それはただの物語
「……って感じでどう?」
「爆発オチ……!?」
教室でケタケタ笑うギャル、煌城アカリ。ため息を吐くミオ。
「途中から全然ダメだったじゃん」
「それは男子代表のユーマがセリフを出せなかったからです~」
「ぐ……、まあ、そうだよなぁ」
俺たちは教室に集まりいつものように話し合っていた。
議題は「俺達が異世界に行ったら」。
「で、ミオちゃんにはどういう告白をするつもりだったの?」
「そりゃ……」
二人が見守る中、答えさせられる俺。
「……好きです、付き合って下さい?」
「ええ? ヘタクソかよ」
「んな」
「好きなのも知ってるし、そしたら付き合うのは普通じゃん」
「たしかに、そうか……」
結局俺はそういうのが弱かった。
「で、ミオちゃんはホントに付き合うの?」
「ん……」
あの付き合うとか、告白だのという話はRPGでの話だ。今現在という現実ではどうなのか、というと……。
「ま、あんな告白じゃだめだよねぇ」
「ぐ……」
「でもいいのミオちゃん?」
「なにが?」
「そしたらアタシが貰っちゃうけど」
「え?」
「だってフリーなわけだし。アタシにもチャンスがあるわけでしょ?」
「そ、それは……」
「ね、《《ユーマ》》。アタシと付き合ってよ」
「……」
沈黙が満ちる。俺の答え待ち、だろうが。
「その時は俺から告白するから」
そう答えた。
「……ふーん、逃げるねぇ」
「逃げたつもりはないが……」
《《それが答えだからだ》》。
学校のチャイムがなる。
「今日はここまでだね~。次はどんな話にしようかな~」
俺達、文芸部は解散の準備をする。
「……」
「ユーマ? 帰るよ?」
「……ちょっと残るわ。先に帰ってくれ」
りょー。といってアカリとミオも帰っていった。
一人、部室に残った俺。今回の冒険を書き綴ったノートを見る。
ぺらぺらと捲るページには味のない「俺」の代役がいた。
結局、この男はまともな恋を辿れず終わったのだなと得も言えぬ空虚を感じる。
ページを多く残したノート残った余白。セリフの隙間に一行書き加える。
『次はちゃんと告白する』




