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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第捌伍話 Search Enemy

 俺と福子の役割は小杖の護衛。そして、小杖が誠に接近してイグジストを元の世界に戻す。作戦というにはあまりにも単純だが、今、俺たちにできるベストだと思った。


「でも、元の世界の方向がわからないの。私も、間違ってここに来ちゃったから。」


「それなら大丈夫だ。あいつは『穴』の近くにいるはずだ。『穴』に向かって飛ばせばいい。」


「わかった。その後は?」


「依り代を失った『あいつ』のイグジストは、別の肉体を求めて移動するはず。そこを、俺の作った体に閉じ込める。そして、この世界を操作する能力を奪えば、バラバラに四散するはずだ。」


「やってみる。」


「よーし。小杖ちゃんのガードは任せてね!指一本、触れさせないんだから!!」


 福子が妙に張り切っていた。


「じゃあ、行くか。

 俺は普通に歩けないから、屋根の上を行く。

 接近して来た敵は福子に任せたからな!!」


と言い置き、弦を伸ばして一番手前の家の屋根に音も無く登った。


「ちょっと見ない内に、頼もしくなったねえ。」


 福子が呑気に褒めてくれた。


「私たちも行こう!」


「うん。」


 2人の少女の表情が引き締まる。こうなると、殊の外、強い2人だった。


 俺は屋根の上にへばり付き、下から見つからないように這いずっていた。ただ、弦を伸ばし、その先には小さな花をつけ、下を見張ってもいた。


 今いる家の左側に、村人が1人いるのを発見する。

 俺はすぐにその弦を伸ばして、村人の死角から体内に侵入させる。すると思った通り、頭部が切断され、それを悪茄子の粘液で再生されている事が感じられた。なにしろ、今の俺は悪茄子そのものだからな。

 つまり、体のイグジストは村人のものだが、頭のイグジストはあいつのコピーだ。誠を除いた、他の村人も同じなのだろう。

 では、奪われた頭部のイグジストはどこへ?

 やはり、あの獣を調べてみる必要がありそうだ。


 俺の捜索にあたっている村人は、その一人しか見つけられなかった。まずい状況だ。それだけ、核心部分の護衛に力を割いているのだろう。


 俺は村人を家の中に入らせ拘束した。今、首を刎ねてしまうと、後で戻せなくなるかも知れない。できる限り、余計なダメージを与えない方がいいだろう。


 作業を終え、次の屋根へと渡る。そして数軒の屋根を越え、最後の家へと辿り着く。

 この家の向こうが、獣のいた広場だ。『穴』もそこにある。

 屋根の天辺の手前で止まり、広場の様子を伺う事にした。

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