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第12話 不穏な気配

この休憩所は2階建てで、1階は小さな酒場になっていた、2階の部屋が寝泊りするための部屋である。


一応、何人かが雑魚寝するための部屋もあるが、こっちは一応女二人なので、金を払い部屋を取ることにする。


ちなみに馬車の運転手は食事だけここで取り、寝るのは馬車の中である。

管理人「いらっしゃい、女二人で旅行かい?」



中に入ると早速酒場の店主が話しかけてきた。


どうやら彼が酒場の管理人のようだ。


口の周りに髭を生やした50代前半位の男性だった。


システア「ああ、部屋を頼みたい、ベッドは二つで頼む」


管理人「銅貨25枚だ」


システア「ペットがいるんだが構わないか?」


管理人「ん?グロウウルフか、他の客に迷惑かけなければかまわんよ」


システア「そうか、感謝する」


そしてシステアは金を払い部屋の鍵を受け取ってアリスと共に2階へ上がっていった。


部屋に着くと二人は荷物を降ろし、すぐに食事のため下に下りる準備をする。


アリス「グゥちゃんは待っててね?後でご飯持ってくるから」


グゥ「ウォン!」


システア「アリス、旅の資金はいくらあるんだ?」


アリス「アラン神父に金貨5枚渡したので、あと金貨20枚と銀貨2枚,それと銅貨が何枚かですね」


システア「ふむ、かなりの大金だな、金貨はこの部屋に置いていこう、グゥ、鍵は掛けておくが、もし、誰か来たらすぐ吠えて知らせるんだ。頼むぞ?」


グゥ「ウォン!!」


そして二人は下に降りていった。


酒場に来るとさっきはいなかった4人組の集団が酒場の端の席で酒を飲んでいた。


システアは店主に彼らは誰か聞いてみた。


システア「さっきはいなかった客だが、彼らは?」


管理人「ん?ああ、首都からここまで魔物除けの護符を届けに来た冒険者だ。あんたらが上にあがったのと入れ違いで入ってきたんだ」


町や村の周囲には、魔物を遠ざける効果のある護符を取り付けている、ただ、効果は半年ほどしか持たないため半年に1回取り替える必要があるのだ。


システア「なるほど、もう設置は終わったのか?」


管理人「いや、今日はもう遅いから設置は明日になる、心配しなくても今晩くらい今の護符でも十分持つさ」


システア「そうか」


それだけ聞くとアリスとシステアは出てきた料理を平らげ、管理人を交えて話を始めた。


管理人「改めて自己紹介をする、ここの管理人をやってるリーガンだ、あんたらはレミアミルの町から来たのかい?」


システア「システアだ、私はレミアミルの町で1泊してその後首都に向かう途中だ。」


アリス「アリスです、私はレミアミルの外れに住んでいたんですけど、システアさんに誘われて一緒に旅に出ることになったんです。」


リーガン「へえ、じゃあまだ二人は知り合って間もないのかい?」


アリス「そうですね・・・まだ1週間もたってないですね・・・あ!すいません。私達が連れてきたグロウウルフにご飯を持っていってあげたいんですけど、何かありますか?」


リーガン「おお、ちょっと待ってな」


そう言って店主は台所の方へ姿を消した。


戻ってくると結構大きな肉の塊を持っていた。


リーガン「こんなもんでいいか?」


アリス「十分ですよ!あの、御幾らですか?」


リーガン「銅5枚・・・といいたい所だが3枚でいいぞ」


アリス「あ、ありがとうございます!」


そして肉を受け取ったアリスは早速グゥに持って行った。


少し遅くなってグゥは不機嫌そうだったが肉をあげると、すぐ機嫌を直してくれた。


そして、アリスは戻ってきてしばらくリーガル、システア、アリスでおしゃべりをするくらい打ち解けていた。

リーガル「システアさん、あんたはアクール出身だろ?」


システア「そうだ、今は旅をして世界を回ってる」


リーガル「へえ、じゃあアリス、あんたはこの国の出身なのか?」


アリス「一応、物心付く前からレミアミルの祖父の家で暮らしてました。」


リーガル「そうか、いやあ、珍しい髪の色をしていたから気になってな、今までそんな綺麗な銀色の髪は見たことが無い」


アリス「私、昔祖父に拾われて育てられたんです。」


システア「それは初耳だな、そんな過去があったのか」


リーガル「なんかすまなかったな、気を悪くしないでくれ、こういう所で働いていると旅人の話を聞くのが楽しみになっててな、その銀色の髪はよく似合ってるぞ?」


アリス「ふふ、ありがとうございます。」


そして、時計が10時近くを指していたため二人は部屋に戻り休むことにした。


システア「なかなか悪くない味だったな」


アリス「確かにおいしかったですね」


グゥ「ク~ン?」


システア「そういえば、魔法の方はどうだった?」


アリス「あ!よく聞いてくれました!実は自分でも驚く位上達したんですよ!」


システア「ほお?それはすごいな、明日是非見せてくれ」


アリス「はい!あ、そういえば時の魔法の中に時読みって言うのがあったんでやってみたんですけど」


時読みとは、術者に関係のある未来の出来事を映像として垣間見ることが出来る時の魔法である。


システア「ふむ、で?結果はどうだったんだ?」


アリス「それが・・・かなりの数の魔物が見えたんですよね・・・」


システア「魔物?詳しく話せ」


アリス「は、はっきりとは分からなかったんですけど、なんだか何処かに向かってる感じが・・・」


システア「時読みで分かるのは術者に関係のある未来のみだと言うが・・・嫌な予感がする」


そういうと、システアは急に目を閉じて集中し始めた。


システア「水語りという魔法だ、私を中心に半径数百メートルの中にある水を通してその周囲の情報を断片的にだが得ることが出来る」


アリス「そんな魔法もあるんですね」


システア「まあ、私のオリジナル魔法の一つだ」


そして、しばらくするとシステアは苦々しい顔をして目を開け、言った


システア「今すぐ武器を持って下に下りるぞ」


アリス「え?なにかあったんですか?」


システア「魔物だ、詳しい数までは分からんが、相当数が魔物除けの護符を越えてここに向かってる」


アリス「な!?」


システア「早く準備しろ、急げ!!」


そして、アリスは短剣を持って先に行ったシステアを追って1階に下りた。


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