第捌漆話 Flattery
しかし、見つかるのは計算の内だ。素直に地上に出て、人型に戻る。
「やはり、『これ』が気になってるようですね。『あれ』もさっき見たようですし。」
「まあな。だから、あんたもそこを離れないんだろう?」
「それはどうでしょう。別に、私が見張る必要はないんですけどね。」
口とは裏腹に、俺が獣に接触することだけは避けているようだ。
「しかし、こんな広場にいたんじゃあ、地下から進むしかないんだが、さっきの地属性をまた食らっちゃあ堪らない。おかげで、脚が動かなくなってるんだが、これは、どういう仕組みなんだ?」
まさか、喋ってくれるとは思っていないのだが、念の為、尋ねてみる。
「私の能力を、誠さんの地属性に乗せているからですよ。私の能力は、相手のイグジストを切り取る能力なのですが、肉体を切り取る事で、その部位に応じたイグジストの一部を切り出せるんです。
切り取る方法はなんでも構いません。刃物を使ってもいいし、他の能力があるのなら、それを使ってもいい。
私自身の能力は戦闘向きではないので、他の人の能力を借りるのが一番なんですよ。」
随分と長文が返って来たな。さすが、承認欲求の塊だけの事はある。
「戦闘に向いてない!?
この空間を作ったのはあんたなんだろ!?
これほど戦闘向きの能力は、無いとおもうが・・・」
持ち上げてみた。
「あなたに、さっき、破られたばかりではありませんか。確かに、大勢の雑魚を無力化できるのは便利なのですが、強敵相手には通用しないのです。所詮はその程度の能力です。」
随分、さっきと言う事が違うな。第1等がどうとか、言ってなかったか?
「もう、こんな不完全な能力は要らないのですよ。それよりも、もっと強力な、私好みの能力が見つかったのです。」
「そんな凄い能力者がいるのか?この村の首領の事か?」
「いえ。彼の力は能力と言うよりも、本人の資質による部分が大きいのです。仮に私が奪ったとしても、普通の火属性程度の力しか発揮できません。」
「なんか、随分と謙虚なんだな。本当にさっきまでの奴なのか?」
「私は、私です。変わりはありませんよ。
それよりも、私はあなたに感謝しているのです。」
「俺に?感謝される筋合いは無いが!?」
「でしょうねえ。あなたには、私に対して害意しかなさそうですから。しかし、おかげで求めていた能力が手に入る手助けをしてくれていたのですよ!!」
きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
福子の悲鳴が響き渡る。
「彼女の能力は、あなたたちには勿体無いものなのですよ!」




