第捌参話 Purpose
2人は少年風の男性と別れてトロメキへと向かう。
やるべき事はわかった。彼の能力を取り返す。来た道を逆に辿り、下りの勢いも借りてあっという間に分岐まで戻る。そして下る道に入ってすぐ、索道を発見したというわけだ。
「ねえねえ。なんか向こうに、変な緑色の化け物がいるよ。でも、なんか、見覚えがあるんだよね。」
「なんか叫んだ。でも、谷風で流されて、全然聞き取れない。」
「こっちから、渡って行った方がいいのかなあ。」
「ちょっと待って、向こうから渡って来ようとしてる。」
「うわっ。何か伸びて、ロープに巻き付いた。やっぱり、人間じゃないよ。」
「でも、あのイグジスト・・・。彼だよ。」
「彼って・・・、あいつのこと!?
ええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「なんか騒いでんな。あいつら。いきなり攻撃しないだろうな。」
弦をロープに巻きつけてジリジリと渡って行く。谷は水だけでなく、風の通り道でもある。かなりの強風が吹き付ける。
「おおーーーい!俺だ!!
攻撃しないでくれ!!!」
「『攻撃するな』って言ってない?」
「なんか、そう言ってるみたいだねえ。でもさあ、小杖ちゃんがいなかったら、やっちゃうよねえ。不可抗力だよねえ。」
なんとか無事渡り終え、2人と再開する。
「お前ら、どこでどうなったら、ここに現れる事になるんだ?」
「それはこっちのセリフだよ。それに、そんな姿になっちゃって。」
「木属性って、自分が植物になる能力なんてあったのね。」
どうやっても、話がとっ散らかってしまうくらい、トピックがてんこ盛りなのだが、時間がないのだった。
「この世界に閉じ込められている人たちを解放したい。力を貸してくれ。」
目を見合わせる2人。そして、福子が答える。
「奇遇だねえ。私たちもそのために村を目指していたんだよ。」
少年のような男の話を聞く。
俺は入って来た穴と、操られている村人たち。そして、化け物について話しをした。
「じゃあ、今は村全体が敵って事?」
「そういう事だ。そして恐らく『あいつ』は、誠さんの中にいる。」
「誠さんが、司さんのお母さんなのね。」
「見たら、すぐ分かると思う。」
「でも、『あいつ』を止めたら終わりってわけじゃないのね。」
「そうだ。全員が人質で、全員が敵だ。」
「じゃあ、どうやってそんなのと戦えっていうの?」
福子が不安そうな顔をしている。2人に会うまでは、俺も同じような顔をしていたのかも知れない。
しかし今なら言える。
「大丈夫だ。俺に任せてくれ。」




