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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第陸参話 Plan A

「下がってください!!!」


 突然現れた礼次が叫び、化け物に駆け寄って気弾を三発打ち込み、建物の影に隠れる。

 しかし、なにも起きなかった。


「なぜだ!?」


 礼次の気弾は、圧縮された空気の弾丸だ。相手の内部に入った所で圧力を解放し、爆発的に空気を膨張させて攻撃する。しかし、解放したはずの空気はどこへいったのだろう?


 礼次は再び化け物に接近しようとしている。もう一度、試すつもりだろう。


「まて礼次!こいつの中には『穴』が開いている。そこに吸い込まれているんだ!!」


 それを聞いて礼次が一旦距離を取る。


「ならば、これでどうだ!!」


 叫びながら、カマイタチ状の気弾を打ち込んでいくが、毛がなびいただけで、傷一つ着けることなく吸い込まれていく。


「ダメかっ!!

 首領様っ!昭二を呼んでアレをやりましょう!!」


「いや待て。アレをやるにはお前がギリギリまで接近する必要があるだろう。危険すぎる。」


「しかし、黙って見過ごすのですか?

 あいつは健作一家を全員飲み込んだのですよ!?

 絶対に許すわけにはいきません!!」


 まだ、さっきの精神攻撃の影響を受けているのだろうか。普段は口数の少ない礼次がやけに饒舌だ。


「逃がすつもりなどない。

 だが、これ以上犠牲者を増やすわけにもいかない。

 作戦がある。一度引いて昭二達と合流するぞ。」


「作戦ですか。わかりました。」






 すぐに、私の自宅の庭に集合した。


「作戦とはどのようなものですか?」


 やはり、礼次が真っ先に口を開く。普段ならありえないことだ。


「『教授』が言っていたんだが、ここには大結界のヒビ割れが存在するらしい。

 そこに穴を開けて、あいつを放り込もうと思う。」


「結界に穴ですか?

 でも、それってあいつを倒すのではなく、追い出す事になるのではありませんか?」


 礼次はやはり、化け物を殺す事に囚われているようだ。

 そこへ、誠が口を挟む。


「大結界は陽結界と陰結界の二重構造のはず。その狭間に追い込むと言う事ですね。」


「そういうことだ。今、我々の力であいつを倒す事は非常に困難だ。一度、あいつを閉じ込め、対策を練ってから駆逐する。」


 すると昭二が言う。


「しかし、ヒビ割れがあるからと言って穴を開けることなど可能なのですか?」


「それは、私に任せて貰おう。」


「それと、そのヒビ割れはどこにあるのです?我々が感知することはできないのでは?」


「そこに、見た事の無い草が生えているだろう。今朝、突然生えていたんだ。

 教授の仕業かもしれん。」


 朝、見たときは草丈30cmくらいだったのに、今は1mを越えている。異常な成長速度だ。


「なるほど。確かにこの草の根元の土は、わずかですが陰の気を帯びていますね。」


 土属性の誠が答えた。

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