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コトノハ美術館  作者: 百里芳
常設展示:「二重ガラスの向こう側のフロア」
22/25

実家から送られてきた段ボールの中には、

僕が一週間前に実家に置いてきた服が入っていた。

母が洗濯をして、送ってくれたらしい。


実家から送られてきた服に袖をとおす。

嗅ぎなれない洗剤の匂い。

僕が実家を出てから、銘柄変えたのかな。


母と電話した折に訊いてみた。


かあさん、洗剤変えたの?

洗剤? いや、あんたがウチにいたころからずっとこの洗剤だよ。


気付かないうちに僕は、

大人にもなれていないのに、

子どもでもなくなってしまっていた。






学芸員より:

この作品の作者からメッセージが届いておりますので、お伝えいたします。

『困った時の実話作戦』



お母さん、今年の正月にも帰れません。

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