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人生航路  作者: 智楼
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番外編

私は、毎日忙しい日々を過ごしてる、こうして仕事に行っている間も浩一・真由美が二人でしっかり留守番していてくれるお陰で安心して仕事が出来る。


四月になり浩一は中学校に無事に入学し、真由美もこっちの小学校に転入した。

私は、親子三人での生活を楽しみ、毎日、男親一人で大変ではあるが、何とか人並みの生活が送れるようになった。

親として今まで子供達に何もしてやれなかった事をしてやろうと私なりに考え完璧では無いが頑張っているつもり。



それから早三年、浩一は中学を卒業し高校受験に失敗に失敗、真由美は中学二年生になった。


受験に失敗し高校を諦めたのか行く気が無いのか、ある日に浩一が

『お父さん、俺、仕事しないとダメだよね』

「あたり前だろ、高校,行かないんだから いつまでもブラブラしてる訳にいかないだろ?」

『そっかぁ、そうだよなぁ 俺が働ける所なんてあるかな?』

「あるよ いくらでも、やる気になればそんなもん」

そんな話しをしていると、ふと以前近所に住んでいた目黒さんのことを思い出した。

そう言えば、目黒さんは町工場の社長だったなぁ、工場もここから近いので、

近いうちに、ダメ元で浩一の事をお願いしに行ってみようか… 

「浩一 もしかしたらお前の面倒を見てくれるとこがあるかも」

『えー俺どんな仕事やんのぉー』

そんな浩一の心配をしながら仕事が早く終わった日にでも目黒さんの工場に行ってみようかと思う。


そして、仕事が早く終わったある日の土曜日に私は、目黒さんの工場へと向かい久しぶりに会うことが出来た。そこで浩一の就職の事や世間話など色々な楽しい話しをした。浩一は目黒さんが、うちで面倒を見ると言ってくれた 私は心から感謝した ありがたい本当にありがたい

そしてその夜、浩一が遊びから帰宅し話しをした。 

「浩一、目黒さんの会社ところで面倒見てくれるから感謝して真面目に働けよ」

『えっ?そんなのいつの間に決まったの?』

「お父さんが行って頭さげてきたんだよ四月一日に入社だからな なっ新社会人」

『四月一日?随分早くねっ?もうちょっと遊びたかったな』

「バカタレ!まぁ、とにかく面倒見てもらうんだから迷惑かけるなよ」

『あーは~~~い』

「なんだ!その返事っ!」


四月一日当日 初出勤、初社会人、浩一は、朝早く起き仕事に向かった。


数ヵ月後・・・

仕事を続けながらバイクの免許を取るために教習所に通い両立させ、バイクの免許を取得した。せっかくのM工業も半年足らずで会社を辞めてしまった。

しかし、こんな理由で自分で次の仕事を見つけた、

「バイクの燃料に困らないように、ガソリンスタンドで働けば絶対に困らないから」 なるほど

今では元気に働いて私を助けてくれるようになり私よりも大きくなって 話し相手にもなってくれる。

私の峠は越えた。

あとこの二人の子供達がどのような道を歩んでくれるのだろうか?

浩一・真由美 親子三人で生きて行くのは大変な事だが、お前達が、どれだけ私の支えになっているか分からない。


真由美は、昨日から二泊三日の旅行に行き、浩一は仕事に行っていて、そろそろ帰ってくる時間。

二人の子供達が揃うと我が家は賑やかになる。やっぱり煩くても子供達の居ない家は寂しいもんだ。

私も四十二歳、体も少し悪くて医者通い、きっと長くは生きられないような気がする。数年前にも二ヶ月の

入院、退院後も体の調子が良くない、気のせいかな・・・

けれどあと真由美の進路が分かるまで生きたい。


浩一が仕事から帰って来た。

『ただいま~』

「おかえり」

『あ~疲れた、腹減ったよ』

「今、飯にするから待ってろ」

『わかった、あっ!そうだお父さん、今日ね孤児院に電話した、友達連れて遊びに行っていいか聞いたら喜んで待ってるって言われた、だから来週の土曜日出発するよ』

「そうか分かった良かったな」

次の金曜日 私は、何かお土産を持たそうと思いつき仕事帰りに近くの和菓子屋に寄った

「浩一、孤児院のお土産に、どら焼き90個買ってきたから持っていってくれ」

『お~すげぇ~、お父さん ありがとう』


そして土曜日当日の朝五時半、浩一の仲間が集まった

「バイクの運転には気を付けろ、無茶すんなよ」

『うん分かってる、大丈夫 じゃぁそろそろ出発するわぁ~』

「おう!気をつけて行って来い!」

『行ってきまぁ~』

浩一は、ドラ焼きが入ったダンボール三箱をバイクに積み、友人三人と孤児院に向かって、出発した


浩一達一行は一泊して帰って来た。

『ただいま~』

「おかえり、どうだった?懐かしかっただろ」

『うん、すだげぇ懐かしかったよ、夕飯も食器も。俺が居たころの子なんかもまだ何人か居て、覚えててくれたよ』

「そうか、それは嬉しいな。ところでドラ焼き足りたか?」

『うん、余ってたよ、三時のオヤツに出てきて俺達も食べたよ』

浩一は色々と話しを聞かせてくれた。



それから半年後・・・

昭和六十二年四月十九日・浩一・17歳の時。

早朝、浩一は友人とバイクで出かけ、単独事故を起こした。

両足を骨折しM病院に救急搬送、そのまま入院、保険に入っておらず私はどうしようかと思った。


四月二十日・浩一・危篤 午後一時 心肺停止

その時、私の母、兄妹、浩一の友人、職場の人達が病院に駆けつけ集まった。

私は、頭から血が下がるのを感じ、自分で何をやっているのか分からず、ただ「浩一・生きろ、生きるのだ」と

心の中で叫んだ。 どうしたら良いのか思わず由美子に連絡をする。

三十分後、自力で呼吸が始まる。その日は、いつ急変するか分からない状態なので病院に泊まる事になった。

四月二十一日・浩一・昏睡状態

四月二十二日・依然昏睡状態続く


入院して四日目、浩一の母、由美子が駆けつけてきた。

「浩一はどうなの?」

「俺にも分からない、今ICUで寝てるが、このまま目を覚まさないか起きても植物状態になるかもだって」

「そんなのウソでしょ?」

「本当だ 先生にそう言われて」

「・・・・・・・・・私、四・五日なら付き添う事出来る」

やっぱり由美子も母親だなぁーと思った。

「そうか、それなら俺も助かる」

 

四月二十五日・一週間ぶりに浩一の意識が戻った。なんと回診で回って来た先生の顔をじーっと見ていて、目が合うなり

『あ~アクエリアス飲みてぇ~!』

突然、意識不明だと思っていた浩一が急に叫んだものだからびっくりした先生の方が心臓止まるかと思ったとのこと

まったく目を覚まして第一声がアクエリアス飲みてぇだとは・・・

そして目覚めた浩一に

「名前分かるか?ここどこか分かるか?」

色々と質問され、淡々と答える浩一。

「佐山さん、もう大丈夫です。ちゃんとしてますね 後は怪我を治すだけです」

「そうですか は〜これで一安心です。本当にありがとうございます」

「明日には病室も一般病棟に移動しますので面会できますよ」

浩一に奇跡が起きた。

私は由美子と浩一の回復を喜んだ。そして数日、


「悪いけど、二十九日はどうしても横浜で用事があるから帰りたいんだけど」

「それなら仕方がない、一週間も浩一に付き添ってくれたんだし、こっちは大丈夫だから」

「ニ・三日したら戻ってくるから」

「そっか分かった、その時また、浩一の事頼む、じゃっ少だけど交通費代わりにこれ」

「お金は大丈夫だから」

「いいから、いいから」

そう言って由美子にお金を渡し、浩一・真由美にも、ニ・三日で戻ってくるからと約束し横浜へ帰って行った。

しかし・・・

由美子が帰って四日が過ぎても電話一つなく戻らなかった

約束を平気で破り、子供達の事をどのような気持ちでいるのか分からない。

私も心の中では帰って来て欲しいと言う気持ちがあり、少々ながら金をやり、要らないと言われたけれど、使わなかったら使わなかったでいいと持たせたけれど、未だ何の返事もない。

実は今の私には一円の金も無駄にする事が出来ない。浩一の入院費がいくらかかるのか?

頭の中は、金・金・金である。


もう由美子の事は当てにしない。

もうあの女は二人の子供達の母親でもなければ、私がこの世の中で愛した女でもない。

本当に由美子にはガッカリした。

由美子と別れてから一日も忘れた事ないし、世界で一番愛した女であるけれど、二度と由美子の力は借りない、もう二度と、あの女には力を貸さない。

あの女の気持ち、今始めてではないが本当に分かった。


そして今、この苦しい時期を乗り越えてやる。

浩一が退院したら、今後の事は二人で良く話し合って浩一の好きな道を歩ませたい。


やがて十月に入り浩一の退院が決まった。



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