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ほしたらワシが手伝っちゃろ
ほしたらワシが手伝っちゃろ
ほしたらワシが手伝っちゃろ
ジジイの言葉がゼロの脳裏にエコーする。
爺さんが俺に退避しろって言ったよな。俺の実力を知っている爺さんが。
危無いから…… 退避しろ……
「全軍退避ぃぃぃっっー!! ヤバイ!! ヤバイのが来るぞ!! 巻き込まれたく無かったら死ぬ気で拠点まで逃げろぉぉぉっっ!!」
点が線で繋がった。玄武を瞬殺したのは間違い無く爺さんだ!!
叫ぶや否や、全力で走り出すゼロ。その勢いに飲まれ一緒に走り出すソフィー。
「ちょ、ちょっとゼロさん! ヤバイって何が!? 撤退したら拠点が」
「いいから逃げろ!! ここに居ちゃとにかくヤバイ! すぐにわかる!」
「お、おい、ゼロさんが撤退だってよ!」
「撤退? 何が起きた?」
「いやこれから起きるらしい」
「相当ヤバイらしいぞ?」
「巻き込まれるとか叫んでたな」
「ゼロさんが変な嘘付くとも思えないしな、さっさと俺達も逃げんべ」
ゼロのプレイヤーとしての名声もあり、ほとんどのプレイヤーは意味が分からなくとも賛同して撤退をする。
だが、そんな指示に従わない者達も一定数いる。
「ラファエルさん! ゼロさんが撤退命令を出しました! 前線のプレイヤーは漏れなく退却しています」
「俺達も撤退した方が良いのでは?」
「あ? 撤退? ふざけんな!! 撤退なんかしてどうする! アイツ等は俺にデカい口叩いて、白虎がどうにもならねぇから適当こいて逃げ出したんだよ! まったく雑魚がよぉ」
「なんだそう言う事か」
「ふざけてますね」
ラファエル一派は撤退どころが前線の穴を埋めるべく前線へと走り出す。本当にゼロがそんな小さな男かどうか、考えればわかるだろうに。
「うへへへ。TNT爆薬いっぱい余っちょるしのぉ〜。大盤振る舞いじゃ〜」
ここのモンスター達は白虎ですらジジイを視認出来なかった。これ幸いと玄武の時以上の爆発物を撒いて撒いて撒きまくるジジイ。踏まれて即発火する地雷関係は控えているが。
「白虎なんて俺がやってやるぜぇ!」
そこへ勢い込んでやって来たラファエルと取り巻き達。【軍神の恩寵】の効果はまだ続いている上に、先程までゼロ達がそれなりに削っていたと言うのもあるのだろう、美味しいとこ取りを狙っての特攻だった。負けたとしても逃げ出したゼロ達の責任に擦り付けるつもりなのである。
「おろ? 口の悪いブーメランあんちゃんじゃの。危ないから退避するんじゃ」
「え? は? ジジイ?」
やはりジジイを視認出来ないラファエルは、キョロキョロと辺りを見回す。
「ここは危ないから退避するんじゃよ」
「何処にいやがる! 俺達が倒すんだよ! 退避なんかするかボケ!」
「ほうか。ならしゃーないの。注意はしたからの」
別に親身になって助ける義理も無いジジイは、まぁ別にエエじゃろと、一緒に吹き飛ばす事にした。それがジジイイズムと言うものだ。
あらかた爆薬を撒き散らせば、後は安全圏まで導火線を引っ張るのみだ。
「ほいほいほーい。ほいほいほいほいほーい。よっしゃ、こんなとこまでくれば安全じゃろ。さぁ点火じゃ。ふぁいや〜」
導火線に火がともるとまたたく間に火線が走る。そしてそれはラファエル達の下に辿り着く。
戦場をくまなく埋め尽くしたジジイ特製TNT爆薬に。
そして……
爆ぜた!!!!
それは玄武を倒した爆発の比では無かった。爆発は巨大な火柱となり、拠点まで退避したゼロ達の目にも異常なレベルの爆発が確認出来た。誰が見ても明らかだった。あの場に居て生きてられる者などいないと。
「嘘……だろ?」
「な、何が起きて……」
第18サーバー白虎討伐確認 四神全ての討伐を確認致しました。
運営のイベントクリアの通知が流れるが、目の前で起きた出来事が衝撃的過ぎて、喜びよりも皆唖然としている。
ただ1人を除いては。
「しゃ〜しゃっしゃしゃっ!! 我ながら惚れ惚れする爆発じゃったわい!! 気持ちエエのー!! 口の悪いあんちゃん、可笑しな人を亡くしましたあーめん」
いちおう謝罪の気持ちはあるらしかった。




