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福見福子の最終定理 第1章 始まりの仮説  作者: 黙定六
始まりの仮説
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第参肆話 Lord

 俺に気付くと、とても驚いた様子で


「なんでここにいるんだ!?」


と、かなりでかい声を上げる。


「どうしたんですか?」


司が店に入ってきた。同じように驚かれたところで、事情を説明した。


「なるほどな。浩二の奴の仕業か。それなら、ここにいても不思議はないな。」


「福子と小杖を探すのを手伝って欲しいんだ。さっきのおばちゃんの感じだと、鵺の方はあまり緊急性がなさそうだったし。」


うーん。と陣が腕組みして考えている。なにやら難しい顔をすると、


「こりゃ、親父の仕業かもしれんぞ。」


「はあ!?」


何を言い出すのかと思いきや・・・


「親父は、わけ有ってトロメキから出られない。だから、時折、まどろっこしい方法で俺を呼び出すことがあるんだ。しかし、怪我人が出たって言うのは、性質が悪いな。ちょっと、文句を言ってきてやる。」


「福子と小杖はどうなる?」


「恐らく浩二もグルだ。親父の言うことを聞けば、解放されるだろう。」


「人質のつもりか?だとしたら、とんだ見当違いだ。爆弾みたいなもんだぞ。」


「乱暴に扱ったりはしないだろうよ。むしろ、今頃、飯でも食って、くつろいでるんじゃないか?」


「なら、絶対に自分から出てきたりはしないだろうな。あいつら。」


「そういうことだ。そうやって、俺たちに何かをやらせようとしてるんだ。」


陣は腕を組み、鼻を鳴らしている。


「しかし、領主様は私たちに何をさせようとなさっているんでしょう?」


 司が言う。


「親父の考えていることは誰にもわからないが、一つだけ言えるのは、面倒くさいって事だ。悪いが2人とも覚悟していてくれ。」


 俺としては、あいつらが無事だと言うのなら問題ないのだ。今のところ、陣の推測なので、確証が欲しいところだ。




「坊ちゃん!いらしてたんですか!!」


 店主のおばちゃんが帰ってきた。骨を折って貰ったものの、無駄骨になってしまったが。


「坊ちゃんはよしてくれ。」


 陣の顔を見ると、あわてて回覧板を回収しに行ってしまった。


「浩二のかあちゃんだ。今は一人でこの店を切り盛りしている。とうちゃんの方は、浩二が子供の頃に亡くなった。」


「浩二さんを連れて森に入った時に、事故に遭われたそうですね。」


「まあな。そういうことになっているな。」


「そういうこと?」


何か、司や一般の町民が知らない裏があるらしい。


「まあ、いいだろう。どうせ、浩二も後で来る。俺たちはトロメキに向かおう。」


 数分でおばちゃんが戻ってきた。出発することと、浩二も近くまで来ていることを告げ、俺たちは三戸の町を後にした。


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