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透明球


 「博士!男の浪漫を叶える道具を開発しましたよ」


 「何だね助手君。君、以前は乙女の夢とか言っていなかったかね?」


 「あれはあれ、これはこれです!!!」


 「う…うむ。で、一体今度はどんなものを持ってきたのかね?」


 「はい、こちらになります!」


 「?…で、どこにあるのかね?」


 「はい、ですからこれです」


 「ついに、幻覚でも見るようになったのかね?君の指差すほうには何も無いではないか」


 「ふっふ~ん。あるのですよ博士。見えないだけなのです」


 「む、確かに………何かあるな。一体これは?」


 「ふふふ、名付けて透明球!誰でも何処でもこれさえあれば、透明人間に早変りですよ!!!」


 「ほほう。これは確かにすごいな。おお、結構でかいな。ところで助手君、何故これが男の浪漫を叶える道具なのかね?」


 「ええ!!!博士、分からないのですか?透明人間ですよ。透明人間。まずは銭湯に突撃でしょう!」


 「いや、君は男をどうみているのかね?」


 「え、男は皆けだものじゃないですか。ちなみに私は細マッチョな青少年が大好きです!」


 「いやいやいや、女性が力一杯語ることではないだろう!」


 「誰のせいですか!誰の!来る日も来る日も研究研究!一切出会いの無い職場で!どうやって結婚しろと!」


 「わ…分かった。君の情熱は良く分かったから。と、ところでこの玉はどういった原理で見えなくなっているのだね?」


 「オホン、説明いたしましょう!これはですね、『どの角度から見ても後ろの景色が見える』というコンセプトの元、開発しました」


 「うむ、以前からあったこの手の装置は、後ろの風景を前の出力装置に表示させるといった原理だったが………」


 「はい、それだと非常にたくさんの液晶フィルムが必要になりますし。正面近くからは見えなくなっても、ある一定の角度から見れば違和感がすごいですから。そこで、この球体です!」


 「うむ、確かにこれはどの角度から見ても違和感を感じないな」


 「秘密は、『反射角』です!」


 「なるほど。正面の光をそのまま後ろへ通す反射角を探し出したのだな」


 「速い、速すぎですよ博士!少しは自慢する時間をください!もうちょっと私の時間というやつを味合わせてくださいよ!」


 「ふっふっふ。この歳で博士と呼ばれるのは伊達ではないのだよ、助手君」


 「むう。もう良いです!私はこれからパラダイスを味わってくるので失礼いたします!」


 「あ、助手君。いくらなんでもその5m近い巨体では………出れないのでは?…と言いたかったのだが…速いな。オイ」


 何も無い空間に向かって、とりあえず交通事故にあわないようにと願う博士の姿があった。



 原理は、手品でよくある化学実験のようなやつです。サラダ油の中にガラスのビーカーを沈めると、見えなくなります。

 既存の原理は小っさいテレビを大量に貼り付けて、背後の風景を映し出すといった方法です。すでに色々な所で開発されています。本当に。

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