第13話 戦闘開始
1階の酒場に着いたシステアは、大声で酔いつぶれた冒険者や、他の客を叩き起こす。
システア「お前たち、今すぐ起きろ!!」
アリス「ちょ・・・システアさん・・・」
リーガン「お・・・おい、一体どうしたんだ?」
アリス「えっと、その・・・」
システア「魔物だ、かなりの数の魔物がこの休憩所を目指して進んで来ている」
リーガン「な、何を言ってる、この休憩所の周りには護符がある、魔物などありえない」
システア「残念だが、もう護符の結界は越えられた、距離は大体ここから四、五百メートルと言った所か」
リーガン「そ、そんな馬鹿な!何かの間違いじゃないのか!?」
?「いや、その女の言うことは多分本当だ。さっきから嫌な気配が近づいてやがる」
リーガルとシステアの会話に割り込んできたのは、システアと入れ違いで入ってきた冒険者4人組の1人だった。
背中に大剣を背負い、かなりの重さがありそうな鉄製の鎧を着込んでいる30代前半の男性だった。
?「急に割り込んですまない、俺はガルシア=アルベン、一応冒険者ギルドの冒険者だ」
アリス「どうも、アリスです。」
システア「システアだ、一応魔道師をやっている、これが証拠だ」
システアは懐からカードのようなものを取り出した。
このカードはギルドIDと呼ばれていて、ギルドにおける身分証明書である、ギルドに所属している者は皆持っている。
カードには所有者の名前、称号などの情報が細かく書き記されている。
そこに記されている称号を見てガルシアは驚きの声を上げた
ガルシア「アクールの水精!?」
システア「システアで良い、それに今はそんなことを気にしている場合ではない」
ガルシア「そ、そうだな、しかし、アクールの水精が言うことならまず間違いない、マスター!今すぐバリケードの準備だ!俺は他の仲間を叩き起こしてくる。あんたらは先にバリケードの設置に取り掛かっていてくれ」
ちなみに、バリケードは木製の柵で高さは90cmほど、簡単に設置できるが耐久度はかなり低い
リーガン「わ、わかった!」
システア「了解した」
アリス「は、はい!」
そして、ガルシアが仲間3人を連れて外でバリケードを組んでいるシステア達に近づいて来て口を開いた。
ガルシア「今戦えるのは俺たちだけで他の客は全員一般人だ」
システア「そうか、大した魔物ではなさそうだが数が多そうだからな・・・そこが多少心配だな」
私達5人で捌けるか・・・そう呟いたシステアにアリスが話しかけた。
アリス「あの・・・私達も戦います。」
グゥ「ウォン!!」
システア「なに?」
ガルシア「そういえば彼女は誰なんだ?」
システア「私の弟子だ。まだ正式な登録は済んではいないがな、そのために首都にある魔道ギルドの支部に向かっていた。」
ガルシア「ということはそこそこ魔法が使えるんだな?ならこっちから頼みたい所だが・・・」
システア「まだ早い、まだほとんど訓練もしていない、危険だ」
アリス「大丈夫です。森に住んでいた時には何度か魔物とも戦ってグゥと協力して倒したりしていましたし」
システア「だが・・・」
ガルシア「実は・・・言いにくいんだが俺以外の奴はほとんど戦力に入れないほうが良い、なんせ魔物が倒せないから護符の運搬なんて依頼を受けた奴らだからな、俺はその付き添いだったんだ、おまけに全員まだ酔ってる・・・」
そして、後ろの3人を見ると確かに足取りもおぼつかない、見てて頼りなかった。
システア「そいつら、仕事してる自覚は無いのか?」
アリス「それなら私達、きっと力になれると思います。お願いします!」
システア「・・・はあ、わかった、だが無茶はするな、それと危険そうな魔法は使うな、これは師匠命令だ。いいな?」
アリス「・・・わかりました」
ガルシア「よし、そうと決まれば全員戦闘に備えろ!」
そして、バリケードの設置が終わると、全員外側で戦闘準備に入る、ちなみに、バリケードの内側50mほどの所に休憩所がある。アリス、システアは前衛の冒険者4人の後ろから魔法による支援と言う形になった。
ガルシア「二人とも、魔法は何が使える?」
システア「回復、攻撃魔法は一通りいける」
アリス「いくつか覚えましたけど使ったことはありません・・・」
ガルシア「使ったことが無い・・・?」
システア「気にするな、いざ戦闘が始まれば何とかなる」
ガルシア「ほんとに大丈夫なのかよ・・・」
システア「それよりあんたたちはどんな魔法が使える?」
ガルシア「全員日常生活で使う位の簡単な魔法しか使えない、戦闘じゃ役に立たないだろう」
システア「そうか、わかった」
そして、会話が途切れると少し先からウォオオオオオオオン、と魔物の遠吠えが聞こえてきた。
ガルシア「この鳴き声、ロアウルフか?」
ロアウルフはこの辺りに生息する肉食系の魔物で、グロウウルフのように1匹~3匹で行動して基本的に人間には危害を加えないのに対し、常に10匹以上の集団で行動し、人間や動物関係なく襲い掛かる、一匹一匹は大して強くないが集団戦法が厄介な敵だ。
システア「暗いな、サンの魔法でこの辺りを照らすか?」
ガルシア「そうだな、出来れば頼む」
システア「分かった。偽りの太陽は夜の闇を照らす」
呪文を唱えると、空に火の球体が浮かび、辺りは小さな太陽に照らされ、大分明るくなった。
その瞬間、ロアウルフが一斉に冒険者たちに襲い掛かってくる。
ガルシア「来るぞ!構えろ!」
そして、戦闘が始まった。




