第二章:決断と疑問
静寂。
この家から出て周囲を見回してから少し時間が経ったが、何をすべきか分からず、結局また部屋に戻ることにした。
ベッドの端にゆっくりと腰掛け、両手を後ろについて体を支えながら、部屋を見渡す。何も変わっていない。
「……つまんない。」
足をぶらぶらさせながら、天井をぼんやりと見つめる。
「他にやることってないのかな……」
ふと黙り込み、窓の方へ視線をやる。ここに来てからずっと考えていたことが頭をよぎる。
「ここは……本当に異世界なんだよな?」
「なら、魔法とかあるはず……」
しばらく沈黙する。
「試してみる価値はあるか……」
掌を広げ、かつて見たアニメの呪文を思い出そうとする。だが、正直なところ、あまり覚えていない。
「えっと……確か……」
「火の霊よ、我が呼びかけに応え、我に力を——」
そこで動きが止まる。
「……その後なんだっけ?」
期待などほとんど持たずに、小さく息を吐く。
「やっぱり、呪文なんて半分も覚えてなかったか。」
「それに。」
「魔法を使うのに呪文が必要なんて、誰が決めたバカなルールだよ。」
「チッ……」
軽く舌打ちをする。
目を閉じ、魔法を使う別の方法を模索する。すると、呪文を使わずに魔法を発動させる主人公が登場するアニメを思い出した。
バカげているのは分かっている。
だが……試してみても損はないだろう?
再び目を開き、以前から広げていた掌に意識を集中させる。
今回は呪文ではなく、掌の上に何か出現させることをイメージする。熱さ。単なる暖かさではなく、より明確なイメージ――「炎」。
「……フレイムズ(Flames)。」
(ちょっと違うかも……でも、思いつくのはこれだけだ。)
その言葉を口にした瞬間、掌の上で赤みがかった紫色の火花がゆっくりと現れ始めた。少しずつそれが大きくなり、鮮やかな紫の炎となって形作られていく。
僕はただそれを眺めていた。先ほどまで暗かった部屋が徐々に明るくなり、壁の影が炎の揺らぎに合わせてゆっくりと動いている。
「おぉ……出た。」
「……成功だ。」
しかし――
「このままじゃ手が疲れちゃうな。」
特別すごいことをした感覚はない。ただ……まあ、こんなものか。掌を閉じると、炎はすぐに消えた。再び闇と静寂が訪れる。
天井をしばらく見つめた後、ベッドから降り立った。足取りは軽く、疲れは感じない。急ぐこともなく、ただ外を見てみたいという気持ちで窓へと歩み寄る。
窓の前で立ち止まり、カーテンを少しだけ開ける。夜の空気がゆっくりと流れ込む。寒い。
視線を空に向ける。
「……はあ。」
前と同じく、月が二つある。
反応することもなく、ただ長く見つめていた。
「……赤と青か……」
見慣れない空をしばらく観察した後、再びカーテンを閉めた。見続けている理由もない。
先ほど炎を出した時の感覚を何度も反芻し、自分が今行ったことを半信半疑で受け止めていた。
ただイメージして、頭に浮かんだ名前を適当に叫んだだけだ。まさかそれで成功するとは思ってもみなかった。
(この世界の魔法システム、こんなに簡単なのか?)
(まあいっか。)
「もう一回。」
「フレイムズ。」
再びその言葉を口にする。だが今回は、掌の上ではなく、僕の横に炎が浮遊し、やがて部屋の中央へと移動した。
「……慣れてきたかもな。」
自分の手をしばらく見つめる。
「とはいえ……」
「これは……どれくらい持つんだろう?」
魔法がどのくらい持続するのか気になる。人によって魔力の容量が違うはずだからな。
掌を閉じる。炎は依然として燃え盛っている。数秒後、そして――頭が重くなってきた。何かがゆっくりと奪われていくような感覚。
よろめきながらベッドへ歩き、端に座ると、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
背中にマットレスの感触を感じ、体が中央へ沈んでいく。
今回は木の天井ではなく、部屋の中央で浮遊する紫の炎を見つめていた。それはランプのように部屋を照らしている。
「……疲れた。」
ほとんど動いてもいないのに、体は拒否反応を示していた。なぜか眠気が一気に襲ってくる。
理由を考える間もなく、視界は暗闇に包まれた。
これは第2章です。ここまで読んでみてどうでしょうか?物語の展開は少し早すぎますか?




