表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
PR
42/240

第肆弐話 Voice

「おい!なにつっ立ってんだ!逃げろ!!」


 結界の外から大声で陣が叫んでいる。


「玄爺。俺を中に入れろ!早く!!」


「それはできません。今、結界を解けばもう2度とあれを封じる事は出来なくなります。」


「なら、このまま見殺しにしろっていうのか!」


「お前が入っても犬死にするだけだ。」


 首領が現れる。


「しかし父上。あいつは犬死にしてもいいと言うおつもりですか!」


「あの少年には試練が必要だったのだ。もしここで死んでも、それは意味がある。だが、お前がここで死ぬ事は、ただの無駄だ!」


「死ぬことに意味だと!?それは、お前らにとって都合がいいってだけの話じゃないのか!?」


 陣が怒っている。もはや喧嘩口調だ。


「ああそうだ!あいつは死んでも俺の役に立つが、てめえは糞の役にも立たねえから、すっこんでろ!!」


 陣が肩を震わせている。


「もういい。押し通る。後がどうなろうと、俺は知らん!!」


 陣はずかずかと結界の間へと入ろうとする。その間に司が走りこんで押しとどめた。


「ダメです。首領はああ見えて、深いお考えのある方です。今は我慢してください。」


「うるせえ。あんなクソ親父の言うことなんか聞いてられるか!目の前で、友達が殺されようとしてんだぞ!!」







 俺は鉈を振るい続けている。テントウムシも悪茄子も、あと少しで全滅しそうなんだ。最初は無限だと思っていた。でも、攻撃は確実に効いていた。あと少し、あと少しなんだ。穴から出てくる加勢も、わずかに漏れ出してくる程度だ。あと一息、死力を振り絞れば撃退できる!!

 もう、何も聞こえない、何も感じない。ただ、動くもの目掛けて鉈を振るい続けるだけだ。


 それだけだ。


 それだけでいい。


 あと少し・


 あと少し・・


 あと少し・・・


『友達が殺されようとしてるんだぞ!』


 何?

 なんだこの声。

 邪魔するな・・・

 何もかもぶっ殺す。

 じゃないと、いくらでも増えやがる。


『おい!

 聞こえるか!

 早く逃げるんだ!!』


 逃げる?

 何から?

 もうちょっとで倒せるのに。


『離せーーーーっ!

 俺が助けるんだ!

 絶対に!

 こいつには借りがあるんだ!!』


 何の事だ?

 そもそも、こいつ誰なんだ?

 『借り』なんてないだろ?

 えーっと、何だっけ?

 俺、今、何してたんだっけ?


『しっかりしろ!

 意識を取り戻せ!!

 あいつらには、お前が必要なんだろうが!!!』


 あいつら?

 あいつらなら、今、ここにいるじゃないか。

 2人とも一緒に戦ってるはずだ。

 戦ってる?

 何と?

 誰と?


『眼を開けて!

 死んじゃうよ!

 死んじゃやだ!!」


 福子の声だ。

 俺が死ぬわけないだろ。

 何を言ってるんだ。

 あと少しなのに・・・


『そこは危ないよ・・

 それは幻。

 あなたの恐怖が生んだ影。

 本当の敵ではないの。』


 なんの事だ?

 小杖なのか?

 本当の敵って?


「いいかげんにしないか!

 明人(あきひと)!!」


久々に聞いた声に、思わず俺は眼を見開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ