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神様と紡ぐ物語  作者: かーたろう
第二章
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第39話 チンピラの災難02

 その後は本当に色々あった。

 何故なら、相馬家の離れは先祖の趣味でカラクリ屋敷として造られており、幾つもの道がある。

 その中から真理子が選んだ道は迷惑来訪者用の道で、そこは罠がてんこもりの道だった。

 ちなみにどんな罠があったのかを幾つか説明していこう。

 まず、真理子が歩いた後に続いて歩いていた林だったが、突然床に落とし穴が出現する。

 パカッ


「え……。ひぃぃぃぇぇえええええ!!!!」


ひゅぅぅぅううううう………。どっしぃぃぃいいいんんん!!

 3メートル近く自由落下した後に穴の底でピクピクしているいる林。

 どうやら打ち所が悪くて死ぬ、というような事は無かったようだ。

 そして、林は怒鳴り声を上げる。


「テ、テメエ。ちゃんと後についていっていたのにどういう事だこりゃあ!」


それに穴を覗き込みながらカタコトで返す真理子。


「ちゃ…んと…、私が、踏…んだ床、を正…確に踏ん、でつい…て来、ていま…し、たか……?」


それを聞いて目を丸くする林。呆然と問い返す。


「……そ…そんなに細かい、のか………?」

「は、い……」

「く…。…と、兎に角なんか上がる物を持って来いっ!!」


 そして後ろから付いてきていた和範が縄梯子を降ろし、林はそれを伝って上へと上る。そして、今度はちゃんと真理子の踏んだ床を踏みしめて突き進む。それから、少し進んだ所で今度は真理子が少し高めに足を上げて進むが、林は高さに気付く事無く普通にそのまま足を進めて……ピンッ!

 と何か糸のような物を足に引っ掛けてしまう。

 すると、


「ん?

 何か、足に引っ掛かったような……?

 ……ぐえっ!?」


ヒュゥゥゥウウウ…ガゴンッ!! と、天井から金ダライが見事に林の頭にヒットする。


「な、何だこりゃぁぁぁあああああ!!??」


いきなりの事態に怒声を上げる林。 だが、それに対する返答は、


「そ…こ、床の、色、とまった…く同…じ色に…作られ、た罠の糸、がある…から触、れては駄…目です………」


その遅すぎる忠告に当然絶叫を上げる林。


「注意が、遅いわぁぁぁあああああああ!!!!!」

「すみま、せん…」


そして、再び歩き続けるが、次々に林は罠に引っ掛かったのだった。





ようやく一時間後に、目的地に着いた一行。

 和範と真理子は特に変わりないが林は身も心もボロボロだった。


「…おい…テメエラ…何か飲みモンをくれ…」


せめて咽喉を潤そうと飲み物を要求する林。

 それに対して真理子がゆっくりとした動作で林に飲み物を渡す。


「…ど、うぞ…」


それを受け取った林。

 湯飲み茶碗からはとても香りの良い番茶の香りが立ち上る。見た目も特に問題が無い綺麗な薄い黄緑色なので、これなら問題あるまい、と疲れを少しでも癒すために、それを少し飲んでみると…


「ごくっ! う? あ………ぶふぅぉおおおおおおおお!?」


最初の一口は問題なく飲めたが、それを飲み込んですぐにとてつもない吐き気を催しお茶を噴出してしまう林。


「何じゃこりゃぁぁああああ!?」


当然、心からの絶叫を上げるが、それに対する真理子の返答はほんの一言。


「只…の薬、湯です…が……?」


術によって催眠下にある為(あくまで林の主観)、この反応は自然なのだが、林にしてみれば馬鹿にされたように感じたのだろう(実際に真理子は術など効いていないので催眠下には無く、事実、林を思いっきり馬鹿にしているので正しいのだが…)。


「こ、この! くそアマがぁぁあああああ!!」


そう叫ぶと同時に、真理子に殴りかかる林。

 だが、その拳は当然真理子に当たらない。

 ヒョイッ!

 と簡単に避けられる。


「へ……?」


 不思議そうに林は呟き呆然とする。催眠下にある人間がこんな反応をするとは思わなかったのだろう。まあ、先程までののろのろとした動作に慣れていたのであれば仕方ないが…。

 だが、そんな呆然としている林は何の抵抗も出来ずに無力化されてしまう事になる。

 スパァン!

 ビタンッ!

 真理子に手首の返しだけで体ごと一回転させられ、畳へと打ち付けられたのだ。


「おわっ!?

 ぶべぇえ!?」


 畳に打ち付けられた後、何とか起きようとするが真理子が右手に絶妙な力を掛けてそれを邪魔しているので起きる事も出来ない林。それでも何とか起きようと往生際悪くもがいていた林だが、すぐ傍で異様な呪力の高まりを感じてギョッ、とする。


「な、何だ…?

 この異様に高い呪力は…?

 ……ん?

 な、小僧…まさか、お前、が……?」


和範は、もはや催眠下にある振りなどかなぐり捨ててニコニコ笑いながら縄に呪力を込めていた。そして、


「ひふみよいむなやこと。神法をもって我、汝に支配下へ下る事を命ず。天地の気よ、この者の術を縛る禁術の縛鎖と化せ。」


すると、突然白色の鎖が林の体内へと打ち込まれる。


「うわぁああああああ!!!

 ……て、痛く…な、い…?」

「当然だ阿呆。

 今の術は対象が術を使用するのを禁じるだけの術なんだからな。」


そう答えた後、和範は林を呪力で強化した縄でぐるぐる巻きにした。そして話しは拷問へと至るのであった。

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