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人生航路  作者: 智楼
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番外編  その後

浩一は退院し、お昼頃 我が家に帰って来た。

また今日から賑やかになる。


夕方になり・・・

何が何だか分からないが


「おじちゃ~ん おじちゃん居る?」

玄関の方から誰か呼ぶ声がする。行って見ると浩一の友達だった。

「おー、浩一はもう部屋にいるぞー」

「違うよ!おじちゃん聞いて、浩ちゃんが家に来たよ」

「エーーーいつ?・・」

「退院したから ビックリさせに来たみたい」

「あら~てっきり部屋に居ると思ってたよ」

「なんか、そーっと部屋を抜け出して来たみたいで、バイクで来たから うちの親に怒られてた」

「バイク?本当だバイクが無い」

「そう、今日退院なのにバイクで来たからビックリしたよ~しかも、まつば杖背負ってわら笑っちゃった」

「ほんと?居眠りしててちっとも気が付かなかったな」

そんな話しをしていると、浩一が、まつば杖を付きながら友達のお父さんに連れられ歩いてきた。

「あっあらあら、すみません、」

「いえいえ、聞けば何だか さっき退院したばかりだって言うから驚いて~浩ちゃんに何事もなくて良かったですよ」

「本当ですよね また転んだりでもして怪我したなんて言ったらとんでもないですいね~」

「浩一、お前は今日 退院したばっかりで何してるんだ?」

『ん?こいつをビックリさせようと思って行ったら怒られちゃった』

「あたり前だろ、バカもん!さっき退院してきたばかりで、また転んで怪我でもしたらどうするんだ!もう面倒見切れないからなぁ!」

『分かってるよ 大丈夫だよ』

退院したその日に、親の目を盗んでバイクに乗るなんて、まったく懲りないバカ息子だ。

「浩一、俺がバイク貰っておくからな~」

『あーふざけんなよ~、直ぐ取りに行くよ』


「じゃあな」

『またな』

友達のお父さんには、浩一が迷惑をかけた事などの礼を言い、こうして友人親子は帰って行った。


次の日

私はいつも通り朝早く仕事に出かけ、夕方に帰って来た。


昨日、友達の家に置いてきたはずのバイクが家の前に停まっていた。

浩一もしかして・・・

「ただいま」

『お父さん、お帰り』

「浩一、バイク戻ってるけど取りに行ったのか?」

『あ~バイクが心配で取りに行って来た』

「そんな体で用もないのにバイクを乗り回してるとまた事故を起こすぞ」

『うんうんうん、分かってるよ』

注意をしたが浩一は煩そうに聞いていた、本当に分かったのだろうか?


それから浩一は、半月程でまつば杖なしで歩けるようになり仕事にも復帰。


私は、一生懸命働いて、何とか年末年始を過ごす事が出来た。

今年、浩一は十八歳

真由美は十六歳 高校生になる。

高校に入ったら、浩一を倒すために柔道部に入ると言っていたが・・・

まぁ、高校生活、色々と大変な事もいっぱいあるだろうが、悔いのないように一生懸命頑張ってくれたらと願う。少しオテンバ娘だけど素直で良い子に育ってほしい。


二月になり、外は冷たい風が吹いていた。

「今日も寒いなー」

『コタツから出れないね』

「そうだな」

『あっそうそう、お父さん、今月十三日~二十九日まで合宿で免許取りに行くから』

「車の免許 取るのか?」

『そう、もう会社で休みもらったし、手続きも終わってるから』

「あーいいなぁ合宿か~、分かったよ」

浩一も車の免許を取る年になったかぁ、私は嬉しかった。


二月十二日

『お父さん、ちょっと出かけてくるね』

「うんそっか、気を付けて行って来いよ」

『直ぐ帰って来るからね』

真由美はそう言って、出かけて行き、二日経っても何の連絡もない。


♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪ ふと電話が鳴った

「はい、もしもし佐山です」

『もしもし、お父さん元気?』

「おう!浩一かぁ どうだそっちの調子は」

『こっちは中々、順調に行ってるよ』

「そうか もう車には乗ったか?」

『もう乗ってるよ、でもコース覚えるのが大変、大変』

 真由美から電話かと思ったら浩一からだった、向こうで友達ができた事や、飯が美味いなど話した。

「そうか、楽しそうで良かった、あともう少し頑張って来いよ」

『うん、了解!もう度数が無くなるから切るねぇ~じゃぁまた』

「おーう頑張れよ~」

浩一は楽しくやってるらしく何の心配もいらない、一安心である。


しかし、真由美の事が心配で今頃、どこで何をやっているのだろうか?

私の、教育が間違っていたのだろうか?

何か家で不満があったのだろうか?

私は私なりに一生懸命やってきたつもり、もう、真由美の気持ちが分からない。

真由美・・・父さんは真由美のために、家の事、仕事の事、一生懸命やってきた。

お前が自分勝手な事をやって、お父さんを困らせても結局 全部自分にのしかかってくるんだよ。

お前がどのような人生を送ろうと、それは自分で選んだ道なのだから、お父さんもそこまで干渉出来ない。

それに、お前を愛してればこそ文句を言ったり、怒鳴ったりした事もあるけど、しかしお前を怒っても必ずしも気持ちが良い事はない。

これまで真由美も一生懸命 協力してくれたのにどうしてしまったのだろう?

もし帰って来たなら怒らず、ゆっくり話し合おうか。

まったく、どこかの誰かに似てしまった・・のか?


それから一週間後 真由美が帰って来て、そのまた一週間後、浩一も合宿から帰って来て、我が家も三人揃い普通の生活を取り戻した。


浩一は、23才で結婚、やがて3児の父親に、そして真由美も22才で結婚し2児の母になりました。

そして孝は5人の孫の祖父となり、今や人並みに生活が送れると言う嬉しさを感じていた。





このお話しは、私(浩一)が、父の日記を元に、私と真由美の記憶を照らし合わせながら書き換えたものです。

平成20年六月    佐山孝 享年六五歳


この物語に出てくる名前、地名、建物当はすべて架空にさせていただきました。

最後まで読んで頂き有難う御座いました。

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