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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第参参話 Reunion

 一人で先を急いでいると、丁字路に行き当たった。浩二から聞いたとおりだ。左に曲がって北上すれば、天山から東に向かう、天讃街道に繋がっているらしい。

 しかし、教わった道は右折だ。途中で左への分岐路があるが曲がらず、真っ直ぐ突き当たりまで進めば、天土街道との丁字路という話だった。


 天土街道との合流地点までは、大きな川沿いの道を行く。ここの鮎は旨いとか、いちいち、余計な薀蓄を交えるのは浩二のクセらしい。

 ただ、今回、ちょっとだけ鮎が関係している。天土街道との合流地点で、川が大きく左に曲がっており、カーブの内側の川岸は水流に削られ、切り立った岩山になっているため、さながら、巨大な船の船首のように見えることから、地元では『ガレオン岩』と呼ばれているらしい。


 鮎はどこいったって?ガレオン岩が観光名所になっているため、近くでは鮎の塩焼きを振舞う店が、いくつもあるという事だ。今はまだ漁が解禁されていないので、せいぜい、団子くらいしか売ってないだろうとの事だったが。


 歩を進めるに連れ、道を行く人が増えていった。ガレオン岩近辺は、景勝地というだけでなく、この地域の中心でもあるらしい。二名に比べれば慎ましい規模なのだが、町としての名は三戸(みと)と言うそうだ。

 トロメキは陣一族の集落があるだけらしく、最寄の町は三戸である。従って、陣家の名を知らない住民はいないとの事だった。


 大きな川に沿って行くだけなので、道迷いの心配は杞憂に終わる。一目でそれと分かるガレオン岩が道の対岸に姿を現した。近辺には多くの商店が立ち並び、こんな山の中なのに賑わっているのだった。

 その店の中から『岩川商店』という、雑貨を扱っている店を探す。すると、丁字路の手前で見つけることができた。


「すいません。岩川浩二さんの使いで来ました。」


 店番のおばさんに声をかける。


「おや、浩二の?どういったご用件?」


 どうやら、身内の人らしい。この店は、浩二の実家が経営しているのだ。


「陣家の岳斗さんがトロメキに向かっているはずなのですが、通りかかったら急ぐよう伝えてください。」


「鵺退治に坊ちゃんが出張ってんのかい?あんなの放っときゃいいんだよ。」


「でも、怪我人も出てるって聞きましたよ?」


「そうなのかい。そんな話、こっちじゃ聞かないけどねえ。」


「鵺は出てるんですよね。」


「まあね。珍しいこっちゃないけどさあ。」


 なんか、全然、違う話になっていた。現地にかなり近い場所での情報なので、こちらのほうが真実に近いんじゃないか?


「じゃあ、回覧板を回してくるから、それまで、これでも食べて店番してておくれ。」


と言うなり、でっかい串団子を渡され、出て行ってしまった。

 なんか、緊急事態って話だったが、気が抜けてしまいそうだ。しかし、福子と小杖の件もある。余計な事に関わって、勝手に転んでしまったみたいじゃないか。


 腹が立ってきたので食ってやる。でかくて平たい団子が3つも刺さった竹串と格闘していると、店に大男が入ってきた。


「おばちゃん。いる?」


 陣だった。

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