人の恋路を邪魔したけれど馬には蹴られない
途中、ダンジョンの地図があります。
2018.04.04 カシの目の色等を変更。
◇ヒトリ島・16日目◇
翌日。
今日は、ダンジョン地下二階部分北東部に、マツが戦える部屋を造る。
先ず、地下二階南東部に、地表東部から掘り進め、ペット部屋と私の部屋とトイレを新たに造る。
ペット部屋・トイレを、排泄物自動吸収設定にし、東部出入り口付近の通路を、水自動吸収設定にした。
これで、1,590DP。
元々のトイレ部屋のダンジョン化を解き、埋める。
荷物を移動し、ペット部屋だった場所をマツの部屋に・私の部屋だった場所を多目的部屋にした。
元々の多目的部屋とマツの部屋は、そのまま偽装部屋としておき、偽装部屋とマツの部屋の間の通路のダンジョン化を解いて埋めた。
次に、マツの部屋から、地下一階の虫達が居る部屋の下に向かって掘り、ボス戦部屋を造る。
私に戦闘力が無いので、マツがボスなのだ。
これまでより大きい部屋を造ったので、ダンジョン化に80DPかかった。
残り、1,510DP。
ボス戦部屋からキラーホーネット部屋への通路を掘り、ダンジョンコア置き場のダンジョン化を解き、埋める。
そして、ボス戦部屋とマツの部屋を繋ぐ通路の間から、地下三階部分へと掘り進める。
途中から上向きに掘り、直ぐに止める。座れる程の高さも無いだろうか?
その行き止まりへコアを設置し、最後の護りと言うか嫌がらせとして、パラポネラを召喚。
が、聖剣使いは、恐らく狭い通路を四つん這いで移動する事を厭い、ダンジョンキラーで斬り壊すだろうから、パラポネラに刺される確率は低いだろう。
これで、1,500DP。
通路が短いからか、ダンジョン化でDPは消費しなかった。
後は、新たなマツの部屋にアイテムを交換しておかなければ。
寝袋(20DP)・マット(10DP)・保温シート(30DP)・電池式ランタン(30DP)を交換して、置いた。
残り、1,410DP。
「そう言う訳だから、遠くて悪いけれど東部出入り口から出入りして」
「解ったぜ」
ダンジョンの外に出た私は、船着き場近くで釣りをしていたマツに、改装内容を説明して出入り口の変更を伝えた。
また雨が降りそうな空模様だった。
魚を吸収して、DPは1,450になった。
◇ヒトリ島・17日目◇
翌日は、やはり雨だった。
「じゃあ、忘れていたけれど、牛とかを解体して貰おうかな?」
「おう。良いぜ」
折角、血液自動吸収設定にしたのだからと、雨の中、最初の部屋へと移動した。
鶏を10DP・豚を350DP・牛を720DPで交換して解体して貰った。
DPは、残り370DP。
「終わったぞ」
マツの部屋(偽装用)で待っていた私は、マツに声をかけられて最初の部屋に戻った。
肉を吸収し、雨の中を戻る。
大量の血を吸収した所為か、DPが380に増えていた。
「さて、料理しますか!」
私は、多目的部屋で料理を始めた。
牛肉のステーキ・豚肉のステーキ・鶏肉のステーキを作り、吸収。
残り350DP。
串を10DPで交換し、其々の串焼きを作って、吸収。
後、310DPしかないので、これで止めて置く。
その間、マツは、ボス戦部屋で素振りや筋トレをしていたようだ。
私は、『たまご』達に餌(10DP)をやって、交換リストを眺めた。
そう言えば、電子レンジ交換してないな。
でも、300DPしかないから、交換しないでおこう。
◇ヒトリ島・18日目◇
午後、釣りをするマツの側でそれを見ていると、船が近付いて来た。
「来た?」
「だろうな」
『たまご』と『にたまご』にダンジョンに戻るよう命じ、私達もダンジョンに入ろうと思ったが、思っていたより早く接近した船から、二人の女性が跳んで来た。
「逃がさないわよ!」
「ダンジョンの外に居るとか、好都合だぜ!」
私は二人に【鑑定】を使った。
リム:Lv42 オーク 19歳 元聖剣使い
ジジュ:Lv41 オーガ 24歳 元聖剣使い
リムが女言葉の方で、ジジュが男言葉の方だ。
「はっ!」
ジジュが何かに気付いた様子で動きを止めた。
その視線は、マツに向けられている。
「素敵だ……」
「は?」
陶然とした風で呟いたジジュに、リムが正気を疑うような目を向けた。
「アタイの好みだ」
「ジジュさん! 解っているんですか!? 相手は邪神の眷族ですよ!」
「これは運命だ! 邪神の眷族だって構うものか!」
リムは剣を抜き、ジジュに向けた。
多分、二十四歳独身って、この国では行き遅れなんだろう。焦っているのかな?
「なら、貴女も敵です!」
「アタイの恋路を邪魔するなら、許さないぜ!」
私達を無視し、二人は殺し合いを始めた。
「何、これ……?」
えっと……。油断させる為の芝居じゃないよね?
「マツ。どうする?」
「俺は、色恋に興味はねえぜ」
「そう……」
マツがそう言うので、私は二人共スズメバチに命じて殺させた。
元聖剣使い二人を吸収して、DPは4,250増えて、4,590になった。
なので、魔力で動くレンジを160DPで・魔石で動く小型冷蔵庫を430DPで交換した。
残りは、4,000DP。
多目的部屋に、テーブルセットを160DPで交換。
ダンジョンの強化もした方が良いよね? 寧ろ、こっちを優先すべきだったか。
「ねえ、マツ? ローグオーガを増やした方が良いかな?」
「そうだな。いや、それより、ローグオークかローグゴブリンで、回復魔法や支援魔法が使える奴を頼む」
「あ。そうだね。じゃあ……ローグオークにしようかな?」
ローグオークの方が高いが、その分強いのでそちらにした。
160DPで、魔法が使えるローグオークの男を召喚。
これで、3,680DP。
「宜しくな。マスターに先輩」
「名前はどうしようかな?」
オークって、確か、植物にもあったよね? 何だっけ? ……確か、カシ? ナラ? ブナ?
「良し! 貴方の名前は、『カシ』!」
「お~。良い名前だな」
カシは、黒い髪・灰色の目・ピンクが混ざった様な褐色の肌をしていた。
その日の夕食は、新入り歓迎会と言う事で、奮発した。
先ずは、食器セットを40DPで交換。
ワカメの酢の物(10DP×3)・刺身(マツが釣った魚)・牛肉ステーキ(10DP×3)・貝のバター焼き(10DP×3)・魚の煮付け(10DP×3)・ワカメの味噌汁(10DP×3)・炊いた粟(10DP×3)。
スイーツ食べたいな。
DPの残りは、3,460P。
「酒が欲しいな、先輩」
「贅沢を言うな。うちはハードモードなんだぞ」
「解っているけどな」
ごめんね、二人共。粟で酒を造れると思うけれど、作り方知らないんだ。
あ、そうだ!
私はある事を思い付いた。
まあ、それを言うのは明日で良いだろう。
「と言う訳で、新入りのカシです」
私は、水海にカシを紹介した。
「よ、宜しくお願いします!」
やはり、ドラゴエルフの強さが判る様で、恐縮していた。
『私は水海だよ。宜しくね』
「は、はい!」
その後、カシを下がらせ、昼にやって来た元聖剣使い達の顛末を話した。
『何と言うか……。ダンジョン討伐出来なかった理由が判るね』
パニックに陥る程虫が駄目だったサクリム。
敵に惚れて仲間を裏切ったジジュ。
邪神とその眷族が目の前に居るのに、裏切り者との戦いに集中したリム。
「そうだね。お陰で助かったから良いけど」
他は兎も角、サクリムが虫に弱いと言うのは、初期の段階で判るだろうに。まさか、【女神製ダンジョン訓練所】には、虫型モンスターはいないのだろうか?
『元聖剣使いを三人も倒したからね。次は、現役が来ると思うよ』
「どうか、へっぽこが来ますように」
『私を拝まれても困るー』
◆所持DP◆
3,460P
◆覚えた魔法(現在Lv6)◆
Lv1:浄化・着火・散水
Lv2:土掘り・潜水・衣類乾燥
Lv3:鑑定
◆所持品◆
懐中電灯・筏(偽装用)・木の蓋(トイレ用)
【小屋】(一部)
シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル
【マツの部屋(偽装)】
干し草・毛布・オイルランプ(植物油入り)・布の袋・風呂敷
【マツの部屋】
解体ナイフセット・ミスリルの胸当て
寝袋・マット・保温シート・電池式ランタン
【多目的部屋】
テーブルセット(椅子四脚)
【ペット部屋】
猫用ベッド四つ・餌箱
【コドクの部屋】
寝袋・マット・保温シート・ラグ
ミニ七輪・オガ炭・電子レンジ(魔力で動く)・小型冷蔵庫(魔石で動く)
包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・土鍋
食器セット(三人分)・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)
塩・醤油・食用油・バター・味醂・砂糖・料理酒・酢・味噌(だし入り)
カラーボックス・ハサミ・ダイビングマスク
◆眷族(下記以外の虫は省略)◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。
ローグオーク:モンスター化したオーク人。
ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。
◆食料リスト(一部省略)◆
魚(塩焼き・干し魚・刺身・バター焼き・煮付け)
貝(生・バター醤油焼き)
肉(牛・豚・鶏)(ステーキ・串焼き)
コドクの卵(生・固茹で・卵の卵焼き)
蕪・じゃが芋・にんにく・炊いた粟
ワカメ(酢の物・味噌汁)