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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第捌玖話 On the mark

「ちょっとお。小杖ちゃん、こんなに強いの聞いてないよぉ。」


 福子が後から姿を現した。


「2人とも大丈夫か!?」


 一応、声をかけてみる。


「急に家の中で取り囲まれたんだけど、小杖ちゃんが蹴散らしちゃった。」


 あっけらかんと福子が答える。


 家に向っていた『あいつ』は急ブレーキをかける。


「なんてざまですか!残りの全員を向わせたと言うのに!!」


 すかさず、俺が口を挟む。


「あんたの支配力が弱まってるんじゃないのか?」


「!!!」


 『あいつ』は思わず閉口してしまった。『ギクッ』っと言う音が聞こえてしまいそうだった。

 小杖も追い討ちをかける。


「元の肉体から離れたイグジストは、そのままだと消滅してしまうでしょ。無理やり他の体に定着させても長くは持たない。違う?」


 俺も止めを刺す。


「お前、情緒が不安定すぎるんだよ。『コピー』って劣化するんじゃないのか?

 もしかして、オリジナルをすでにロストしてないだろうな。」


「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃ!」


 なんか、あてずっぽうがクリティカルヒットしたらしい。


「だから、なんだと言うのです。お前たちには絶望しかない状況には変わりがないでしょう!?」


「向こうの2人を襲った奴らは一瞬で蹴散らされたぞ。お前が操れる程度の相手なら、当たり前だがな。」


「まだ、自分達の立場が分かっていないようですねえ。

 仕方がありません。取って置きを見せて上げましょう。

 是非とも、後悔の涙をじっくりと味わって頂きたいものです。」


というと、誠の姿のまま、『あいつ』は広場から逃げ出すように、俺に背を向けて走っていった。

 その後を、礼次を昭二が追う。


「なんだ?負け惜しみか?」


 福子と小杖は俺に近づいてくる。ぶっ飛ばした村人たちも、『あいつ』を追って広場から出て行く。


 元々、俺達の狙いは、獣の化け物を調べる事だった。まさに、望む通りの状況になったわけだが、そうなると気味が悪くなる。


「ねえ。今のうちに調べちゃったら!?」


 福子はそういう事は考えない。


「罠かも知れないけど、チャンスはチャンスだと思う。」


 小杖もこういっている。やってみるか。

 俺達は警戒しつつ、獣の化け物に近づいていった。


「こいつは、刃になっている牙が全身から飛び出すらしい。気を付けてくれ。」


 首領から聞いていた情報だ。


「何?これ!!」


 珍しく、小杖が大きな声を上げた。


「化け物じゃない!

 人間の子供だよ!!」

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