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敵も然る者なんだよね

2017.03.04 眷属の設定を変更。

◇ヒトリ島・21日目◇


 翌日。

 私は、自身の強化の為に魔法リストを開いた。

 Lv6になったが、リストには攻撃魔法どころか、支援魔法も回復魔法も防御魔法も無かった。


「向いて無いって事か……」


 まさか、ハードモードだからって事は無いよね?


 私は、Lv3魔法【耕作】に目を止める。

 作物が育ち易くなるのか……。じゃが芋植えたら育つかな?

 後で水海(すいみ)に聞いてみよう。


 次に、Lv5魔法【水中呼吸】に目を止める。

 Lv5で覚えられるんだ~。あ、でも、ダンマスと人間では違うかもしれないね。

 これは、覚えよう。

 私は、600DPを消費して……高いわ! 止めておこうかな?


 ダンジョンの拡張……。でも、余り虫を多くしても、敵も見慣れちゃうよね? 何か効果的な虫の運用を……。

 あ、そう言えば、罠の設置もしようかな?

 どんな罠が良いだろう? 転移の罠で、虫部屋ぐらい虫びっしりの虫部屋ぐらい狭い部屋に転移とか?

 う! 想像して気持ち悪い!


 はぁ……。まあ、転移の罠は高いから無理だ。

 麻痺の罠・睡眠の罠・混乱の罠……。色々あるけれど、どうせ壊されると思うと設置を躊躇ってしまう。



 結局、私は日々の生活の向上を選び、【水中呼吸】を覚えた。後で後悔するのだろうけれど。

 残り、1,320DP。




「ただいま~。は~。うちのダンジョンは落ち着く~」


 夕方、カシが無事に帰って来た。キラーホーネットと共に。その中の一匹は、カシの頭に乗っかっていた。


「それどうしたの?!」

「ちょっとピンチになったんで、召喚したんだ。いや~、敵が弱くて助かった!」


 詳しく話を聞けば、街から離れた所で猫ぐらいの大きさのネズミ型モンスターの大群に襲われたらしい。


「無事に帰って来て嬉しいけれど、何でそんな弱いモンスターを放ったんだろうね?」


 私が敵側だったら、もっと強いモンスターを配備するのに。はっ?! まさか、ダンジョンキラーを交換する為にDP使うから余裕が無いとか?


「ん~。本来は、この島に来た元聖剣使い二人が護りについていたんだろうな」

「あ、そっか」


 此処から見える村の護りがサクリム――と多分ファン達も――で、カシが行った街の護りがリムとジジュだったのか。


「で、買って来た物だけど、精米と」


 残念ながら、短粒米では無かった。


「ビワと梅と小豆」


 そう言えば、ビワって食べた事無いな~。


麻花(マーホワ)巻と煎餅」


 麻花巻は、小麦粉に水や砂糖等を入れてこねた物を捩じって油で揚げた物らしい。


「後は、米酒と粟酒な。チーズは無かった」


 無かったんだ……。がっかり。

 この二つの酒は、吸収すると其々焼酎と表示されていた。




 その夜は、魔力で動く卓上コンロを130DPで交換し、米を煮た。

 そして、粟焼酎(20DP×2)と米焼酎(30DP×2)を交換して、マツとカシに上げた。


「良いのか、マスター?」

「やったぜ!」

「良いの良いの。これぐらいしか娯楽も無いしね。但し、飲み過ぎないように」

「おう」

「大事に飲むぜ!」


 聖剣使いが来る前に、悔いが残らないように。……と言うのは縁起が悪いよね。

 DP残高は、1,120DP。




『無事帰って来たんだ。良かったね』

「うん!」


 何時もの水海とのコール。

 私は、真っ先にカシが無事に帰宅した事を話した。


『防衛強化はした?』

「え? あ、うん」


 私は視線を逸らして答えた。


『してないね?』

「あ、ははは……。だって、やっても無駄かもと思うと」

『……もう! 無駄とは限らないよ。うっかり掛かるかもしれないし』


 そんなうっかりあるかな~? そう思った私の脳裏に、三人の元聖剣使い達の顔が浮かんだ。

 確かに、現役の聖剣使いの中にも彼女達みたいなのが居るかもしれないな。



「ところで、水海達は強いし、眷族もドラゴンとか強いよね? 先手必勝って、【女神製ダンジョン訓練所】を襲わないの?」

『あ~。それね~。【ヘルプ】を見れば判るんだけど、先ず第一に、眷族はダンジョンコアを壊せないから』

「え? そうなの?」

『うん。第二に、【女神製ダンジョン訓練所】にコアがあるとは限らないから。飛び地でも無い限りサブダンジョンにコアは必要無いしね。私の水族館とかもサブダンジョンだよ』


 サブダンジョンコアなんてあるんだ……。高いんだろうな。


「挑んで、あるかどうか確認しないの?」

『第三に、ダンマス同士の直接的な争いは禁じられているから。だから、ユティは聖剣使いを使っているんだよ』

「禁じられているって、何かペナルティがあるの?」

『仮想空間での勝負になるの。現実のダンジョンには挑めない』

「じゃあ、眷族が挑んでコアがあるか確認すれば……」

『コアがあるのを確認したら、移動されちゃうでしょう?』


 えっと、まとめると、ダンマスはダンジョンに挑めない。眷族は挑んでもコアを壊せない。ユティのメインコアが何処にあるか判らない。コアを移動される前に、人に壊して貰うしかないって事か。


「眷族にダンジョンキラー持たせたら?」


 壊せるのではないだろうか?


『眷属は、ダンジョンキラーでもコアを壊せないらしいよ』

「そうなの?!」

『うん』

「水海達が外からダンジョンキラーで壊したら?」


 それなら、仮想空間バトルにならないんじゃないだろうか?


『外からは壊せないよ』

「そうなの?!」

『うん』


 と言う事は、やっぱり、人間の協力者を得てダンジョンキラーを持たせて挑ませるしかないのかな?


「そう言えば、何で、これまでのダンマスは聖剣使いに敗れて来たんだろう?」

『考えられるのは、出来たてだった・サブダンジョンを創っていなかった・侮っていてコアを隠したりしていなかった……かな? 或いは、そこまで生に執着していなかった』

「不老不死モノあるあるだね」


 長過ぎる生に飽いて死にたくなる話って、結構あるよね。


『まあ、実際どうなのかは知り様が無いけどね』

「だね」

『で、それなら、神国に乗り込んで、聖剣使いと候補皆殺しにすればって思うだろうけれど、ユティも馬鹿じゃないから、対策してあるんだよね』

「対策って?」

『非殺傷指定エリア』


 ああ。そんな話もあったな。


「その指定って、ダンジョン全部は出来ないんだよね?」

『うん。ダンジョンコアに繋がる最後の部屋。通称ボス戦部屋は指定出来ないよ』


 思ったより甘い! ……甘くないか。後が無いって事だもんね。


「そこが戦えない狭さだったら?」

『その手前の部屋も指定出来ないよ』

「じゃあ、全部狭い部屋だったら……』

「どこも指定出来ないね」


 なるほどね~。


『ただ、非殺傷エリアに罠の設置は可能なんだよ』

「え? あ! 転移罠とか?」

『うん。そう』

「他にどんな罠があるの?」

『体重を人工音声で知らせる体重計の罠とか、同行者にサバ読んでいる乙女には恥辱だよ』


 何その心理的ダメージを受ける人が限定される罠は?


「何てがっかり罠……。味方だけダメージを受けないようなエリア指定は無いよね?」

『まあね。物理攻撃無効エリアに、物理攻撃しか通じない魔法使いモンスターとか配置出来ないしね』

「そうなんだ」



『と言う訳で、人間の協力者を育成して、【女神製ダンジョン訓練所】を突破出来て・高レベルの兵士に囲まれても突破出来て・コアを探せる人にしないといけないの』

「うわ~。無理ゲーじゃないの? って眷族を護衛につければ良いんじゃない?」


 コアは壊せなくても、道中の戦力にはなる筈。


『まあ、そうだね。聖剣に斬られるまでは、それで行っても良いかな?』

「斬られるの確定なんだ?」

『確定はしていないけれど、想定はしておかないと』




『じゃあ、また明日』

「って、ちょっと待って!」


 【耕作】の事を聞くのを忘れていたと気付いた私は、水海を呼び止めた。


『何?』


 良かった! 間に合った!


「Lv3魔法【耕作】を使ってじゃが芋植えたら、上手く行く?」

『大丈夫だよ。【耕作】を使えば、植えて水さえやれば育つから。まあ、ちゃんと手をかけた方が美味しくなるけどね』

「そっか。ありがとう」


 私は通話を終え、250DPを消費して【耕作】を覚えた。

 残り、870DP。

◆所持DP◆

 870P


◆覚えた魔法(現在Lv6)◆

 Lv1:浄化・着火・散水   Lv2:土掘り・潜水・衣類乾燥

 Lv3:鑑定・耕作   Lv5:水中呼吸


◆所持品◆

 懐中電灯・筏(偽装用)・木の蓋(偽装トイレ用)

【小屋】(一部)

 シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル

【マツの部屋(偽装)】

 干し草・毛布・オイルランプ(植物油入り)・布の袋・風呂敷

【マツの部屋】

 解体ナイフセット・ミスリルの胸当て

 寝袋・マット・保温シート・電池式ランタン・米焼酎・粟焼酎・コップ

【カシの部屋】

 寝袋・マット・保温シート・米焼酎・粟焼酎・コップ

【多目的部屋】

 テーブルセット(椅子四脚)

【ペット部屋】

 猫用ベッド四つ・餌箱

【コドクの部屋】

 寝袋・マット・保温シート・ラグ

 ミニ七輪・オガ炭・電子レンジ(魔力で動く)・小型冷蔵庫(魔石で動く)

 包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・小型の土鍋・卓上コンロ(魔力で動く)

 食器セット(三人分)・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)

 塩・醤油・食用油・バター・味醂・砂糖・料理酒・酢・味噌(だし入り)

 カラーボックス・ハサミ・ダイビングマスク


◆眷族(下記以外の虫は省略)◆

 スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。

 パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。

 キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。

 コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。

 ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。

 ローグオーク:モンスター化したオーク人。

 ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。


◆食料リスト(一部省略)◆

 魚(塩焼き・干し魚・刺身・バター焼き・煮付け)

 貝(生・バター醤油焼き)

 肉(牛・豚・鶏)(ステーキ・串焼き)

 コドクの卵(生・固茹で・卵焼き)

 蕪・じゃが芋・にんにく・炊いた粟・ご飯・梅・ビワ・小豆

 ワカメ(酢の物・味噌汁)

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