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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第陸伍話 Uncontrol

 昭二は水の結界を張る。結界に飛び込んだ虫は、すぐさま水の玉につつまれる。ところが、すぐに水は消えてしまう。


「水を吸い取っているのか!」


 結界も構わず、虫の群れは昭二に飛びついていく。そして虫のついた皮膚からは、血が流れ出した。


「全力で結界を張れ!沸騰させる!!」


 私が声をかけるが、昭二の反応が無い。ただ立ち尽くしたまま、体についていた虫はバラバラと剥がれ落ちていった。


「えっ!!」


 驚く誠に向かい、昭二は水の刃を繰り出した。水が明らかに白く濁っているのが見えた。

 信じていた者の不意打ちを受け、あっさりと貫かれる誠。滴り落ちた血もまた、白濁しているのだった。


「うわあああああああああああああああああっ!!!!」


 父が母を刺すところを、家の影から見ていた翔太が、我を忘れて飛び出してくる。手にしているのは、よく切れると評判の、玄爺のナタだった。


 私は集中を解き、翔太を抱き上げて突進を押しとどめる。


「はなせーーーーー!!ぶったぎってやるんだーーーーーーー!!」


 とても、手を離せる状態では無かった。しかし、翔太が飛び出してきた家の陰を見て思わず息を呑んだ。

 司が自分の身の丈以上もある猟銃を構えていたのだ。銃口を縁側に載せ、狙いを定めている。


「誰があんなことを教えたんだ!?」


 銃口は草の化け物にしっかりと向いていた。


「撃つなーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


 翔太を抱えたまま司に向って走る。しかし、


 ドゴォーーーーーーーーーーーーーーン!!!


 銃声が鳴り響いてしまった。反動で吹っ飛ばされ、壁に頭を打って気絶する司が見えた。

 銃弾は見事に草の化け物に命中し。茎を根元から10cmほど残して、バラバラに飛び散っていた。


「最悪だ・・」


 思わず呻く。

 飛び散った草の破片は、その場で別の株として再生を始めていた。

 そして、残った茎からは、大量の白い粘液が流れ出していたのだった。


 生気を失った顔で、昭二と誠はこちらを見ている。


「司っ!つかさーーーーーーーっ!!」


 翔太は司に駆け寄り、介抱しようとしている。


 もう、当初の計画を実行に移す事は不可能な状況だった。それよりも、この化け物達を野に放つ事だけは阻止しないといけない。

 つぎはぎの化け物の能力も未知数だが、この草の化け物の増殖能力は恐らく無限なのだろう。四十万全域を壊滅させる可能性すらある。


 この村を犠牲にしてでも、こいつだけは封じなければならない。そう覚悟を決めたのだった。

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