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受験後
「お疲れだったわね……でも、もう起きて」
イザベラが雨戸を押し開け、日光が私の目を射た。私はうめく。もう少し寝かしてくれてもいいのでは?
私はのろのろと体を起こした。夢は見なかった。
「イザベラ……」
私の声はしわがれていた。
「おまえの言う通りだった。確かにあれは私の想像を超えるものだった」
「ええ」
「おまえ、試験のことをなにか知っていたのか?」
「あれ? 私も独自の目的のために試験を受けて合格したって言わなかったかしら? 三年前に」
彼女は片方の眉を吊り上げて言った。
初耳だよ。
「合格者はそれぞれの目的を遂げて普通に社会で生活してるわよ。……今なら、なぜ合格者がそのことを誇らないのか分かるんじゃない?」
「ああ」
分かる。試験はすでに倒した敵。私に敗北した、私よりも弱い存在。
もう興味を感じなかった。
「とにかくさっさと着替えてちょうだい……。新聞は届いてるし、電報もいろいろ来てるから。紅茶はミルクでいいわね?」
私の返事を待たずに彼女は部屋から消え、穴の空いた扉がばたんと閉まった。
窓から見える景色は雪解けの緑色。
そしてそれは平和で、私が喜んで生きれる世界だった。
試験のもたらしてくれた心の平安を味わいながら、私は立ち上がった。
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