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海辺の聖女と碧き騎士  作者: ゆうもみじ


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21/41

三分

式典が始まってすぐ、ラルローディアは、招待客を見渡してリーヴァの姿を探していた。事前に神殿には聖女様をお呼びし、礼を尽くすべきだと進言していたからだ。おそらく彼女が今日、この場に来ることは間違いないと思っていた。


だが、あまりにも多い人の波の中で、その姿は見つからなかった。


――探し出すより、呼びに行かせた方が早い。


そう判断すると、ラルローディアは、傍らにいたレオンに、小さく耳打ちした。


「頼みがある」


「急になんだ、次はあっちに挨拶だぞ」


「聖女――リーヴァという女性が、この式典に来ているはずだ。直接、礼を伝えたい。控室まで、連れてきてくれないか」


レオンは、一瞬動きを止め、その名前に反応するように目を細め、首をふった。


「わかってるとは思うが、この後遅くまで予定が詰まってる」


「わかってる、五分でいい」


「……三分だ」


滅多に無理を言わないラルがこう言うからには、何か訳があるだろと察したレオンは、そう言うと大広間を出て、聖女たちが案内されていたという末席の方角へと向かった。きらびやかな貴族たちの間を縫うように歩きながら、視線を巡らせる。


すぐに、それらしい人物が見つかった。とても綺麗な顔立ちをしたその女性は、聖女の正装に身を包み、人垣の外側で何をするでもなくそっと佇んでいた。


「失礼、あなたはリーヴァ嬢?」


声をかけると、彼女は、少し驚いた様子で振り返った。


「……はい、そうですが」


「突然申し訳ない、自分はラルロ――いや、ラルローディア隊長の部下でレオンと言います。まあ、一番の親友でもあるのですが」


にこやかにそう名乗ると、レオンは、リーヴァの顔を、まじまじと見つめた。何かを確かめるような視線だった。


「隊長が、あなたに直接礼を伝えたいと言っている。控室まで、案内させてもらえるか?」


「え……今ですか?」


「短い時間で申し訳ないんだけど、とりあえずこちらへ、ご案内します。」


戸惑うリーヴァを、レオンは軽い調子で促した。

レオンに案内されながら歩いていると、レオンはリーヴァの緊張を和らげるよう優しい口調で話しだした。


「隊長のこと、色々、世話してくれたんだろう。ありがとう」


「いえ、そんな……出来ることをしただけです…」


「出来ること…ね」


レオンは、小さく笑った。何か言いたげな顔をしていたが、それ以上は踏み込まず、控室の前で足を止めた。


「ここだ。時間は短いから、手短にな」


そう言って、扉を開ける。


「リーヴァ嬢、こちらに」


促されるまま、リーヴァが、緊張した面持ちで入っていく。


「時間は短い。あとは、外で見張っておくから」


レオンは、そう言い残すと、扉の外に立った。

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