見てこい。と言った感じだが、そんなに気にしなくてもいいのかな?「一応、誰かだせば?」兄の後から数人の騎士がついてきている。「訓練だ」とのことらしい。荒れ地までついてくるのかな?く面倒だな。「いや。他の奴は、一つ前の村に泊まっているはずだから・・・」「連絡した方がいいかもよ。襲われているのかも」にやっと笑った後、毛皮にくるまり寝に入る。どうすっかなーと悩んなでいる。がんばれ部下さん
翌朝、結局連絡を取ったら、案の定襲われていた部下さん。隣の村の馬鹿が、獣の子供をさらってきたとかなんとかで、子供を取戻しに来た親とその他の獣たちが・・・らしい。疲れた顔で「馬鹿どもが」と言っているが、馬鹿どもから子供をかっさらって戻し、暴走した獣を退治したらしい。「時間外を請求したい」「すればいいじゃん。馬鹿どもは?」ご飯を食べながら言うと「転送した。ここの領主のところにな。ここの領主は厳しい方だからな」とあとは知らないと言った顔でご飯を食べている。「眠いなら乗っていく?」影を見ると「いや。いい」と銀のことを苦手にしている兄が首を振る。たびたび殺し合いしているから嫌いなのかな?「足手まといになるのはいやよ」足手まとい・・・「あれに乗るなら。竜を出すから大丈夫だ」と腕をたたいている。竜とは兄が捕獲した犬型の獣さん。腕の入れ墨に収納している。たまに、訓練とかで出している。馬がだめになると移動手段となることもあるらしい。「撫でさせろ」「わかった」とう頷いている「お前ら。何を話してるんだ?」隣でご飯を食べている夫婦が不思議そうな顔をしている。「昨日の騒動についてと今後の移動手段についてかな?」ねーと兄と顔を見せあっていると「そうか」と納得しているというか呆れている