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飛んで飛んで飛んで

 「やあ、いい所に来たな助手君」


 「? 何ですか、博士」


 「これを………」


 「はっ、博士が私にプレゼントを!?まさか博士は私狙い?いえいえいえ、そんなそんなそんな、でもでもでも残念ながら、私の許容範囲ではないんですよね~。せめて後数年………」


 「落ち着こうか助手君。残念なことに、私にとっても君は範囲外だ。───それよりも」


 「あっ、はい。なんですかこの髪飾り?」


 「うむ、暗黒物質ダークマターの抽出に成功してな。その斥力を調整して疑似無重力を再現できる装置だ」


 「は?無重力…ですか?もしかして、空を飛べたりしますか?」


 「いや、残念ながらその装置の半径2メートルの重力操作しかできなくてな。地表を浮遊するので精一杯だ」


 「や、それでも十分凄いですよ!」


 「うむ。それで、だ。これの起動実験をしたいのだが………」


 「はい!任せてください!どんどんデータを出して見せま「あぁ、それは良い。君にはこれをつけた状態でしばらく生活してもらいたいんだ。もちろん24時間つけた状態での動態データがほしい。まぁ、急に無重力生活と言っても無理だろうから、重力設定は6分の1、月と同じ環境で試してもらいたい」


 「………あの、なにか急に不安になってきたんですが。辞退することは出来るんでしょうか?」


 「もちろん、君に拒否権は………」


 「───無いんですね。ハァ」





 「やあ、いい所に来たな助手君」


 「? 何ですか、博士」


 「以前に貸した装置の回収に来たのだが」


 「あ、これですね。いやー凄いですねコレ。重い荷物もなんのそのですよ!今なら、警備部の人にも負ける気がしないです!」


 「そうか、そういってもらえると貸した甲斐があったというものだ。まぁ、残念ながらヒーロー気分もそこまでだ。そろそろ次の実験段階に移りたいのだよ」


 「残念です。もーちょっとこの快適空間を味わっていたかったのですが………って、アレ?た、立てませんよ?博士!助けてください!わ、私の足が、生まれたての小鹿のようです!?」


 「ああ、当然だろう? 助手君。君は、宇宙飛行士たちの帰還状態を覚えているかね?運動しなければ筋肉が衰えていくことは自明の理だ。───ふむ、やはりそこをどうにかしないと実用化は難しいな」


 「は、謀ったな、謀ったな!博士!!!」


 「ふっ………坊やだからさ」


 「お───おのれ~って、私どうしたらいいんですか博士?」


 「心配ない、警備部の連中がメディカルセンターまで運んでくれる。しばらくそこで養生すると良い。なに、たまった有給を消化すると思えばいいだろう。頑張ってくれたまえ」


 へたばった助手の横を、笑い声と博士の靴音が通り過ぎていった。


 宇宙を広げる物質、《ダークマター》を抽出するのは現在の技術では不可能です。

 という事は………以前の重力炉、作っちゃったんでしょうか?


 坊やは博士のほうです。

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