拒絶
大学へと向かう足取りがいつもより軽い。なんてことはなく、いつも通りの通学路。昨日、城田くんと晴れて恋人同士になったわけなのだが、どうも実感も無ければドキドキも無い。しかも何故なのかわからないが、思い返すと何気なく考えているのは彼氏である城田くんではなく真中のことなのだ。告白されて付き合い始めたあの時からずっと真中の顔や仕草、優しさ、全部が頭に残って消えない。
教室に入ると今日もひとつの影があった。入学してからずっと私の順位は2番目だ。
「おはよう。昨日はどうだった?」
私は違和感を感じた。用事が出来たとは言ったが、内容までは言っていない。
「昨日、たまたま見かけてさ。一緒に居たの、高校一緒だったやつだよな?…確か……城田。そうだ城田睦月。」
気まずさ、罪悪感、最低だ。私、最低だ。
「もしかして付き合ってたり?…それならごめんな。つきまとって。」
なんで、つきまとわれてるなんて思ったこと無い。最初は確かに嫌だった。でも、一緒にいることが楽しくて、楽しくて、だから一緒に居たのに。
「大丈夫。もう、近寄らないから。」
なんでそうなるの?私は、まだ友達で居たいのに。
「速水…さん?……どうかした?」
「いや、ごめん。」
これ以上言葉が浮かばない。
「ははっ、なんで謝るんだよ。悪いのは俺だろ?」
「そんな!真中くんは…。」
「でも、付き合ってる人が居るなら…もっと、早く言ってほしかったかな……。」
そのまま彼は私の側から居なくなった。
最後、その目に見えたのは明らかな拒絶。真中のあんな悲しい顔初めて見た。でも、その顔にさせたのは私で、どうしようもできなくて……。どうしよう、どうしよう。息が詰まって、こんなにも胸が苦しいです。