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人生航路  作者: 智楼
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年末年始①

十二月三十日

子供達を預けて一ヵ月半 前もって孤児院に連絡し年末年始は家で過ごすための外泊許可を取っておいた。この事は二人にも伝わってるはず          

前の日は、子供達に会える嬉しさで殆んど寝る事が出来なかった。

朝 早く準備を済ませ孤児院へと車を走らせる。

正月には、浩一・真由美の好きな物を沢山 買って腹一杯食べさせてやろう。

今は、これくらいしか出来ないけれど一週間 仕事を忘れ楽しむつもりだ、そんな事を思いながら車を運転していた。

子供達を孤児院に預けて一ヵ月半、そして我が家に帰って来るのは二ヵ月ぶり。


早く家を出た事もあり二時間程で栃木の孤児院に到着。

二人の子供達は外で今か今かと待っていたようで車を見つけるなり浩一は凄い勢いで駆け寄ってきた。

『パパ!やっと家に帰れるね?』

「あーそうだよ」

一歩遅れて・・・ 

『パパが来たぁー』

真由美も走ってきた。

直ぐ外泊届けに確認のサインをし三人は車に乗り込んだ。


二人の子供達は久しぶりに我が家へ帰れるのが嬉しいのであろう大はしゃぎ。

「お前達 初めて車に乗ったみたいに思われるから、そんなに騒がない」

『はぁーーーい』


途中、近所のスーパーに寄り、子供達の好きな食べ物を買って帰り、その夜は時を経つのを忘れて子供達と積もる話を沢山した。

『パパ!あっちで友達いっぱい出来たよ』

「そうか、楽しそうで良かったな」

『パパー!まゆは絵かけるよ』

「真由美 凄いな!』      

施設の事、山に登った事、友達と悪さした事、怒られた事など色々話してくれた

そして数時間後

二人ははしゃぎ過ぎて疲れたのか散々騒いで寝てしまった。


明日は大晦日、何もしてやれないが楽しく過ごそう。

今年の年末年始を親子三人で過ごせる嬉しさ、子供達の笑顔、私にとって最高の宝。

年が明けても、子供達を何処へも連れて行く事は出来ないがやれる事はやった。

一月六日には、また子供達を孤児院に送って行かなければならない、楽しい時間は矢のように過ぎてしまう。


子供達と別れの日、近所のデパートに行って浩一・真由美の好きな物を買ってやり栃木へと車を走らせた。

孤児院に着いた 「また連休が来たら迎えに来るから元気で頑張るんだぞ ちゃんと勉強もして  なっ」

うしろ髪を引かれる思いで帰ろうとした時には

『パパ!家に帰りたいよぉ。一緒に連れてってよー』

浩一も真由美も私からはなれようとしない。

「また休みになったらすぐ来るから」

何度も何度も言い聞かせ!

『一緒に帰りたい』

『パパ!まゆもおうちに帰りたい』

私を困らせた。

「必ず来るから」

何とか浩一・真由美を説得させ子供達は車から降りた。

まだ幼い二人 無理もない。

家に着いても「一緒に家に帰りたい」の一言が頭から離れず心配で仕方なく孤児院に電話をした。


♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪

「もしもしI・Vです」

「もしもし、佐山ですが夜分遅くすみません 浩一と真由美は大丈夫でしょうか?」

「しばらくの間 二人共 泣いていたけど、お友達と一緒に自分の部屋へ行ったので心配ないですよ」

「そうですか。少し安心しました それでは二人をヨロシクお願いします」 

「はい分かりました それでは失礼します」

「はい 失礼します」

どんなに家に帰りたかったと子供達の気持ちを考えるとやりきれない。

子供達は、どのように思っているのか?

大きくなったら何と言うのだろうか?

何を言われても仕方がない、今 考える事は一つ。

どうしたら二人の子供達を、一日でも早く引き取れるのだろうか?

考え・・・また考えるが、良い考えが一つも浮かばない。


次の日曜日 由美子が居る横浜へ行った。

「久しぶりね」

「あぁー」

二人で色々話し合ったが結果が出ない。

「二人の子供達を孤児院に迎えに行けるなら、どんな努力もおしまない」

「分かった、一日も早く帰るようにするから」

その時は、そう言って別れ一人、川越行きの列車に乗った。

しかし、日が過ぎると、また由美子の考えが変わったのか、いい加減な返事しかしない。

その間、子供達の写真を送ったり、手紙を書いたり、少しでも由美子の気持ちをこっちに向けようと努力をしたが無駄だと分かった。

今日は仕事をする気もなくサボってしまった。


外は冷たい雨が降っている。まるで由美子の心のようだ。

もう二度と由美子の所に行くまい、手紙、電話はしまいと今日、心に決めた。

これからは、二人の子供達の事だけを考えて生きて行く。 



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