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第14話 フレリアの魔塔

ロアウルフの数は20匹近く、4人はシステアとアリスを守るように戦っていたが、ガルシア以外の冒険者は正に戦力外と言って指し違いなかった。


適当に剣を振り回しているだけで全然役に立たない、それに引き換えガルシアはその背中の大検を軽々と振り回し、すでに3匹のロアウルフを倒していた。


しかし敵の数が多すぎる、ガルシアだけではとても捌ききれないでいた。


ガルシア「システア!敵が多い!何とかならないか!?」


システア「数が多すぎて咄嗟に低級魔法で反撃するのがやっとだ!高位魔法を使う暇が無い!」


アリスとグゥもシステアを守るように戦っているがこちらも5匹以上に囲まれていて術の詠唱を援護する余裕が無い。


アリス「このおおおおお!」


グゥ「グルァァァァァ!」


グゥがロアウルフの一匹の喉元に喰いつき引き裂く、アリスも飛び掛ってきた1匹を避けすれ違い様に喉を切りつける、2匹仕留めたがそれでもなお、5匹以上の敵に囲まれ少しずつ押されていった。


皆傷だらけになって戦っている、その状況を見てアリスが言った。


アリス「システアさん!私、この状況を何とか出来そうな魔法を使えます!」


システア「それは危険なんじゃないのか!?」


アリス「それは・・・失敗すれば確かに危険ですけど・・・でも、絶対大丈夫です」


システア「大丈夫と言われてもな、それに、使うとしても呪文の援護などできる余裕は皆ないぞ!?」


アリス「呪文なら大丈夫です、それにこれなら何とかなりそうなんです!」


システア「だめだ!もっと訓練してからだ、覚えて1日も経たない魔法で実践など馬鹿げてる!」


しかし、そんなやり取りをしていると、ここから少し離れた所から遠吠えが聞こえてきて、さらに10匹ほどのロアウルフがこちらに向かって走ってきた。


ガルシア「まずい!血の匂いを嗅ぎ付けて集まってきやがった!」


システア「っち、どうする・・・?」


他の冒険者も既に体力の限界のようで、お互いで背中合わせになって囲まれていた。


ガルシアもかなりの数に囲まれていて動けない。


その時、アリスが再びシステアに向かって言った。


アリス「システアさん、お願いします。私にやらせてください!」


システア「くそ・・・わかった。お前を信じよう、好きにやれ!」


アリス「はい・・・!」


そして、アリスは一歩前に出て魔力を練って呪文を紡ぐ、その間、アリスの周りに薄い金色のオーラのようなものが生成され、攻撃を加えたロアウルフを全て弾き飛ばした。


システア「無詠唱で防御魔法、それと並行で別の呪文を・・・?」


呪文は、使う魔法のイメージを正確に定めるために使うもので、自分の中に完全なイメージが出来ていれば、呪文は必要ない、しかし、それはとても高度な技で、イメージが中途半端なら暴走の危険すらある。


その光景にシステアは驚いたが、口を挟むようなことはなかった。


アリス「地にそびえ立つのは幻影の魔塔、その砲塔にて敵対者を殲滅せよ!」


アリスがそう唱えたと同時にバリケードの内側に高さ50M、直径20M以上はあろうかと言う巨大な塔が現れた。


それは元々そこにあったと錯覚するほどの圧倒的な存在感で下の戦闘を見下ろしていた。


その塔の側面には無数の砲塔が付いており、その全てが下を向いて、ロアウルフを狙っていた。


その塔が現れた瞬間、危険を察知したのか周りのロアウルフの攻撃は止み、こちらに向かっていた新手のロアウルフ共々撤退を始めた。


一同が助かったのか?と、思った瞬間、アリスの張りのある声が辺りに響いた。


アリス「狙え!」


それと同時に塔の砲台が一斉に撤退を始めたロアウルフに向く。


アリス「撃てー!!」


そして、その掛け声を合図に、砲台から何百発もの弾丸が撃ちだされ、撤退中のロアウルフの上に降り注いだ。


アリス「攻撃停止!」


アリスが合図し、塔からの攻撃が止んだ時、そこには蜂の巣になった何十匹ものロアウルフが倒れていた。


そして、攻撃が終わった時、さっきの搭があった所は最初から何も無かったかのようにただの地面に戻っていた。


唖然としている冒険者3人の心の声を代弁するようにガルシアが口を開く。


ガルシア「とんでもない魔法だな・・・こんなの見たことがねえ・・・」


システア「フレリアの魔塔・・・まさか実物をこの目で見ることになるとは・・・」


ガルシア「聞いたことがない魔法だな?」


システア「数百年前、ある優れた幻魔法の使い手が作り上げたという魔法だ・・・結局、あまりにも高度な魔法の上、幻魔法の使い手など早々いなかったため、やがて忘れ去られた・・・」


ガルシア「幻!?てことはあの譲ちゃん・・・」


システアは口が滑ったか?と一瞬思ったが、それくらいなら隠す必要はないと思い直した。


システア「・・・そうだ、あいつは幻魔法の使い手で、私の弟子だ」


ガルシア「なるほど・・・あんたが弟子にするはずだな」


そう納得したガルシア達の所にアリスがグゥと共に走ってきた。


アリス「やりました!システアさん!私やりましたよ!」


システア「ああ、さすがは私の弟子だ」


グゥ「ウォン!」


システア「お前もよくがんばったな」


そして、その場でシステアが皆の怪我を魔法で癒し、もう辺りに危険が無いことを確かめて、全員宿に戻った。


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