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新称号【爆炎の破壊神】は、【爆炎の支配者】のまんまパワーアップ称号と言った所だった。
ただしパワーアップが過ぎて、先程までセーフだった投げ込みポイントギリギリまで爆炎が届き、危うく死に戻るハメになる所であった。
「これなら激烈癇癪玉でもいけるかいの」
試しに5個濃縮バージョンを投げたが、流石に倒せなかったらしい。次に10個濃縮バージョンを投げ込むと、無事に倒せていた。撃破数も変わらず1万稼げている。
これに気をよくしたジジイ、なにしろクラフトに掛かる素材も費用も3分の1で済む。
「ありがとうのぅ、リルリルちゃん」
別にリルリルがくれた称号でも無いのだが、ジジイ的にはそう言う感じなのだろう。
この時点でぶっちゃけ1000万も【退魔の証】を稼げている。もはや適当に流してもぶっちぎりの1位は確定だろう。
しかし爆弾マニアのジジイは手を緩めなかった。
「うひ! うひひひひひひひ!」
恍惚とした表情で激烈癇癪玉を投げ続けたのである。毒蛇にとっては飛んだ厄災ジジイである。
称号と一緒にいただいた100万Gも大きかった。癇癪玉を湯水の様にクラフト出来る、しかも称号効果で1回のクラフトで5~6個多く生産出来てしまうのだ。
ジジイの快進撃は止まらない。トチ狂ったオランウータンの様に癇癪玉を投げ続けた結果。
「ま、またかいの!?」
ピコーンの音と共に、またしても白い空間に移動していたのだ。
『リルリル、この日が来るとは思って無かったよ……』
リルリルのテンションが低い。前回はアゲアゲだった妖精とは思えないくらいに。
「ど、どうしたんじゃリルリルちゃん? お腹でも痛いんか? なんか変なもん拾って食ったんか?」
『違うよ違うよーっ!! 便所コオロギさんはとんでもない偉業を達成しちゃったんだよぉ!!』
「偉業け? また爆炎某が貰えるんかの?」
『違うよぉ! 今度のはスッゴいんだよぉ! 一切の防具を着けずに連続1億キル達成した便所コオロギさんには、称号【裸の王様】と1千万Gが進呈されま~すっ!! 言っておくけど、もう便所コオロギさんは無敵で素敵な存在になったんだよ。じゃあ、待ったねー!』
無敵で素敵な存在とはこれいかに? 言ってる意味がさっぱりわからないジジイは、坑道へと戻っていた。
「また称号貰えるとは思わなんだな。どんな能力かいのー」
【裸の王様】防具を着けずにこのスキルを発動すると、30分間自分より賢さの低い者(モンスター含む)は、自分を視認出来なくなる。再度利用まで30分必要とする。
どう贔屓目にみても、イカれたバランスクラッシャーな称号だった。防具無しにしても透明になれるならお釣りが来る。確かに無敵で素敵だろう。
ジジイで無ければだが!
「ワシ、いかんせん賢さ低いからのー」
そう、ステ振りでジジイは賢さは一切上げて無い。現状賢さで勝ってるのはスライム程度だった。
「こりゃ賢さ上げる必要あるのぅ、これは使えるスキルじゃと思うしのー」
さすがにゲーム知識に疎いジジイですら【裸の王様】の有用性はわかる程だった。
となると流石に1億も稼ぎ出せばもう良いかと、毒蛇爆殺祭りは終了して、レベル上げてポイントを得る事にするジジイ。そこからイベント終了までは、淡々とレベル上げの為に爆殺を繰り返していた。そしてイベントはつつがなく終了したのだった。
「さて結果発表じゃのー、これで負けてたらワシはもう出家するしかないのぅ」
勝手にしてくれと言う感じではあるが、確かに途中経過で1位が600万そこそこであった以上、1億で抜けて無いのならたまったもんでは無いだろう。
そして運営が町の至るところに設置した掲示板に、結果を貼り出した。
1位 100008062 便所コオロギ
2位 12657230 ミカエル
3位 11096412 酔拳
4位 8058270 ウリエル
5位 8044907 ソフィー
6位 7480050 ガブリエル
7位 6666666 ゼロ
8位 6640283 ラファエル
9位 5977695 鬼兵
10位 4080311 マダムキラー
予想通りのジジイによる圧勝だった。しかしこの結果に町は騒然としていた。
「おい誰だよ便所コオロギって!」
「1億とかおかしいだろ! チート臭ぇな」
「アークエンジェルズでも1200万だぜ? 流石にこの結果は納得出来ないな」
ぶっちぎり過ぎるとこう言う事も当然巻き起こる。ジジイが違法な行為をやらかしたと思われ始めているのだ。
「おいミカエル。お前負けてるぞ? それもぶっちぎりで」
「もうこれだけ差を付けられたらお手上げさ。便所コオロギさんを称賛するよりない」
「アタシは【戦乙女】ちゃんに負けちゃったわ。ちょっと悔しい」
「俺はゼロに負けちまったなぁ。アイツ最後わざと流して数字揃えやがった。余裕だなちくしょう」
上位を独占したクラン、アークエンジェルズの面々も掲示板を眺めていた。このレベルになると運営が動いて無い時点で、違法ではないと理解して納得するようだ
「爺さんやりやがった……」
そんな中、謎のプレイヤー便所コオロギを知っているゼロだけが、ジジイの快挙を観て呆然と佇んでいた。




