中間テスト結果
悠真はテスト勉強期間中や、テストの本番日より、テスト返却の瞬間が一番嫌いだった。
過去の自分の努力の結果が全て可視化され、数字になって表れるのだ。
現代文、古典、地理、歴史はなんとか平均点にやっと届くくらいの点数を取れた。しかし、数学や物理、英語、化学については、赤点を取らずに済むことが、目標だ。悠真は勉強が得意ではない。特に理数系と語学は、何をどう勉強し、努力すれば点数が伸びるのか、皆目見当がつかなかった。やみくもにしか、努力せざるをえないのは、体力も精神力も削られる。
テスト返却日は、同じクラスメイト達の間で、優秀な生徒と、そうでない生徒がはっきりとわかってしまう。
「宍戸君、すごい!また、満点取ったの?!」と、宍戸隆介を囲む女子達の甲高い声が教室に響く。英語のテスト返却がされたばかりだ。宍戸はニコニコと、謙虚な笑顔だ。
宍戸のような例外も多いが、大体において、テストの平均点を上げるのは、女子生徒達が多く、男子生徒達は下げることに貢献していた。
本田美恵は、どの教科においても成績上位で、宍戸と高得点を争う。部活動に忙しいはずの高山愛良も、歴史に関しては常にトップの座を譲らないし、森雪音は理数系の科目が強い。チャラチャラしているように見える桃木瞳子も、現代文と古典では宍戸より高い点数をたたき出すことがある。
宍戸や本田のように全教科で優秀な成績を収める者が居る一方で、一点突破で得意分野がある者も居る。
悠真は特に得意だと感じる教科がない。暗記をすれば何とかなる教科はまだ頑張りようがあるが、必死に勉強してもようやく平均点前後であることがほとんどだ。数学と化学に関しては、既に手の施しようが無い程に理解できず、苦手だった。
「だりい。」と、後ろの席の天野が立ち上がって腕を伸ばし、「お前、どうだった?」と、悠真の返事を待たずに、裏返しにしてあった英語の答案用紙を勝手にめくった。そして、「チッ!」と舌打ちして、悠真に答案用紙を乱暴に返した。
今回、英語はなんとか赤点を免れた。悠真は補修を受けずに済む。しかし、既に色々な箇所が分からなくなっている。なんだかよくわからないまま、授業が進んでいくことに不安も感じていた。
天野は、机に突っ伏して寝始めた。きっと、ほとんどの教科で赤点なのだろう。
テスト返却日は特に機嫌が悪い。
天野はいつも授業中に寝ているか、ノートに落書きをしている。テスト前になると、一応、悠真のノートのコピーを取るが、悠真は天野が熱心に勉強をしている姿を見たことが無かった。
テストの点数が悪いのは、勉強をしない自分が悪いのに、オレに不機嫌をぶつけられても困る。と、悠真は思い、できるだけ天野には近寄らないように気をつけた。




